世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

より良い未来のために、LEGOがコロナ下のポーランドで行った教育的取り組み

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Photo by Xavi Cabrera on Unsplash

今回は新型コロナウイルスの流行により対面での交流が著しく制限されている中、ブランドは世の中のために何ができるのか、ということの一例としてこの事例をご紹介したいと思います。

ポーランドでは、いまだに電力のおよそ8割を石炭による火力発電に頼っていて、The Economist曰く、「ヨーロッパで一番大気汚染のひどい国」だそうです。なのにグリーンエネルギーの普及を訴える若い世代に対しても、政府は「グリーンエネルギーを学校で教育する必要はない」と答えるなど、積極的に動こうとしません。

そこで当地のレゴはコロナ下、在宅で学ぶポーランドの子供たちに向けて、レゴブロックを使ったとてもユニークなオンラインレッスン「Green Instruction(グリーンなトリセツ)」を公開しました。

その内容をまとめたケースフィルムが、こちら↓

vimeo.com

このレッスンの内容は、以下の通り。

・飛行機を組み立てるためのレゴで、電車を作る。

・炭鉱の世界を組み立てるためのレゴで、風力発電用の風車を作る。

・自動車を組み立てるためのレゴで、自転車とキックボードを作る。

などなど。

つまり「環境負荷の高いもの」を組み立てるために販売された過去のレゴブロックで「環境負荷の低いもの」を組み立てる体験を通じて「今の世界をよりサステナブルな世界へと”組み立てなおす”」ための方法を学ぶ、というレッスンで、それぞれの組み立て方のトリセツの表紙には「電車は飛行機に比べ95%少ないCO2しか排出しない」、「電動キックボードは自動車に比べ39%少ないCO2しか排出しない」などの知識が明記されました。

この取り組みはたった2週間で200万を超えるインプレッションを記録するなど、ポーランド中で大きな話題を呼んだだけでなく、グリーンなトリセツをダウンロード可能にすることで、国中の教師たちが自発的に子供たちへのレッスンを行えるようにしたとか。

多くの家庭にあるレゴブロックを活用した、レゴならではの楽しい環境啓蒙活動。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。

それではみなさん、また来週!

国が突然、ネットを遮断したらどうします?

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Photo by Michael Dziedzic on Unsplash

突然のありえなすぎる”if(もしも)”をタイトルで投げかけてしまいましたが、実はこれ、2年前のインドで実際に起きた出来事なんです。詳しくはTechCrunchによるこちらの記事をご覧いただければと思うのですが、2019年8月5日、インド政府はイスラム教徒が多く住むカシミール地方の通信網を突然シャットアウト。以降、最高裁の判断により憲法違反と認められるまでの158日間、途中携帯での通信が再開されるなど、部分的な再開はあったものの、当地に住む人々はほぼ完全に「知る権利」を奪われてしまいました。

そこで立ち上がったのがエッジーな世界的デジタルメディア「VICE」。彼らはシャットアウトから142日後の12月24日、SMS(ショートメール)サービスへのアクセスが再開されたまさにその日に、ネット上のニュースをSMSでも読めるようにピクセルなどで”翻訳”。データ量を極端に減らした「8ビット・ジャーナリスト」として、カシミールの人々が知りたい情報を提供し始めたのです。

その概要を紹介するムービーが以下となります。最初は事故か何かかな?と思っていた通信網の遮断が50日・100日と長引くにつれて、焦燥感が増していくカシミールの一市民の気持ちが追体験できるような、巧みな構成になっています。「もし、自分の国でも同じことが起きたらどうなってしまうんだろう?」そんなことを考えながらご覧いただくと、この取り組みの意義がより一層、理解できると思います。

www.youtube.com

ネットの規制が解除されるまでの短い間(およそ2週間)の取り組みでしたが、このサービスにアクセスしたカシミールの人々はなんと120万人にのぼり、実に住民の86%がこのSMSによる記事を閲覧したそうです。

