最大公約数を取る時代から、誰も取り残さない時代へ
このブログでも何度か書いていますが、時代の考え方は、ここ10年で大きく変わりました。
ひと昔前までは「大多数の人にとってより良い品を、より安く」という、大量生産・大量消費の考え方が世の中の主流でしたが、2010年代以降、私たちはいよいよその結果が地球環境にもたらす弊害をさまざまな自然災害などで体験することになりました。
さらにそこに、デジタル技術の進展による商品のパーソナライゼーションの容易化が重なり、今現在、モノづくりの考え方は「ひとりひとりの個性に合わせて、必要なものをサステナブルに」というものになってきているように感じます。
まずは多様性を祝福すること。そしてその先に、どんな個性を持つ人でも存分に能力が発揮できるよう、その助けとなる商品を世に出し、よりインクルーシブな世の中を作り上げていくこと。
多くの企業が既にこれらを新たなゴールとして走り始めている中、彼らが打ち出すキャンペーン・メッセージの方向性も以前のものから大きく変わってくるのは当然のことと思います。
ということで今回は、よりインクルーシブな世の中を目指して動き出したadidasが、その姿勢を世の中に力強く打ち出すことに成功したドバイでの事例を紹介いたします。
ちなみにこの取り組み、世界的クリエイティビィの祭典・カンヌライオンズ2022にて、アウトドア部門でグランプリなどを獲得しています。詳しくはぜひ、以下の解説ムービーをご覧ください。
「 Liquid Billboard / 液体の屋外看板」
【雑和訳】文字:世界的に見て、32%の女性が公共の場での水泳にためらいを感じている(Lloyd's Register調べ)/ 中東地域になると、その値はほぼ3倍となる(YouGov調べ)/ 活動家であり詩人、アスリートのAsmaさん「子供のころは、ヒジャブを被っている私のような女性が、という思い込みで、夢を諦めたりしてきました」/
文字:そこでadidasは、ドバイの女性一人一人に / 新しい、インクルーシブな水着のコレクションのアンバサダーになってもらうことにした /
”Liquid Billboard(液体の屋外看板)” / それは、世界初の女性が実際に泳げる屋外看板 / あらゆる体型、民族、宗教、能力を持つ女性たちに向けて / (これまでの慣習による)バリアを破壊するよう勇気づけた /
参加女性による水泳はすべて、国内最大のデジタルディスプレイにライブで投影された / そして、パーソナライズされたadidasのポスターになった /
これまで、アスリートやモデルしか採用されてこなかった看板に / 自分と等身大の人々が、(アスリートやセレブたちと)同じように扱われているのを目にしたのだ /
(その後、世界各国でのメディアの反応が映し出される)/ 結果:トータルリーチ 2億9千500万 /
インフルエンサーA「水泳をすべての人に…」/ インフルエンサーB「看板スタイルにセットされた、adidasによる…」/ アーンドメディア露出 135万ドル相当 / 6大陸、50を超える国に拡散 /
ギネス記録保持者のダレンさん「見回してみると、水の中では誰もが同じだと感じるのです」/
"表面的なものの、その先に" / adidas
ナイキ、IKEAなどグローバルブランドも続々と
いかがでしたでしょうか?ちなみにadidasによるヒジャブつきのスイムスーツは以下からカタログをご覧いただけます。(スリーストライプのレイアウトがかっこいいです。)
しかし冒頭にお伝えした通り、こういった取り組みをしているのはadidasだけではありません。…ということで以下に、今までこのブログで取り上げたIKEAやナイキ、レゴやバービー、そしてセサミストーリーによる「自社商品を最大公約数に合わせることだけで満足しなかった」素晴らしい取り組みの数々をおまけとしてつけておきます。
シルバーウィーク後半戦、ふとした合間にご覧いただけると幸いです。
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!
<おまけ>