世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

EV車の充電所不足を発想の転換で解決したルノー【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのCHUTTERSNAPが撮影した写真

🏷️ 2021年に引き続き、ルノーがEV車でまたやった!

さて、今回も先週のアン・ド・ゴール空港に引き続き、フランスで行われたソーシャルキャンペーンをご紹介いたします。フランス車メーカー、ルノーによるEV車普及のための取り組みなのですが、この原稿を書いている途中「あれ?ルノーって前にも同じ目的で素敵な取り組みしてなかったかしら?」と思い出しました。

過去を振り返ると↓こんなことをしておりました。

wsc.hatenablog.com

こちらはEV車=不便という思い込みを払拭するために、暮らしに不便の多い田舎の村人たちの車を全部EV車に変えることで「EV車がいかに不便でないか」を証明した、という大胆な企画でした。

この取り組みは「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズ2021のアウトドア部門でグランプリに輝いたものなのですが、今回これからご紹介する取り組みも今年(2023年)のカンヌライオンズ、クリエイティブ・ストラテジー部門でグランプリを獲得、クリエイティブ・ビジネス・トランスフォーメーション部門やモバイル部門で金賞を獲得するなど、非常に高い評価を受けたアイデアとなります。

はたして今度はどのようなアイデアで世界をアッといわせたのでしょうか?それでは以下の紹介ムービーをご覧ください。

🪧「Renault - Plug-inn / ルノー - プラグ民宿

vimeo.com

【雑和訳】ナレーション:フランスにおける電気自動車(EV車)のリーダー、ルノーはビジネス上の難問に直面しています / すでにフランスの街には100万台のEV車が走っているのに、公共の充電所は8万箇所に過ぎないのです / しかも、地方に設置されているものはごくわずか。これは、EV車の普及を妨げている大きな課題です /

世界が深刻な環境問題に直面する中… / ニュース番組のテロップ:EUは2035年までにガソリン車とディーゼル車を禁止 / ニュースキャスター「欧州議会は、2035年からガソリン車とディーゼル車の販売を禁止することにGoサインを出しました」/

コメンテーター「EV車の大きな問題は充電所が十分にない、ということだといえるでしょう」/ SNS投稿者の声「問題なのは、充電所が見つからない、ということです」/ 「インフラが追いついてないんですよね」/

ナレーション:ルノーは”Plug-inn(プラグ民宿)”というアプリを提供 / これは、プラグのためのairbnbのようなものです / レポーター「Plug-innはEV車のドライバーに人々の家庭用充電器を紹介する、ピア・ツー・ピア型のアプリなのです 」/

ナレーション:これにより人々はここでも、ここでも、ここでも充電ができるようになりました / なぜなら、マッツュアやナディシュ、ジュベールのように、家での充電器を持っている人々はフランスには68万人以上いるからです / Plug-innがあれば、ドライバーたちは旅行を計画し、(走行ルートの付近で)使用可能な家庭用充電器を見つけ、事前に予約。リーズナブルな値段で充電することが可能になりました /

そして充電器を貸し出す側は、アプリについている金銭取引の安全が確保されたシステムで、電気をお金に変えることが可能になりました / これはフランス中で利用可能で、このような辺境の田舎でも使えるのです /

このようにして私たちは、ビジネス上の課題を新しいビジネスモデルに変換させました / Plug-innは、(フランスで)最も早く成長している充電ネットワークになりました / そして、まもなくすべての国においてもそうなることでしょう / ルノーがEV車への移行におけるリーダーであることを証明しながら /

(各種メディアの様々な声が映し出される) / 文字要素:ユーザー数・31,000 / 1億4,000万インプレッション / アーンド・メディアでの露出・70万ユーロ相当 /

ナレーション:では今度、最寄りの充電所はどこですか?と聞かれたら? / ”あらゆるところ”と答えましょう / (Plug-innのロゴ入る) 

🏷️ ネットの進化とともに進むインフラの”再定義”

いかがでしたでしょうか?

ルノーは今回、田舎を使うことで漠然とした「不便さ」を払拭した2021年の取り組みに比べ、充電所不足という、より具体的な課題に取り組みました。

私たちはインフラというとつい「道路」や「発電所」、「給油施設」など、豊かな暮らしをする基本としてある「べき」もの、という考え方をしがちですが(しかもそれはほぼ正しいのですが)、その考え方に縛られ過ぎているとある「べき」ものが満たされない場合、すぐ政府などに「ねだる」という思考に行きがちです。

今回の取り組みの素晴らしい点は、最新のデジタル技術を取り入れてみんなで繋がれば、ある「べき」なのに間に合っていないインフラだって今や自分たちで「創る」ことができる、という事実を世に示した点です。

そしてさらに時代だな、と感じたのは「充電所不足」という問題を、電力会社でもなんでもない自動車メーカーが解決しようとしている点。

このように今や一企業やNPOなど、組織ができることの選択肢はどんどん広がっています。

それを面倒だととるか、面白いととるかで世の中に与える価値の総量は大きく異なるものになることでしょう。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!