世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

コミュニティの改善・活性化

アフリカ最大の遊牧民たちの文化を守るため、マイクロソフトが文字を開発【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのJames Wisemanが撮影した写真 ️ こんな時代こそ、多様性をお祝いして今年を締めたい このブログは、主にカンヌライオンズなど、西側で評価されたアイデアを紹介することに主眼があります。が、ここ最近の世界的な出来事で、世界のほんの一部(のモ…

ブラジル政界を揺るがした、政治家の支出開示プラットフォーム【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのKenny Eliasonが撮影した写真 ️ 政治家のサイフを国民のスマホにつなげたイノベーション あなたがある国の政治家だったとします。そして、その権力のおかげであなたは好きなことがなんでもできてしまいます。税金を使って支給される活動費も、どん…

都市の洪水時に現れる”落とし穴”への転落を防いだ物理の力【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのJonathan Fordが撮影した写真 ️ 日本でも使えそう。アナログなソリューションに注目 ゲリラ豪雨、という言葉が2000年代に入ってから普及した言葉であることをご存知でしょうか?この言葉が流行語大賞のトップ10に入ったのが2008年。つまり、その前…

暑すぎて長すぎた夏、お疲れ様でした!【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのPossessed Photographyが撮影した写真 ️ 9月もほぼ夏の2023年でした 2023年の夏は本当に暑い日々が続きました。暑さもようやく和らいできた、と思ったらもう10月。今年は秋の気配を楽しむ9月がすっかりなくなってしまったかのようです。来年以降も…

マウスがうまく使えない人たちのために開発された”マウス”パッド【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのClem Onojeghuoが撮影した写真 ️ 今回はかなり良さげな発明品についてご紹介 トラックパッド付きのMacBookを使い始めてもう10数年、会社以外ではマウスを使う機会もだいぶ減りましたが、トラックパッドを使った長時間の作業となると手首などが痛く…

自殺者についての私たちの”思い込み”を鋭く突いた英国発キャンペーン【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのLukas Rychvalskyが撮影した写真 ️ 今年のカンヌライオンズを揺るがしたビッグ・インサイト 皆さんは、日々の暮らしの中で自分がどれぐらいの思い込みに囚われているかを数えてみたことはあるでしょうか? 答えは「ほぼ無限」です。蛇口のハンドル…

よりインクルーシブなスポーツ環境を実現すべく、ライバルたちを巻き込んだアディダス【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのCapstone Eventsが撮影した写真 ️ ニューロダイバーシティ(神経多様性)をスポーツにも 皆さん、ニューロダイバーシティという言葉をご存知でしょうか?詳しくは以下のリンクからご覧いただければと思うのですが… ideasforgood.jp この記事による…

EV車の充電所不足を発想の転換で解決したルノー【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのCHUTTERSNAPが撮影した写真 ️ 2021年に引き続き、ルノーがEV車でまたやった! さて、今回も先週のアン・ド・ゴール空港に引き続き、フランスで行われたソーシャルキャンペーンをご紹介いたします。フランス車メーカー、ルノーによるEV車普及のため…

今後の緊急事態に、自分が何ができるか準備するためのヒント【カンヌ2023より】

UnsplashのJacek Dylagが撮影した写真 組織や社会の強さは、緊急事態にこそ現れる 結構な時間を生きてきて、最近は組織や社会における一個人は、細い糸のようなものだと考えるようになってきました。それぞれの糸が自らの意思で縦と横に組み合い、しなやかな…

フランスで国会議員の悩みに応えた、NPO団体によるナイスアイデア【カンヌ2023より】

UnsplashのJoakim Honkasaloが撮影した写真 国会議員=敵対するもの、という思い込みからの見事な脱却 アラフィフになってみて思うことは、敵を作ることは損でしかない、ということです。一旦敵になってしまうと、相手の悪い面しか見えなくなります。でも世…

韓国警察庁が110番に追加した、素晴らしい新機能【カンヌ2023より】

UnsplashのJenny Ueberbergが撮影した写真 時代に合わせたバージョンアップで、被虐待者の保護に貢献 夏になりました。久しぶりに街に人が溢れている昨今、日本でも物騒な事件が増えているように感じます。ということで今回は、お隣の国・韓国の警察庁が今の…

生険加入率の低いNZ国民が目覚めた!びっくりコラボレーション【カンヌ2023より】

UnsplashのAarón Blanco Tejedorが撮影した写真 カンヌライオンズ2023の受賞作紹介、はじめます ヤー!パワー!今年も世界のクリエイティビティの祭典、カンヌライオンズ2023が閉幕しました。まだグランプリ受賞作をざっと甘噛みしている状態ですが、やっぱ…

【名作探訪 その8】学校の“とあるモノ”に目をつけて子供たちの衛生環境を改善したアイデア

UnsplashのJelleke Vanooteghemが撮影した写真 面倒臭い「石鹸での手洗い」を子供たちにどうやってもらうか 6月になり、いよいよ世界的クリエイティビティの祭典・カンヌライオンズ2023(6月19日-23日開催)が迫ってきました。3週間後には今年の最新の受賞…

黒人のビジネスオーナーをサポートし続けるGoogle【カンヌ2021・22より】

UnsplashのVonecia Carswellが撮影した写真 継続自体に価値がある 私がこれまで紹介し続けているキャンペーンの中には、アイデア自体は素晴らしく、続ければ社会に変化を与えうるものなのに単発の活動で終わってしまい、結局は賞を獲得し、評価されることだ…

先週に引き続き「母のチカラ」で課題解決したキャンペーン【カンヌ2015より】

UnsplashのWaldemarが撮影した写真 今回も母のチカラを感じる名キャンペーンをご紹介 先週ご紹介した、Daveによるキャンペーンはいかがでしたでしょうか?子供の世界から見た、母親の影響力をうまく活用したアイデアだったのですが、これを調べているうちに…

