世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

【名作探訪 その8】学校の“とあるモノ”に目をつけて子供たちの衛生環境を改善したアイデア

UnsplashのJelleke Vanooteghemが撮影した写真

面倒臭い「石鹸での手洗い」を子供たちにどうやってもらうか

6月になり、いよいよ世界的クリエイティビティの祭典・カンヌライオンズ2023(6月19日-23日開催)が迫ってきました。3週間後には今年の最新の受賞作をご紹介できるのではと、今からワクワクしております。

今月末からは最新テクノロジーを駆使したアイデアをたくさん紹介することになると思いますので、今回はテクノロジーとはあまり関係のない、衛生関連商品を販売しているブランドSavlonによる、インドの子供たちに石鹸で手を洗ってもらうための素朴で素晴らしいアイデアをご紹介させていただきます。

ちなみにこちら、2017年のカンヌライオンズアウトドア部門やPR部門で金賞を獲得した取り組みとなります。それでは早速、その解説ムービーをご覧ください。

「Healthy Hands Chalk Sticks / 健康のためのチョーク」

【雑和訳】ナレーション:子どもは手を使うのが大好き。子どもは、手を使って世界を探求する。そしてインドでは、子どもたちは手を他のことにも使う。ご飯を食べること。石鹸で手を洗わずに食べることは、病気や、(それに起因する)ドロップアウトの大きな要因のひとつです /

現地の教師の声「彼らは手に水をバッと当てたら、自分の服で拭くんです。彼らは小さいですし、すぐに空腹になります」/ 大人「石鹸って使ってる?」/ 子供たち「いや」「使ってない」「使ってない」/ 現地の教師の声「子どもたちに石鹸を使う習慣はないですし、親でさえそんなに口うるさくは言いません。だから、石鹸を使うように言っても聞いてくれないんです」/

ナレーション:そこで私たちは、シンプルなアイデアを形にすることにしました / チョークに、石鹸の成分を混ぜ込んだのです/ 紹介しましょう、Savlonの健康のためのチョーク /

機能的には、普通のチョークと同じです / ただ、ランチの時間になると書き物以上の機能を発揮します / チョークの粉が、そのまま石鹸となるのです / 文字要素:石鹸と同じように手を綺麗にします /

ナレーション:この取り組みを通じて、Savlon Swasthインドは国中の学校と連絡 / 子供の健康は、彼ら自身の衛生的な手に委ねられたのです / タイトル:Savlon 健康のためのチョーク-学校でのエンゲージメントプログラム    

デジタルが通用しない場所にも課題はある

いかがでしたでしょうか?個人的に子供に石鹸で手を洗わせるアイデア、というと、このブログを立ち上げてまだ間もない頃に紹介した、この名作を思い出します。(もう7年前か…)

wsc.hatenablog.com

毎日オンライン会議やチャットで仕事に追われていると忘れてしまいがちですが、デジタルデバイスや、インターネットから隔離された世界で生きる人たちもこの世の中にはたくさんいます。そしてそれは遠い海の向こうの話ではなく、日本にも、社会的格差により適切なデジタルデバイスが手に入らず、学習に支障が出ている子供たちがいたりします。

最新のデジタル技術でこれまでにないソリューションを生み出すのも素晴らしいことですし、推進しなければならないことですが、そこに突き進む時に、取り残されかねない人たちがいる、ということを思い出す上でも、そして、そんな人たちの暮らしにもアイデアの力で良い影響を与えることができる、ということを胸に刻む上でも、今回の取り組みは知っておく価値があるものだと思いました。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!