世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

黒人のビジネスオーナーをサポートし続けるGoogle【カンヌ2021・22より】

UnsplashのVonecia Carswellが撮影した写真

継続自体に価値がある

私がこれまで紹介し続けているキャンペーンの中には、アイデア自体は素晴らしく、続ければ社会に変化を与えうるものなのに単発の活動で終わってしまい、結局は賞を獲得し、評価されることだけが狙いだったのかな?というものも少なからずあります。

あの試みはどこに行ってしまったのだろう…というものを思い出すたびに寂しい気持ちになりますが、今回はそんな気持ちを吹き飛ばしてくれるGoogleの素敵な試みをご紹介します。

アメリカで感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日にやってくるブラックフライデー。国中の人々がこぞって買い物をする金曜日ですが、そのネーミングにちなんで、Googleでは「ブラック・オウンド・フライデー(黒人オーナーのための金曜日)」というキャンペーンを2020から継続しています。

マイノリティゆえビジネス上の不利が続く黒人のコミュニティを支えるこのプロジェクトの素晴らしいところは、それが今も継続している、ということだけではなく、その中身も年々進化しているところ。毎年カンヌなどの国際クリエーティブ祭で高い評価を得ている各種コンテンツの「質の高さ」にも注目したいところです。

それではまず、このキャンペーンが始まった最初の年、2020年の同キャンペーンの取り組みについてまとめられたビデオを見てみましょう。

「Black Owned Friday / 黒人オーナーのためのフライデー」

vimeo.com

【雑和訳】ナレーター:ブラックフライデーといえば、問題含み。だけどパンデミックはもっと深刻な問題を引き起こしました。/ 黒人オーナーの実に41%がお店を完全に畳んでしまいました。/そこで黒人オーナーたちを助けるために、私たちはショッピングが、彼らへの支援活動になることを訴えました。/

黒人オーナーのためのフライデー・テーマソング ♪ブラックフライデーに、人々はお得な買い物を求めるけど、私たちはあなたの気持ちと貴重なドルを 黒人オーナーのビジネスに使って欲しいの そう、今ことあなたの愛を示すべき時 11月27日に…♪ /

TVレポーター「ラッパーのワイクリフ・ジョンがGoogleのために書いたこのジングルは、今年のブラックフライデー、彼らがいう”黒人オーナーのためのフライデー”に人々が黒人オーナーのお店で買い物をすることを訴えているものです」/

ナレーション:”黒人オーナーのためのフライデー”を始めるにあたり、私たちはグラミー受賞アーティストに彼らの好きなスモールビジネスへのジングルを作ってもらいました / (曲が入る) / ナレーション:ワイクリフは、この曲を好きなビーガン用ジュースカフェのために作りました / (別の曲が入る) / ナレーション:ポップスターの アリ・レノックスは、このラブソングをプラント・ストアのために作りました /

私たちはソーシャルメディアでも、スモールビジネスでの買い物を応援しました / そして、”黒人オーナーによるビジネス”を示すアイコンを開発。人々がお店を場所を探しやすくしたのです/

私たちの作ったジングルは音楽のストリーミングプラットフォームを席巻しました / そしてこの話題は然るべき場所に拡散したのです/  (いくつかのメディアによる評価の声が入る) / テレビの司会者「Googleが黒人オーナーたちの頑張りをサポートしているのはは本当に素晴らしいことです」/

ナレーション:私たちがサポートするビジネスのセールスは、かつてない上昇を記録しました /文字要素:IGトラフィック計測で3,000超%までのセールス向上を記録 / ソーシャルメディア上での”黒人オーナーのビジネス”への言及が300%プラス / 5億2,300万のキャンペーン・インプレッションを記録 /

ナレーション:もしあなたが”黒人オーナーのためのフライデー”に買い物しそびれたと思っても悲観しないで。それ以外の日でもあなたはドルを使うことで違いを生み出し、愛を示すことはできるのですから / Googleのロゴ入る

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いかがでしたでしょうか?そしてこの2020年11月のブラックフライデーでの成功を受け、2年目となる2021年11月、Googleはこのキャンペーンを以下のように進化させました。

クールなミュージックビデオそのものを、買い物サイトに組み込んだのです。ではそのミュージックビデオをご覧ください。

「Black Owned Friday 2021」

youtu.be

こちら、最高のアーティストたちによる音楽やミュージックビデオだけでも十分にクールですが、中に出てくるエキストラの人々も実際にスモールビジネスを経営する黒人オーナーたちです。

お見せしているのがミュージックビデオだけなので、実際に買い物サイトの中でこのミュージックビデオがどう組み込まれ、どのように黒人オーナーをサポートする買い物できるのか、わかりにくいと思います。でもご安心を!

昨年(2022年)11月のブラックフライデーもGoogleは音楽とビデオを更新し、同じ試みをしてくれています。こちら最新版ウェブサイトは今も生きておりますのでぜひ、以下の「Black Owned Friday」のウェブサイトをクリックいただき、ご確認いただければと思います。

(ミュージックビデオの途中で右上のボタン"Shop this scene"をクリックすると、その場面に関連した黒人オーナーが売る商品を購入できる仕様になっております。)

↓必見の「Black Owned Friday 2022」ウェブサイトはこちら

smallbusiness.withgoogle.com

そしてこちらのクールなミュージックビデオ、昨年よりもさらに進化しているようで、ミュージックビデオの途中に時折出てくる選択肢をクリックすると、ミュージックビデオの場面がそれに合わせて変化します。昔のアドベンチャーブックみたいで、何回も見たくなりますよね。

ミュージックビデオも毎回すごい。さすがはエンタメ王国アメリカです。

 

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!