世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

気候変動に対する見事な”選択肢”を示した保険会社のキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Matt Palmer on Unsplash

気候変動対策にも攻めと守りが

この夏も世界的な異常気象が伝えられています。ここまで毎年、世界のどこかで異常が伝えられていると、特に自然との距離が遠い都会ではそれらの情報に慣れてしまいそうになりますが、気候変動と、それが引き起こす災害の度合いが深刻化していることは事実だと思います。

そんな気候変動への対策として我々が真っ先に考えることといえば「公共交通機関を使う」、「肉食を控える」といった地球への負荷を減らすための”攻め”の活動ですが、一方、気候変動により過激化する災害に対しては”守り”、つまりレジリエンス(強靭性)を強めることの重要性も日々高まるばかりです。

ということで今回は、我々が暮らしの中で「身近すぎて見落としてきたもの」に焦点をあて、その強靱化に取り組んだオーストラリアの保険会社によるキャンペーンをご紹介します。

ちなみにこの取り組み、6月下旬に行われた世界的クリエイティビィの祭典・カンヌライオンズ2022にてイノベーション部門でグランプリなどを獲得しています。詳しくはぜひ、以下の解説ムービーをご覧ください。

「One House to Save Many / 多くを救うための一つの家」

www.youtube.com

【雑和訳】ナレーション「オーストラリアでは毎年、何千もの家屋が極端な気象により損傷、破壊されています。毎年、それは繰り返されていますが、私たちはその都度、急いで同じような家を建て直し、同じことが起きないようにと祈るだけでした」/

サンコープ保険の災害対策リーダー キャス・スチュワート「(災害においては)資金のおよそ97%が家の再建や修復に使われ、予防に充てられる金額は3%ほどでしかないのです。私たちはこれを逆転させたいと考えました」/

ナレーション「この破壊と苦悩のサイクルを変える唯一の手立ては、家を建てる方法を、全く変えてしまうこと。なので私たちは、オーストラリア最大の保険会社の一つサンコープに、科学的な方法で検証され、サイクロンや洪水、山火事にも耐えうるようデザインされた、世界初となる家の開発を持ちかけました。

それが「One House to Save Many(多くを救うための一つの家)」です。開発にあたっては、家の強靭さを評価するエキスパートたちが初めて結集。彼らの知識を集めて、これまでにないさまざまな強化機能が導入されました。

例えば火やデブリから家を守るメッシュスクリーンや、洪水による水流をいなすための仕切り壁、そしてサイクロンによるダメージを防ぐ、空気圧低減システムなど。このキャンペーンは、全オーストラリアを対象とした広告キャンペーンと、プライムタイムでオンエアされたドキュメンタリーにて開始されました。

 One Houseの開発で得られた学びは一般に公開。政府の各種組織や建設会社に対しても提供されました。/ TVアンカーパーソンA「5つの洪水やサイクロンに耐える家についての話題です」TVアンカーパーソンB「業界のエキスパートは歓迎すべき活動だと評価しています」TVアンカーパーソンC「なんで今までこういったことを考えてこなかったんでしょう。あなたたちは天才ですよ!」/

ンコープ保険のマーケティングマネジャー トラビス・ヒューズ「私たちは現在、One House から学んだことを、業界をリードする製品イノベーションに提供しています。これは保険のカテゴリー全体を変える可能性を秘めています」/ 

ナレーション「サンコープの主導により、オーストラリア保険評議会は、2025年までに国の建築規格に”強靭さ”を加えることを目指す「プロジェクト・レジリエンス(強靭化計画)」を開始。オーストラリア連邦政府は、新たな災害への備えや、災害による被害緩和プログラムのために6億ドルに上る強靭化基金を用意することを発表しました」/

サンコープ保険のマーケティングマネジャー トラビス・ヒューズ「このプロジェクトは、単純に One House(ひとつの家)が建築された、という話ではありません。これはオーストラリアの人々すべての家の建て方に変革をもたらすものなのです」

激変する世界の中で、衣食住のニーズも変わっている

いかがでしたでしょうか?地震大国に住む我々は、住宅については諸外国と比べても耐震性など、その強靭性についてはもともと関心が高いほうかと思います。

ただ、洪水は日本のどこかで毎年必ず起こっていますし、その頻度も増しているように感じます。(台風も、昔に比べてより強く、大きくなっていませんか?)

そんな日本ならではの気候変動の特性を念頭に、もう一度日本の「家づくり」について考えることも必要だな、と考えさせてくれる事例でした。

また、同じような変動は今回ご紹介した「住」の分野だけでなく、衣食の分野にも必ず起きているはずです。今回の事例の考え方を参考に、自分たちの衣食住をゼロから見直してみると、何か素敵なイノベーションへのヒントが見つかりそうな気がします。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!