探り出したインサイトを、胸打つコンテンツに昇華する【カンヌ2022より】

UnsplashのAtlas Greenが撮影した写真 肩すかしだった今年のスーパーボウルの代わりに、心に響く逸品を 前回お伝えしたスーパーボウル広告に引き続き、今回もスーパーボウル広告を…と考えていたのですが、今年はちょっとした言葉遊びや、セレブリティの起用…

マジョリティの視線から抜け落ちた属性に光を当てる【カンヌ2022より】

UnsplashのNsey Benajahが撮影した写真 顧みられてこなかった非白人の「皮膚の健康」 例えばあなたがアジア系の日本人で、日本で湿疹に悩んでいるとします。Googleで「湿疹」と打ち込み画像検索をした場合、ほとんどの場合はあなたにとって参考になる画像が…

テック分野に潜むジェンダーギャップをやっつけろ【カンヌ2022より】

UnsplashのThisisEngineering RAEngが撮影した写真 STEM分野に起きているジェンダー格差に迫ったキャンペーン 皆さん、STEM教育という言葉をご存知でしょうか?Science(科学)とTechnology(技術)、Engineering(エンジニアリング)とMathmatics(数学)の4…

自国のスモールビジネスを救うべく、国民的スターが立ち上がったキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのDICSONが撮影した写真 2023年もどうぞよろしくお願いいたします このブログも途中、長いお休みを挟みつつ9年目を迎えました。ここ数年で世界は大きく対決モードにスイッチしてしまった感がありますが、今こそ武器ではなく、アイデアの力が我らを明…

民主主義を守るためにレバノンの新聞社が実施した、鮮やかなアイデア【カンヌ2022より】

UnsplashのRoman Kraftが撮影した写真 デジタル時代だからこそ出てきた新聞の”価値” 全てがデジタル化していく中、新聞にはリアルな紙を使っている、というユニークさを持っています。 私も野菜を保存するときや、濡れた靴を乾かしたい時など、読み終えた新…

プラスチック容器を使い捨てさせないための、インド発のユニークな取り組み【カンヌ2022より】

UnsplashのJonathan Chngが撮影した写真 寝ても覚めてもプラスチック 先週は3年ぶりのF1日本グランプリ観戦のために記事の更新をお休みさせていただきました。晴天の土曜日から、雨に濡れた日曜日の決勝レースまで。観戦自体は素晴らしい体験だったのですが…

果物の廃棄部分を見事にアップサイクルしたDoleの取組み【カンヌ2022より】

UnsplashのPineapple Supply Co.が撮影した写真 リサイクルから、アップサイクルへ 思えば6月末に開かれた世界的クリエイティビィの祭典・カンヌライオンズ2022から既に3ヶ月が経ちました。あらゆる受賞作がインフレ的に評価される祭りの喧騒から離れ、落ち…

eスポーツで更生を!史上初の刑務所eサイクルチーム【カンヌ2022より】

UnsplashのEmiliano Barが撮影した写真 インクルーシブの波は、塀を越える 古今東西、罪を犯した人はそれを償い、更生する必要があります。しかし、映画「ショーシャンクの空に」でも触れられていた通り、刑務所にいることで外部との人間関係が失われてしま…

女性たちの「泳ぎたい!」を応援したドバイでのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのLi Yangが撮影した写真 最大公約数を取る時代から、誰も取り残さない時代へ このブログでも何度か書いていますが、時代の考え方は、ここ10年で大きく変わりました。 ひと昔前までは「大多数の人にとってより良い品を、より安く」という、大量生産…

世界的キャットフードブランドによる、珊瑚礁再生のためのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのFrancesco Ungaroが撮影した写真 先週に続き、海の環境問題への取り組みについて 先週ご紹介した「プラごみ」だけが海洋が抱えている問題ではありません。海は気候変動により世界的に水温が上昇、結果、海中の生態系にも大きな狂いが生じ始めてい…

海辺で飲みたいビールブランドによる、海辺を守るためのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのAnastasia Palagutinaが撮影した写真 困った時の”ゲーミフィケーション” 各種メディアの取り組みにより、海に投棄されるプラごみが今のペースで増えると、2050年には海に浮かぶプラごみの総重量が海に住む魚の総重量を上回ってしまう、ということ…

女性が避妊薬を服用する権利を広げた、ホンジュラス発のキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Becca Tapert on Unsplash 避妊の手段が制限されている日本でも参考になる発想 この世に完璧な社会など存在せず、どのコミュニティにも進んでいる部分と、遅れている部分が存在します。日本の場合、避妊にまつわる分野が世界的に見て遅れている部分…

気候変動に対する見事な”選択肢”を示した保険会社のキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Matt Palmer on Unsplash 気候変動対策にも攻めと守りが この夏も世界的な異常気象が伝えられています。ここまで毎年、世界のどこかで異常が伝えられていると、特に自然との距離が遠い都会ではそれらの情報に慣れてしまいそうになりますが、気候変…

武力による文化財の破壊に対し、デジタルの力で立ち上がる【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Max Kukurudziak on Unsplash 終戦の日を前に、人類の破壊について考える また、8月15日がやってまいりました。 アフター5に賑わう戦前の銀座の映像を見たことがありますが、そのきらびやかな夜景にふと「もし東京に大空襲がなかったら今の銀座はど…

メキシコの女性たちに「与信」で自信を与えたデジタルキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Daniel Lerman on Unsplash デジタルは(時には落ちるが)役に立つ? 先日、リモートワークには欠かせない人も多いだろうMicrosoftのTeamsが世界的に落ちました。たしか半日余りで復旧したと記憶しているのですが、その日はデジタルがこの世界にも…