自分が絶対的に優位な立場にいる時、聖人君子でいられる人は残念ながらそんなに多くありません(むしろそれに近い人でも、大部分が腐敗していくのが世の常です)。近・現代史を見ても国民が知る権利を奪われてしまうことは権力側に絶対優位をもたらし、その暴走につながるケースがとても多いように見受けられます。

恥ずかしながら、このアイデアに出会うまで私もインドでこのような事態が起きていたことを全く知らずにいました。カシミールに住む人たちの安寧を祈りつつ、他山の石として、このアイデアをしっかりと記憶に刻んでおこうと思います。

あえてのローテクで権力に争い、人々に「知る権利」の小さな炎を灯し続けたこのアイデアに敬意を評したいと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

<過去記事より:ローテク通信(機器)を活用し、人々に喜びをもたらしたアイデア集> 

wsc.hatenablog.com

↓2つ目のアイデア「Infection Alert System(感染警告システム)」をご覧ください。
wsc.hatenablog.com

wsc.hatenablog.com

【ポッドキャスト・アーカイブvol.13】過激!政治家に道路の舗装を直訴したロシアのソーシャルキャンペーン(2015年1月1日のブログより)

anchor.fm

本ブログの、2015年の1月1日掲載分の記事を要約してポッドキャストにしました。週に一度、たった2分ちょっとのアイデア復習。

上記ご聴取いただき、ご興味沸きましたらぜひ元記事もお読みください。 

元記事へのリンク: 

wsc.hatenablog.com

 いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね!

「ノーマル」を禁止用語にした、ユニリーバの英断

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Photo by Omar Lopez on Unsplash

本ブログでも前にご紹介したサステナブル・リビング・プランなど、人類のより良い未来のために先進的な取り組みを続けてきたユニリーバが先日「ポジティブビューティ・ビジョン」を発表しました。その中で彼らは自分たちの石鹸やシャンプー、スキンケア製品の広告やパッケージに関して「ノーマル(普通、標準)」という言葉の使用を止める、と宣言しています。

そのココロについては、ピンとこないところがある方もたくさんいらっしゃると思います。

そこでまずは、ユニリーバがその意図をまとめたビジョンムービーを和訳文つきでご紹介したいと思います。今の社会で「ノーマル(NORMAL)」とされているものに次々と「NO」を突きつけていく、美しくも勇敢な内容をご覧ください。

www.youtube.com

<ムービー翻訳>

普通、女の子は男の子より弱い。(NO)

普通、男性は男らしくあるべきだと言われる。(NO)

黒人の少女が髪のせいで停学になるのも普通。(NO)

子供たちが防げる病気で死んでしまうのも普通。(NO)

安全性を確認するために動物実験を行うことも。(NO)

プラスチックで海を汚染したり、森の木を切り倒すことも。(NO)

美しさにも「普通はこういうものだ」という思い込みがある。(NO)

…でもそれって、ノーマル?

我々は、違うと言います。(NO)

我々は、これらのことを「普通」だと捉えてしまう世界を受け入れません。

なので、我々は自分たちの商品や広告から、「ノーマル」という言葉を取り除きます。

もっとインクルーシブ(包括的)な美のビジョンを作り上げていくために。

だけど、それだけでは十分ではありません。

我々は「より無害であること」を目指すだけでなく、「より良いこと」をなすべく、取り組みを進めていきます。

我々は健康や衛生、ウェルビーイングを推し進めることで10億人の人生を豊かにします。

身体への自信を育み、包括的であることを讃え、人種や性による差別と戦います。

そして、我々の商品を作るために使われるものよりも多くのものを守り、再生していきます。

それは150万平方ヘクタールの大地や森、海を守ることを意味します。

普通という名の束縛にNOを。

そしてポジティブビューティにYESと言おう。

#YesToPositiveBeauty

 

基本的にはこのムービーに当ビジョンのほぼ全てが凝縮されていますが、この取り組みの背景にある消費者調査の結果なども包み隠さず、ユニリーバのホームページには記載されてますのでお時間がある方は是非、以下のリンクをご覧ください。

www.unilever.co.jp

なお、上記の記事によると、「広告の見栄えを良くするためのモデルの画像の修正」なども禁止するそうです。こうした細かなところからも”やるからにはとことん”という姿勢の本気度が見て伺えます。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!

