世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

パーキンソン病患者への関心を集めた見事な「視覚化」

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Photo by Tim Mossholder on Unsplash

当事者にしかわからない病気の症状

私もそろそろアラフィフに突入します。幸いなことに周りの人々に恵まれて精神的にはとても充実しているのですが、体は少し無理をするとピリリと痛みが入る年頃になりました。若い頃にはこんなことが我が身に起こるなんて想像すらできなかったのですが…(ゆえに、神経痛の薬のテレビCMは他の惑星のもののように見ておりました)。

軽い神経痛のような、誰にでも起こりうる症状ですらイメージができなく、その辛さをわかってあげられないのが人間です。ましてや「パーキンソン病」のようなより深刻で、認知も進んでいない病気においては、その患者の苦悩や孤独は相当なものだと思われます。

今回はデジタルデバイスを活用してその症状を見事に視覚化、人々の関心や共感をパーキンソン病に向けさせることに成功したキャンペーンをご紹介しようと思います。

世界的クリエイティビティの祭典カンヌライオンズ2020/2021のヘルス&ウェルネス部門で金賞を獲得した取り組みです。それでは以下の紹介動画をご覧ください。

パーキンソン病にかかった3Dプリンタ」

www.youtube.com[雑和訳] ナレーション「史上最も偉大なファイター、モハメド・アリ。しかし、彼にも勝てない相手がいました。それは、パーキンソン病。多くの人たちにとって、その病との戦いはまだ続いています。

9分に1度、誰かがこの病気だと診断され、この病気は世界で最も患者数が増えている神経障害となっています。そして今もなお、それは不治の病なのです。

紹介しましょう。”パーキンソン病にかかった3Dプリンタ”。人間の病に初めてかかった3Dプリンタによるアートコレクションです」 文字:「6人の患者のストーリーを具現化した6つのアート作品」

女性の患者「会社ではアルコール中毒なんじゃないかという噂を立てられてしまって…」 男性の患者「いっそ木や柱に車で突っ込んだほうがマシなんじゃないかと思うこともありました」

ナレーション「我々は患者たちに、病気により使いにくくなってしまったモノや道具について話してもらいました。そしてそれぞれの患者からEEGシステムと速度計を通じて、動作と神経に関するデータを記録。6人分のデータをまとめ、それぞれの「病状」のデータを3Dプリンタに流し込んだのです。

そして彼らが話した”使いにくくなったモノや道具”を、それぞれの患者の病状である”体の震え”を移植した3Dプリンタにより作成。彼・彼女らが日々の暮らしで悩んでいるパーキンソン病の症状を視覚化しました。

これらの作品は”世界脳の日”に公開、ベルリンにて展示されました。併せてオンラインでは、人々にパーキンソン病の初期症状や進行、そして最新の治療状況について啓蒙するストーリーを展開。作品は健康に関する会議でも展示されました」

*この話題を取り扱ったニュース映像が続く ナレーション「結果、この病気について理解を深め、研究を進めることの大切さについての議論を再び盛り上げることに成功したのです。今、これらの作品はS herrattの神経学部に永久展示されていて、全ての患者たちが一人ひとり、自分のストーリーを伝え、汚名をそそぐためのインスピレーションを与えています」

技術の進化でアイデアも進化していく

いかがでしたでしょうか?これは3Dプリンタという、比較的最近普及したデバイスを斬新な方法で応用することで活用して実現した、これまでになかったメッセージの伝達方法です。

このように、技術の進化に合わせてコミュニケーションの方法はどんどん広がっていきます。そして、技術進化のスピードは今もなお加速しています。

それを考えた場合、アイデア発想のための1手段として、例えばこのブログで過去のアイデアを振り返り、それを今の技術で行うとしたら何ができるんだろう…と思いを巡らせるのもいいのかもしれません。

ということで、本ブログで過去に触れた、難病への支援の輪を広げるためのアイデアを集めた以下の2記事も参考になると思います。

wsc.hatenablog.com

wsc.hatenablog.com

特に1つ目の記事に紹介されている「The Most Powerful Arm Ever Invented」は今回ご紹介したアイデアにも通じるものがありますので、ぜひご覧いただければと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!