今回も母のチカラを感じる名キャンペーンをご紹介
先週ご紹介した、Daveによるキャンペーンはいかがでしたでしょうか?子供の世界から見た、母親の影響力をうまく活用したアイデアだったのですが、これを調べているうちに思い出した2015年のキャンペーンを今回はご紹介したいと思います。
(こちら個人的には昔からとても好きなアイデアなのですが、なぜか過去にこのブログでご紹介していなかったので、今回がチャンス!ということで寄り道させていただきます。)
2015年のカンヌライオンズ、プロモーション&アクティベーション部門などで金賞を獲得したアイデアです。それでは説明ビデオをご覧ください。
「Security Moms / ママ警備員」
【雑和訳】
母親「スタジアムで、暴力沙汰なしにサッカー観戦できたことなんてありません」 / 「一回、息子が殴られたこともあって。それで彼、やり返しちゃって」/ 「息子がサッカー観戦に行くときは覚悟しますね」/
BBCのアナウンサー「近年、ブラジルはサッカースタジアムでの死亡者数において世界をリードしてしています」/ 文字要素:昨年の死亡者数・19人、負傷者数・132人 /
文字要素:騒ぎを起こすファンたちはルールを守らない / では、どうしたら彼らを止められるのか?/
タイトル:ママ警備員 /
文字要素:私たちは、最も暴力的なファンの母親たちに、試合の警備をしてもらうようお願いした /
地域の巡査「手に負えないときは警察を呼んでください」 /
文字要素:そして、シーズンを通して最も暴力的な試合において… / 横断幕 "本日は、ファンのお母さんたちにより警備が行われます。敬意をもって接してください" / 文字要素:彼女たちは、観客たちの秩序を保った /
BBCのアナウンサー「誰にとっても驚きの結果です」/ 文字要素:…そして、彼女たちの子供たちの秩序も /
BBCのアナウンサー「この取り組みは、とても心に響く効果を生み出しました」/ (*このニュースを取り上げたいろんなメディアのロゴが入る)/ BBCのアナウンサー「これはまさに、世界的いなインパクトを持つキャンペーンです」/
ニュースキャスター「この結果が偶然のものかどうかはわかりませんが、いつもなら刃傷沙汰必至のこの試合が、全くの平和理に行われたのです」/
ファン「毎試合やれば、暴力的な事件もなくなると思うよ!」/文字要素: 事件数:2013年=10件・2014年=18件・2015年=0件 /
ザ・ガーディアン紙 ”誰も母親の前で暴力に訴えようとは思わない。特に自分自身の母親の場合は” /
タイトル:ママ警備員
時には見返したい、パンチの強い過去の名キャンペーン
いかがでしたでしょうか?今回の企画、正直言ってかなり古いものですが、自分も現役クリエイターとしてチャレンジしていた2010年中頃までのカンヌライオンズ受賞作には、今回の企画のように、視点を一つ変えるだけで大きな変化を生み出すような「パンチ力の強い」企画がもっと多くあったように感じております。
それと比べると最近の受賞作は、ポリティカルコレクトネスが重視される世の中の影響か、#metooムーブメントやSDGs、Inclusivenessなど、年毎にフォーカスが目まぐるしく変わる世の中の”時流”にうまく乗った、比較的ストレートな企画が多いような気がしております。
個人的には昔の方が(本当にやったの?という怪しいものも数多くありましたが汗)クリエイターたちにとって刺激的だったのかな、とは思います。
ただし、全くもってどちらの傾向が正しくて、どちらが正しくない、という話ではありませんし、今のものも、グランプリ級のアイデアはやはり、かなり強いパンチをもっています。
状況に応じて両方のパンチを使い分け、ここぞというときにメガトンパンチで世の中を一気に変える。そんな未来を目指す若いクリエイターたちに、このブログが少しでも参考になれば幸いです。
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!
<おまけ>サッカーがらみのアイデアに関する過去記事、名作が多いので以下に貼っておきますね!