世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

スポーツの力をドナー数向上に結びつけた素晴らしい試み

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Photo by Joshua Hanson on Unsplash

今日は、このブログですでに取り上げていたと思い込んでいて、実は紹介し忘れていたアイデアについてご紹介いたします。

 

先週、仕事の調べ物でポッと出てきまして、明日閉会を迎えるオリンピックのタイミングなども考えると、ネタ的にも今回出すのがちょうどいいのかな、と思い棚からひとつまみさせていただきました。

 

ちなみに2013年のカンヌライオンズ、プロモ&アクティベーション部門のグランプリ作品です。

 

自腹で仲間とカンヌに行って、相部屋のボロアパートからカンヌ映画祭と同じゴージャスな授賞式の会場に行き、みんなでわーすげーと眺めていた頃の思い出がよみがえる、個人的にも感慨深い逸品です。

 

題名は「Immortal Fans(不死のファンたち)」です。では、ご覧ください。

www.youtube.com

【雑和訳】スーパー文字:レシフェ・スポーツクラブスタジアム/ 女性のファン「私たちが最高のファンです。他のチームのファンとは比べ物にならないわ!レシフェが全てなんですもの!」 

スーパー文字:レシフェ・スポーツクラブは、ブラジルの中でも特に熱狂的なファンを持つ/男性のファン「一番が神、二番がレシフェ、家族がその次で、仕事は最後!」スーパー文字:彼らは、永遠にファンでありたいと願っている。そして、今ではそれが可能だ/ タイトル:Immortal Fans(不死のファンたち)/

スーパー文字:チームのサポーター向けに作られた、初めての臓器移植のドナーカード/ ファンたちは臓器提供への同意を示すドナーカードをスタジアムやFacebook、郵送で受け取ることができる/ 私たちは、統合的なキャンペーンを実施/ 実際の臓器移植を待っている人たちのリストも公開した/

角膜移植を待つアドリアーノさん「(死後、角膜を提供してもらえたら)私は、あなたの目がレシフェの試合を見つめ続けることを約束します」肺の移植を待つルイズさん「あなたの肺がレシフェのために呼吸し続けることを約束します」心臓の移植を待つマーレイドさん「あなたの心臓がレシフェのために鼓動し続けることを誓います」

スーパー文字:我々は、家族以外の人たちのために臓器のドナーとなる動機を創った/ そうすることで我々は、臓器移植を希望する人たちにとっての障壁を壊したのだ/

現地ドネーションセンターのカリーナさん「現在、臓器移植のカベとなっているのがご家族の同意です」

スーパー文字:このドナーカードには、ファンの家族たちの臓器移植に対する同意を記載。発行枚数は51,000枚を超え、その発行数は今も伸び続けている。 

ファンたちの声「これで俺はもし死んじゃってもレシフェのファン。レシフェは俺の魂だ!」「もし僕の肺が他のチームのファンに移植されても、その人はレシフェを呼吸するんだ!」レポーター「このキャンペーンは彼らのスタジアムの観客数を超える51,000枚のドナーカードを発行するなど、素晴らしい成果をあげています」

スーパー文字:ドナー数は1年で54%の増加という、これまでの歴史を更新する成果を残した/ 外科医のフェルナンドさん「このキャンペーンがドナー数の増加をもたらしたのは確かですし、心臓の臓器移植を待つ患者がゼロになった要因であることに疑いの余地はありません。」

スーパー文字:心臓と角膜の臓器移植を待つ患者たちの数はゼロに/ 司会「レシフェのキャンペーンが、多くの人々の命を救っています」スーパー文字:しかし、この施策により見る力を取り戻したアドリアーノさん以上に、素晴らしい成果はない/

アドリアーノさん「糖尿病を18年患っていて、ここ5年は透析を受けていたんです。視力が戻りました。生まれ変わった気分です。」

スーパー文字:そしてまた、新たな心臓を得たジョシナさんも/

ジョシナさんの息子「医者のロドリゴさんが電話をかけてきて、お母さんのドナーが見つかったかも、と伝えてくれたんです。お母さんを連れて来れる?と言われてもちろんハイと答えました。お母さんがまだ生きていてくれて、本当に嬉しいです」

スーパー文字:彼らは不死のファンたちから臓器移植を受けた人々の一部に過ぎない。

女性「私の心臓はレシフェのファンからもらったもの。そしてそれはレシフェのために鼓動し続けるの!だからね、レシフェのファンは登録して!この動きを次に繋げるためにも登録者を増やし続けていきましょう!」

ファンの横断幕が広がる:全てをレシフェのために。たとえ死んだとしても。

 

いかがでしたでしょうか?スポーツが持つ「立場を超えた”ファン”という共通項でコミュニティを作り上げる力」と、それに付随する「俺のチームへの愛はあいつよりも深い!」という「ファンの忠誠心を競いたい心理」をうまく利用したかなり賢い施策だと思いました。

 

もし自分がレシフェの熱狂的ファンだったとしたら、「自分の臓器を他のファンにシェアする」という行為は多分「チーム名やロゴの刺青を自分の体に入れる」行為のエクストリーム版のような気持ちでちょっと危険だけど、魅力的な行為として受け止めるでしょうし、ファン仲間の何人かにカードを見せつけられた日には、きっと登録してしまうだろうと思います。

 

そしてこの素晴らしい成果。8年の時を超えて改めて、取り上げて良かったと思えるキャンペーンでした。

 

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!