世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

世界的キャットフードブランドによる、珊瑚礁再生のためのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのFrancesco Ungaroが撮影した写真

先週に続き、海の環境問題への取り組みについて

先週ご紹介した「プラごみ」だけが海洋が抱えている問題ではありません。海は気候変動により世界的に水温が上昇、結果、海中の生態系にも大きな狂いが生じ始めているといいます。

そんな中、珊瑚礁にも大きな危機が迫ってきていることは、数年前に関心を集めた以下の記事からもご存じの方は多いのではないでしょうか?

www.bbc.com

ということで今回は、ブランドぐるみで珊瑚礁の再生に取り組んでいるキャットフードブランド、Shebaの事例についてご紹介いたします。

ちなみにこの取り組み、世界的クリエイティビィの祭典・カンヌライオンズ2022にて、インダストリー・クラフト部門とメディア部門でグランプリを獲得しています。詳しくはぜひ、以下の解説ムービーをご覧ください。

「 Hope Reef / 希望の珊瑚礁

youtu.be

【雑和訳】文字:(キャットフードブランドの)Shebaは、サステナブルな方法で調達された魚を(原料として)使うことに取り組んできた/ …時には、最もプレミアムな商品群を販売終了にしてさえも/

しかしそれでさえ、十分ではなかった/ なぜなら魚の生存は、海の環境が持続可能であって初めて、サステナブルになるからである/

1950年以降、世界で50%以上の珊瑚礁が失われた/ ナレーション「珊瑚礁は、死に続けています」/ 文字:残りの90%の珊瑚礁も、20年以内に絶滅の危機に瀕する/ ナレーション「そして珊瑚礁に頼ってきた魚も、(人間の)コミュニティも、大きな危機に瀕しています」/

「 …しかし、希望はあります」/ 文字:”2020年の土地再生プロジェクト Top5のひとつ -National Geographic” / "ファインディング・ニモの世界が実現したみたいだ -The Guardian" /

ナレーション「Shebaは、珊瑚礁の再生に取り組むことにしました」「そしてそれが、グーグルアースで見ることができる、再生された珊瑚礁による初の「生きた」屋外広告-”希望(HOPE)の珊瑚礁”をShebaが育てた理由なのです」/

「国連と世界自然保護基金(WEF)の支援のもと、Shebaはインドネシア沖の死んだ珊瑚礁を復活させる方法を開発。星型の岩礁網を使い、珊瑚再生に理想的な環境を創出しました」

「Shebaの海洋生態学者はその珊瑚礁が希望(HOPE)の文字の形の、”生きて育つ”屋外広告になるよう再生」「ユーチューブチャンネルでは、視聴数や広告収入から規模拡大のための資金を集めました」

「さらにこの取り組みが教育的事例となるよう、googleとパートナー関係を構築しました」/ キャスター「グーグルアースでご覧いただける、希望(HOPE)という言葉になるよう再生された珊瑚礁です」/ ナレーション「100万人以上の人々がグーグルマップ上でこの場所をサーチ。その場所では、ストリートビューでバーチャルにダイビングを楽しめるようになっていました」/

文字:2019 / 2021 /

ナレーション「わずか2年の間に、現地の珊瑚礁は99%死滅していた状態から、70%生存している状態へと改善。事実、(HOPEの)文字の周りの珊瑚礁の再生があまりに順調に進んだため、Shebaの生きた屋外広告は蘇った珊瑚礁により飲み込まれて、消えてしまいました」 /

文字:珊瑚礁に関する報道は6900%増加 / 魚の数も300%増加 / ナレーション「そして、世界中の各国政府が我々の珊瑚礁再生方法を採用するなど、希望は広がっています」/ 文字:世界最大の再生プロジェクト/

ナレーション「しかもShebaの行きた屋外広告はただ育っているのではなく、歌っているのです」/ テレビのナレーター「よく耳を澄ましてみてください。…再生を続ける珊瑚礁の、奇妙な音が聞こえることと思います!」/

ロゴマーク:"今日はもっと珊瑚礁を、明日はもっとお魚を-Sheba"

なぜキャットフードのブランドが珊瑚礁を?

いかがでしたでしょうか?こちら、確かに素晴らしい取り組みなのですが、私が最初、この取り組みのカンヌでのグランプリ受賞を聞いたときは「キャットフード」と「珊瑚礁」との間の関連性がよくわからず、果たしてグランプリに値するのかについて疑問でした。

しかし、カンヌライオンズがこれからのマーケティングコミュニケーションを示唆する場所なのだとした場合、この受賞が示唆するものは、これからの消費者たちの視点が、例えば「キャットフード=ネコ」という、買い手主体の狭い範囲にとどまらなくなる、ということなのだと思います。

SDGsの12つ目のゴール「つくる責任、つかう責任」にもある通り、持続可能な生産消費形態を確保することは、すでに作る側と、使う側双方の責務となっています。

そうなった時、キャットフードの原材料をサステナブルに調達するために、ブランドぐるみでここまでやっている、という事実は、世界市民として「つかう側」の責任を果たしたい消費者にとっては好ましい情報になり、結果、Shebaのブランドイメージ向上につながるのでしょう。

(そしてもしShebaのキャットフードが珊瑚礁に住む魚を原材料にしているのであれば、その必然性はさらに強化されますが、現状、そこまでは調べられていません…)

しかし実行主がどうであれ、こういうトライアルを実際に実行し、注目と資金を集めてインドネシアから今やモルジブセイシェル、メキシコ、オーストラリア、ヴァージン諸島にそのプロジェクトが拡大していることは素直に素晴らしいことだと思いますし、このまま世界中にどんどん、拡大していってほしいと願っています。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!