 

<参考記事:本ブログの過去のユニリーバに関する記事>

wsc.hatenablog.com

wsc.hatenablog.com

【ポッドキャスト・アーカイブvol.12】重い教科書が子供の心身にかける負担を、あえての角度から解決したフィリピン発のナイスアイデア(2015年3月6日のブログより)

anchor.fm

本ブログの、2015年の3月6日掲載分の記事を要約してポッドキャストにしました。週に一度、たった2分のアイデア復習。

上記ご聴取いただき、ご興味沸きましたらぜひ元記事もお読みください。

 

元記事へのリンク:

wsc.hatenablog.com

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね!

ダウン症の人々の社会進出をポジティブに促す、楽しいメッセージムービー

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Photo by Nathan Anderson on Unsplash

本日3月21日は「世界ダウン症の日」です。ダウン症候群の啓発と、ダウン症と共に生きる人々への理解促進を目的に2012年、国際デーのひとつとして国連に認められたこの日には、これまでも様々な取り組みが行われてきました。(過去の関連記事をご参照ください。)

wsc.hatenablog.com

そして2021年。今年の世界ダウン症の日に向けて作られた、ダウン症の人々の社会進出を応援するムービーがかなり心地よい出来栄えなので、ここに紹介いたします。イギリスを代表するアーティスト、Stingさんの歌による素晴らしいメッセージが込められています。ぜひ、ご覧ください。

www.youtube.com

<The Hiring Chain(雇用の連鎖)>歌詞:

♪パン屋がシモーヌを雇って、みんなが知った

彼女が仕事ができることを

弁護士がパン屋に行って彼女の働きぶりを見た

弁護士がジョンを雇ったのは

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

歯医者が弁護士の事務所に行ってジョンの働きぶりを見た

歯医者がソフィアを雇ったのは

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

農家が歯医者に行ってソフィアの働きぶりを見た

農家がケイトを雇ったのは

歯医者がソフィアを雇って

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

床屋が農場に行ってケイトの働きぶりを見た

床屋がポールを雇ったのは

農家がケイトを雇って

歯医者がソフィアを雇って

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋が床屋に行って…

ポールの働きぶりを見た

パン屋は知る由もなかったが

ポールの雇用は彼のおかげだった それは…

床屋がポールを雇ったのは

農家がケイトを雇って

歯医者がソフィアを雇って

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

 パン屋がシモーヌを雇ったから〜♪

締めのメッセージ:雇用の連鎖を始めよう。

(HIRINGCHAIN.ORGに行って、世界を変えよう。)

訳してても楽しくなるキャッチーな歌と、気持ちの良い映像の組み合わせで、ともすればお涙頂戴だったり、感傷的になりがちなこの手のメッセージを、日々の暮らしの中に訪れる”ちょっとした喜び”として前向きに表現することに成功したこの映像。ダウン症の人々の明るい表情がとにかく印象的で、彼らと共に力を合わせて価値を生み出せる世の中って、今よりももっと豊かで、やさしい気分に満ちあふれているんだろうな、と思いました。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

<おまけ:ダウン症に関する過去の記事 その2>

wsc.hatenablog.com

 

【ポッドキャスト・アーカイブvol.11】あっぱれ!募金箱へのひと工夫で、募金額を爆上げさせたソーシャルキャンペーン (2015年1月8日のブログより)

anchor.fm

本ブログの、2015年の1月8日掲載分の記事を要約してポッドキャストにしました。週に一度、たった2分のアイデア復習。

上記ご聴取いただき、ご興味沸きましたらぜひ元記事もお読みください。

 

元記事へのリンク:

wsc.hatenablog.com

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね!