世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

コロナ下の中南米にて、たくさんの商店主を救ったビール会社による試み

Photo by Kai Pilger on Unsplash

沈黙の2年間を振り返ってみる

いよいよ、世界的クリエイティビティの祭典カンヌライオンズ2022まであと2週間。ということでこのブログでは今週と来週のあと2回、昨年の受賞作のご紹介を続けてまいります。

今回ご紹介するのは昨年のカンヌライオンズ2020/2021でクリエイティブeコマース部門のグランプリを獲得した、南米コロンビア発〜中南米9カ国へと広がったアイデアです。

この2年間、世界中のほとんどの人たちは新型コロナウイルスによってひっそりと暮らすことを余儀なくされてきました。その過程ではさまざまな試行錯誤がありましたが、パンデミックから1年のうちに有効なワクチンを開発して世界中に供給させ、2年半の間に日常を取り戻しつつある人類の叡智には、本当に目を見張るものがあると思います。

そしてその叡智は、何もワクチンを開発する科学者たちだけのものではありません。何の専門知識もない私たちだって、日々の暮らしで身の回りの困っている人々の状況を思いやり、彼らのためにソリューションを考え、実行することで人類の叡智の1ページに名を連ねることができるのです。

今回はそんなことを感じさせてくれる、世界的ビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブによるとってもシンプル、かつ素敵なアイデアです。

2年前の今頃、そして1年前の今頃。ご自身がどんな暮らしをしていたか、周りの人々とどのように力を合わせて苦境を乗り越えていったか、などなどを思い出しながらぜひ、以下の紹介ムービーをご覧ください。

「Tienda Cerca:ご近所ショッピング」

www.youtube.com

【雑和訳】ニュースキャスター「今年、COVID-19のパンデミックはたくさんの産業に大きな打撃を与えています」/ ナレーション:2020年、世界中で何百万ものビジネス活動が停止を余儀なくされました。そしてコロンビアでは、通りの角にあるような、小さな商店の経営が何百万もの家族の主な収入源となっています。

ABInBev(ビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブラテンアメリカの小売における最も大切なパートナーである彼らは、(コロナにより)深刻なダメージを被っていたのです。/ 文字スーパー:これらの商店は、コロンビアの小売市場の52%を占める /

店主A「お店を閉めるのはこの12年間で初めてです」/ 文字スーパー: 隔離期間中、これらの商店の23%が休業に追い込まれた / 店主B「こんなこと、誰も予測してなかったよ。もはやなすすべなく、店を閉めるしかないんだ」店主B「一体どうしたらいいんだい?」/

ナレーション:彼らが単独ではビジネスを続けられなくなってしまった時、私たちは彼らを繋ぎ、最もパワフルなオンラインストアを創りました。ABInBev提供、Tienda Cerca(ご近所ショッピング)。

国内で最も巨大で、究極にローカル化されたeコマースストアとして、私たちはあらゆる街角の、あらゆるブロック、あらゆるご近所の商店をデジタル化。/ 文字スーパー: サービス開始の第1週で、6万店以上の商店が登録 /

ナレーション:私たちはこれらの情報を、購入者の位置がわかるTienda Cerca.coにリンク。1クリックでWhatsAppを通じて、人々が各地の商店に直接オーダーできる仕組みを確立しました。

わずか60日の間に、私たちのウェブサイトは1,000万回以上の訪問回数を記録。登録した商店の内、実に70%が売上の上昇を示しました。(120万USドルに相当)/

司会者「メキシコへの愛と連帯の名の下、そしてメキシコのために…」/ ナレーション:9カ国(コロンビア、エルサルバドルパナマ、ペルー、メキシコ、エクアドルホンジュラスパラグアイドミニカ共和国)がこの取り組みを採用、合わせて40万以上の商店と、それを生業としている100万以上の家族を繋ぎました。/

店主A「こんな仕組みを授けてくれて、神に感謝です。本当に助かりました」/ 店主B「みんな家で物を受け取りたがるから、これは本当にありがたかったし、おかげでビジネスも回しつづけることができました」/ 消費者「このサービスで子供の学費も払ってますよ」/

文字スーパー:国の希望はテクノロジーにあるのではない。そのテクノロジーを、必要としている人々が使えるようにすることにあるのだ。ABInBev提供、Tienda Cerca(ご近所ショッピング)。

最後にキラーワード、出ました

いかがでしたでしょうか?少し本論からずれてしまいますがこの紹介ムービー、訳していくうちにカンヌライオンズなど、世界のアワードで評価を上げるための要素が本当に良くまとめられているな、と思いました。ナレーションを補強する文字スーパーがいちいち、審査員が評価を上げたくなる情報を入れ込んでいたり・・。

そして最後の「国の希望はテクノロジーにあるのではない。そのテクノロジーを、必要としている人々が使えるようにすることにあるのだ。」という一言。

アワードでどのアイデアにグランプリを授賞するかは、実はそれを選ぶ審査委員長や、審査員たちにとっても、その能力が問われる重要なポイントです。

そう考えた時、まさにこの最後の一言は、審査員がこの作品をグランプリに推す理由を代弁してくれているキラーワードだと思いました。

…などと、今回はちょっと業界風なことを語ってしまい大変恐縮ですが、自分たちが取り組んだことに対するこうした「魅せ方」のうまさも、世の中を巻き込んでいくソーシャルキャンペーンには大切な要素だと思います。

謙遜を美徳とする日本文化を基盤に持つ我々にはどうしても慣れが必要な部分ですが、謙遜すべき場と、魅せるべき場に合わせて自分のコミュニケーションを柔軟に使い分けられたら、日本文化を基盤に持つ人たちの強みや個性は、もっと世界のために活かせるんじゃないかな、と思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!