世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

プラスチック容器を使い捨てさせないための、インド発のユニークな取り組み【カンヌ2022より】

UnsplashのJonathan Chngが撮影した写真

寝ても覚めてもプラスチック

先週は3年ぶりのF1日本グランプリ観戦のために記事の更新をお休みさせていただきました。晴天の土曜日から、雨に濡れた日曜日の決勝レースまで。観戦自体は素晴らしい体験だったのですが、サーキットにいる間はお腹が空いてはプラ容器に入ったお弁当を食べ、喉が渇いてはペットボトルの飲料を飲み、雨が降ればポリエチレンのポンチョを被る…ということで、自分の生活がいかにプラスチックに依存しているかについてしみじみ考えさせられる機会でもありました。

どうすれば私たちは、このプラスチック依存から脱却することができるのでしょうか…?ということで今回は、P&Gと並ぶ世界的ホームケア商品のブランド、ユニリーバがインドで始めた素敵な「プラスチック容器の再利用」についての取り組みをご紹介します。

この取り組み、カンヌライオンズ2022のサステナブル・コマース部門で金賞、SDGs部門で銀賞を受賞するなどの評価を得たアイデアです。詳しくはぜひ、以下の解説ムービーをご覧ください。

「Smart Fill / スマートな充填

youtu.be

【雑和訳】ナレーション: パッケージは、ブランドの顔。でもインドでは、それは同時にプラスチック汚染の顔でもあります。/ 文字:”世界最大のプラスチック消費地のひとつ -UNEP” /

キャスターA「プラスチックは道路にも、海にも、山にも」/ キャスターB「何千トンものプラスチックが…」/ ユニリーバCEO アラン・ヨープ「不都合な真実として、そのゴミのいくつかには我々の社名がついており、その事実を看過するわけにはいきません」/

ナレーション:ユニリーバの液体商品はインドの家庭の90%に浸透しています。私たちにはサステナブルなビジネスへの転換が求められていました。/ そこで私たちは私たちの最も価値あるブランド資産である、商品パッケージを犠牲にすることにしました。私たちの取り組みを紹介しましょう、Smart Fill(スマートな充填)です。/

これは売り場で体験できる経験で、私たちユニリーバの液体商品を、他社ブランドの旧式ボトルや炭酸飲料のボトル、さらにはライバル社のパッケージに至るまで、様々な使い捨てプラスチック容器に充填して購入することを可能にするものです。/

これは、インド人共通の慣習である「容器の応用」にインスパイアされた新しいビジネスモデルです。/ 「私たちは液体商品の充填ステーションを主要な小売店を通じ、インド中に展開。/

購入者は充填したい商品を選び、必要な量を入力し、スマートな充填を行い、バーコードで買った分だけの料金を支払うだけ。/ それぞれの商品はディスカウント価格で提供され、人々は容器代を浮かせるだけでなく、少ない量でも買うことができ、 結果試しに購入する人たちも増加しました。/

世界最大の人口を持つ国のひとつとして、この取り組みが世界に与える影響は注目を浴び、賞賛されました。/ 文字:”サステナブルなパッケージの未来形 -ET Retail.com” / 文字:”ユニリーバはリフィル革命を始めている -BusinessLine” / 文字:アーンドメディアによるPR効果 1.5MM  / レポーター「人々に使用済みプラスチックを再利用し、それにホームケア商品を充填する機会を与える、業界初の試みです」/ 文字:リピート購入率 85% / 文字:10万を超える家庭にリーチ

ユニリーバCEO アラン・ヨープ「ユニリーバでは、自社商品におけるプラスチック・パッケージの使用を再考察しています。私たちは、プラスチックの使用についてドラスティックに取り組んでいる、といっても良いでしょう」/

ナレーション:これは 液体商品のパッケージ生産量を段階的に減らしつつ、買い物客たちや地球のためによりスマートで、よりサステナブルなソリューションを与える、新しい商取引モデルなのです。

社名ロゴ:Unilever

ソリューションの分母を増やす

いかがでしたでしょうか?廃棄プラスチックの問題については生分解性のプラスチック代替素材の開発から、今回ご紹介した小売の現場での取り組みまで、本当に多種多様なソリューションが今現在、世界中で試行錯誤されている状況だと思います。

この世の中、どんなアイデアが大きなソリューションにつながるか分かりません。そう考えると今回のこのアイデアのように、誰でも考えつきそうなアイデアでもまずは本気でトライしてみる。そしてそこからの学びを、次のアイデアに活かす。

そんな風に「ソリューションの分母」を全世界で増やして、人類全体で学びの輪をぐるぐる回していくことがやがて人類に僥倖をもたらすのでは、と考えております。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!