うろ覚えで知った気になっていた名作、ちゃんと見ます!
私は大学4年生だった1996年の「国際広告祭」時代からずっと世界のクリエイティビティの祭典、カンヌ国際クリエイティブ祭の受賞作品を追ってきた変わり者なのですが、時には他の様々なことが忙しく「わかったふり」で実質上スルーしてきたアイデアもたくさんあります。今回はそんな「モヤっとしたままなんとなく理解したことにしていた」過去のカンヌ受賞作をしっかり勉強しようと思います。
取り上げるのは、グリーンピースのポーランド支部による、自国の原始林保護のための素晴らしい取り組みです。
ちなみにこちら、2018年のカンヌライオンズEntertainment部門やMedia部門、Social &Influencer部門で金賞を獲得した取り組みになります。それでは早速、その解説ムービーをご覧ください。
「The Last Tree Standing / 最後の一本の樹木まで」
【雑和訳】文字要素:Bialowiezaの森、それはヨーロッパで最後の原始林 / ニュースメディアPOLITICOからの抜粋「EU委員会は、ワルシャワ当局が不法にUNESCOが保護しているBialowiezaの森を伐採していると発言」/ The Economistからの抜粋「ポーランド政府は危惧する科学者やNGO、一般市民からの反対意見を無視」/
文字要素:政府がその森を封鎖した時 / 私たちは新しい森を作った / タイトル:最後の一本まで /
TV番組の司会者「Bialowiezaの森が、仮想現実の空間にコピーされました。…あくまでも一時的に必要となることを願いますが」/
文字要素:私たちは、その森の地図のデジタルコピー版を作りました / …そして、原寸大のスケールでマインクラフトにて公開したのです /
…その規模は19ギガバイト / 樹木数 : 700万本 / 使用ブロック数:500億 / ゲーミングのコミュニティはこの試みに即座に好意的に対応 /
マインクラフトの公式アカウント”グリーンピース・ポーランドが私たちのゲームをBialowiezaの森保護のために活用!” / Maja Maj "何てことだ。母国を誇りに思うよ!" / Ludvig "ここに生態系を作っていこう" / Eser "すごいすごいすごい!" / (各種インフルエンサーの声に、さまざまな大手メディアの見出しが次々と映し出される) /
文字要素:その地図は、アート・プロジェクトにも活用されました / 学校教育で活用される頃には… / 生徒たちにはすでに知れわたっていました /
そして、私たちはそれをすべて消し去ったのです / …ポーランド最大の、Twitchによるイベントの開催中に / たった一本の樹木だけを残して / その衝撃が、人々を行動へと駆り立てました /
署名数:17万人 / このニュースは1億人以上に到達 / The Guardianの見出し "ポーランドの首相が環境大臣を更迭" / Deutsche Welleの見出し ”ポーランドは12月についに伐採を延期” /
タイトル&ロゴ 「最後の一本の樹木まで」グリーンピース
5年前はマインクラフト、今年はChatGPT
いかがでしたでしょうか?毎年毎年、カンヌではその年に話題のプラットフォームを活用したこの手のアイデアはほぼ確実に受賞作として出てきます。
最近では、同じくマインクラフトを使ったこの事例が記憶に新しいでしょう↓
また、ゲーミフィケーションといえばこれも記憶に新しいです↓
そしておそらく、今年のカンヌでも2〜3、今話題のChatGPTなどを活用したアイデアがきっと受賞することでしょう。
カンヌの受賞作の多くは、車でいうとモーターショーに出てくるコンセプトカーのようなものです。それをウォッチすることで、どのようなトレンドが今後来るのか、どのようなアイデアが自分たちのターゲットに受け入れられることになるのかを予想し、比較的正しい方向にアンテナを張ることができるのかな、と思います。
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!