過去のあやまちを、いかに忘れずにいられるか
先日、広島でのサミットで世界各国の首脳が広島平和記念資料館を訪れ、原爆の犠牲者のために献花を行いました。平和を祈る気持ちと彼らが話し合っていることのギャップを非難する声もありますが、幸いなことに民主主義国家に住む日本の私たちにとっては、平和を守るのは最終的に私たち一人一人の責任になります。
ニュースを見てサミット終了後、資料館には普段よりも多くの人々が訪れている、という話もあります。平和を守るためには、何が起きたのかの事実を知り、過去のあやまちを繰り返さないよう私たち一人ひとりが「忘れないこと」がその第一歩になると思います。
…ということで今回取り上げるのは、オランダの通信会社による、第二次世界大戦で起きたことを次の世代へ語り継ぐためのアイデアです。
ちなみにこちら、2018年のカンヌライオンズEntertainment部門でグランプリや金賞を獲得した取り組みになります。それでは早速、その解説ムービーをご覧ください。
「Evert_45 / 45年のエバート」
【雑和訳】文字要素:毎年5月4日と5日、オランダは第二次世界大戦の戦没者を偲び、戦争からの解放を祝福します / (戦争体験者の現在の姿が次々と映し出される) /
ナレーション:戦争を生き延び、当時のことを伝えられる人々の数は減り続けています / 記憶の風化を憂慮する退役軍人の新聞記事を読んだ時、私たちは考えさせられました / どうすればこのような過去の個人的な体験の記憶を、現在のデジタル世代に伝えられるのかと /
そこでオランダの通信会社、kpnが始めたのが”45年のエバート”というキャンペーン / 13祭の少年がYoutubeに登場 / エバート「やぁ、エバートだよ!」/ ナレーション:そして、インスタに戦争についてのポストを投稿しました / あたかも、彼が45年の4月や5月に生きているかのような設定で / そうすることで、エバートは彼の若いフォロワーたちに向け、彼の個人的な暮らしについてのインサイトを与えたのです /
そしてそれは、リアルで、辛い物でした / これらのエピソードは、当時実際に人々の身に起きたことです / 文字要素:彼らはちょうどこのように、9人の人々を撃ちました / 文字要素:何週間もの間、私は両親が死んだものと思っていました / 文字要素:このキャンペーンは、オランダの”5月4日、5日委員会” や オランダのレジスタンス記念館、ラッドバウト大学の第2次大戦についての歴史家、ヨスト・ローゼンタール氏とのパートナーシップにより実現されました /
このキャンペーンはたったの3週間でオランダの若者たちの70%にリーチするという結果を残しました / そしてエバートの歴史的教訓を含んだYouTubeチャンネルは、合わせて130万分を超える試聴時間を記録 / 視聴者の間に大きな反響を巻き起こし、このコンテンツは学校でも試聴されました /
10歳のTijlくん「本やノートパッドではつまらないと感じていましたけど、エバート45のような取り組みはこれからもどんどん行われるべきだと思いました」 / 先生「過去と現在をこのように繋げることは、とても今的な取り組みだと生徒たちも感じていると思います」 /
文字要素:現在、”45年のエバート”は、オランダ中の学校で教材として使われる見込みです / ナレーション:5月4日の後、エバートのストーリーは”45年のエバート.com”のウェブサイトに保存されました / このデジタルアーカイブでは、誰もがエバートの物語を永遠に見ることができます /
かくして、エバートと… / 戦争体験者A「私と」/ 体験者B「私と」 / 体験者C「私の」/ ナレーション:個人的な物語は、見事に新たな世代へと受け渡されたのです / タイトル:45年のエバート-kpnによるイニシアチブ
現在のSNSで当時の出来事をリアルに再現
いかがでしたでしょうか?こちらの取り組み、残念ながらWebサイトはもうないようで、インスタも閉鎖されています。解説ビデオにあった「永遠に見ることができる」という言葉は何だったのかと思いますが、まあいろいろあったのでしょう。
ちなみにこちら、似たような事例として、Facebookを使って第1次世界大戦を戦った兵士のストーリーを再現した取り組みが過去にありますので、参考までに以下にリンクを張っておきます。
アイデアの基本構造は同じでも、プラットフォームやターゲットを変えることでここまで違いが出せるのか、ということを把握しておく意味でも、両方とも知っておいて損はない事例だと思います。
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!