世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

2021年のベスト・ソーシャルキャンペーン10選<第1位〜第5位>

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Photo by Myriam Zilles on Unsplash

今回は2021年のベスト・キャンペーンをご紹介

 

前回は2021年に世界で話題となったベスト・ソーシャルキャンペーンの第5位から第10位までをお伝えいたしました。そして今年最後の投稿となる今回は、いよいよTOP5の登場です!選考基準は独断と偏見でありつつ、「革新性」「スケール」「読者の反響」の3点に軸を置いて選ばせていただきました。作品の詳細については、それぞれの文中に張った過去記事へのリンクをご覧ください。それではドラムロール!

 

第1位 「Contract for Change(変革のための契約書)」

第1位は!!アメリカの有機ビールブランド"Michelob Ultra Pure Gold"が全米の農家に有機農業への転換を促すために行ったキャンペーンです。国が動く前に、人類がこれから進むべき農業の道を先取りして動いた「革新性」と、アメリカ全土の農家の暮らしに影響を与えうる「スケール」、そして「読者の反響」のどれもが高いバランスで揃っていました。

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コロナ禍を経てブランディングの力点がいよいよ「ユニークな広告表現などでいかにターゲットの心を掴むか」から「ターゲットが望む社会のために、いかにブランドが(嘘偽りなく)貢献しているか」という”リアル・アクション”に移ってきている中、このキャンペーンはその教科書的事例として語り継がれることでしょう。

 

第2位 「#wombstories(#子宮の物語)」

英国の生理用品ブランドBodyform。2010年台中頃から「なぜ生理用品のCMでは生理の血は青い水として表現されるのか?」など、生理にまつわる社会的なまやかしを糾弾することで女性の社会進出に寄り添ってきたこのブランドの集大成となるキャンペーンです。「性能の良いナプキンを使って、今日も軽やかに行きましょう!」という数多ある競合他社のメッセージを完膚なきまでに叩きのめす、とても強力なキャンペーンです。

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個人的には当初、このキャンペーンが世界的に高い評価を得ている理由がいまいちしっくりこなかったのですが、調べるうちに自分自身が、女性がこの社会で受けているさまざまな差別や偏見に気付かされました。そういった意味でも印象深いキャンペーンです。

 

第3位 「Donation Dollar(募金用1ドルコイン)」

こちらも電子化が進む中、リアルな貨幣の価値を再定義した傑作アイデアです。オーストラリアではさまざまな市民団体をサポートするための取り組みとしてなんと、国の銀行が発行するコインの一種として「募金用コイン」を発行してしまいました。

みんながスマホ決済に移る中「現金はそろそろオワコン?」という時代の流れを感じるのですが、それに安易に流されず「手元に実際に流通する」という現金特有の価値に着目し、ソリューションにつなげたところにこのアイデアの凄まじさを感じます。ましてや貨幣発行当局との交渉などを考えたときに日本でこれをやろうとしたら…と考えるだけでクラクラするレベルです。アイデアと実行が見事につながった、稀有な事例といえるでしょう。あとは2〜3年後、この取り組みが具体的に、オーストラリア社会にどのような影響を与えたかをみてみたいと思います。

 

第4位 「SALLA 2032」

最低気温マイナス45.3度を記録したこともある、フィンランド北部の街Salla。しかし地球温暖化がこのまま進めば、雪の減少とともに現地の伝統文化や観光資源が消えてしまう…。そう危惧した現地の人々が行った驚きのキャンペーンです。

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実はこの10選を考え始めた時は、これがダントツの第1位だろうと考えていました。目の付け所はもちろん、このブログのそのものの趣旨である「常識に加えたひとひねり」も秀逸ですし、読者の反響も一番でした。さらに(東京オリンピックがあった)2021年を締める上でも良いキャンペーンだったのですが、審査を進めるうちに「スケール」という点では比較的短期間の話題化を目的とするPRスタントの域を出ていないのでは?という疑念が覆せず、4位という結果になりました。

 

第5位 「Naming the Invisible(見えない子供を救う)」

そして第5位は、パキスタンのテレコム会社Telenor Pakistanによるキャンペーンです。遠隔の村を中心にパキスタンに数多く存在する、6,000万人もの出生記録をもたない子供たちをデジタル技術の活用で救ったキャンペーンです。

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こちら、アイデアとしてはモバイルアプリを開発して出生記録を取っていくという、とてもシンプルなものなのですが、とにかくそのスケール感の大きさで5位に飛び込んできたイメージです。

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「今年の10選」、いかがでしたでしょうか?

この10選からだけでも既存の「広告」や「プロモーション」の枠内だけで収まりきるキャンペーンではもはや、人々にインパクトを与えることができないんだな、ということを痛感する結果となりました。

そしてこの今もきっと、世界のどこかで素晴らしいアイデアが生まれ続けています。来年も引き続き、たとえそのひとかけらだけだとしても皆様にシェアできれば幸いです。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね!それでは皆さん、また来年!