世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

今後の緊急事態に、自分が何ができるか準備するためのヒント【カンヌ2023より】

UnsplashのJacek Dylagが撮影した写真

組織や社会の強さは、緊急事態にこそ現れる

結構な時間を生きてきて、最近は組織や社会における一個人は、細い糸のようなものだと考えるようになってきました。それぞれの糸が自らの意思で縦と横に組み合い、しなやかな布となり困っている人を包み、癒して応援する。そして時には応援される。そんな個人の優しさに根差した助け合い精神の有無や濃淡が、最終的にはそれぞれの組織や社会の「強さ」を決めるのかな、と思います。

もちろん人間という糸は間違いなく愚かですから、余裕がある時は良心よりも政治や打算で組み合い、結果その因縁や癒着でがんじがらめになって助けるべき人を助けられなくなってしまうのですが、この世の中面白いな、と思うのは、そういう状況の場所にはほぼ必ず「思いもよらない災難」が起きて、人々にちゃんと反省の機会が訪れるのです。

みなさん、思い当たる事件や事故、たくさん思い出しますよね…。

と、ちょっぴり脱線してしまいましたが、今回は「ウクライナからの難民の急増」という緊急事態に、ポーランド社会における誠実な「一本の糸」として素早く関係各位と組み合い、素晴らしいソリューションを開発、難民の皆さんに提供した現地マスターカードの素晴らしい事例をご紹介します。

ちなみにこの取り組み、「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズ2023のSDGs部門でグランプリを受賞、他にもダイレクト部門、PR部門で金賞を受賞するなど高い評価を受けたアイデアとなります。

それでは早速、以下の紹介ムービーをご覧ください。

「Where to settle / 安住の地」

vimeo.com

【雑和訳】文字要素: 2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました / 一ヶ月のうちに、ウクライナ国民の4分の1が命を守るために避難 /

ワルシャワ市長 ラファウ・トゥジャスコフスキ氏「これは第2次世界大戦以降、最大の移民流入クライシスになります。30万人がひとつの街に押し寄せました。これは市当局のサービスにとてつもない負荷を与えています」/ 文字要素: 何百万もの人々がポーランドの大都市に流入し、大部分がワルシャワにたどり着きました /

しかし、安全の確保はただの始まりに過ぎません / 人道的なクライシスが / 住居や / 雇用の面で(避難民たちに)襲いかかりました /

あらゆる人々への経済的なインクルージョン(包摂性)の必要性を信じるブランドとして / マスターカードはこの課題に足を踏み入れました /

私たちのデータは、より小さなポーランドの街の方が、より多くの機会を提供できることを示していました / 女性の声「より小さな街の方が、より多くの宿泊地や、より多くの職など、より多くの可能性があります」/

文字要素:そこで私たちは速やかに”wheretosettle(安住の地)”を立ち上げました / マスターカードの取引データを、ポーランド統計局の賃金情報と相互参照 / さらにそれを、ポーランド最大の不動産情報プラットフォームや、求職情報のポータルサイトと組み合わせました /

利用者の声「(これを使えば)出費や税金の目安がわかり、どこに身を落ち着けたいか、自分で検討することができるのです」/

文字要素:私たちはそれぞれの家庭に、どこで暮らしを再開するのが適切かを可視化(*画面上のスマホには"住み、働くのにベストな場所を比べてみましょう"、"街:レグニカ"、"産業:金融…"などの情報がディスプレイされている)/ それぞれに最適な仕事や住居を提示しました(*画面上のスマホには”レグニカで金融業界で働き、暮らした場合の平均収入と支出"、"収入の50%が支出になります”などの情報がディスプレイされている) /

文字情報:家を、仕事を見つけるために / 暮らしを再び始めるためのお手伝い / gdziezamieszkac.com.en (安住の地ドットコム) / Mastercard、プライスレス

緊急事態が起きない世の中は永遠にやってこない

いかがでしたでしょうか?

ちなみにこちらのウェブサイト、実際のぞいてみましたが今も稼働していて、ブラウザの自動翻訳機能を使えば日本語で大体の内容を把握することができます。

以下のリンクからご覧いただき、その出来栄えに感銘すると同時に、「もし今後、日本で同じような事態が起きたら、私は、または私の組織はどのように動くべきなのだろうか」を考えておくのも良いかもしれません。

gdziezamieszkac.com

緊急事態は人類がこの世にある限りいつでも、予想外の形でやってきます。

だからこそ、頭は自由に、心は優しく、そして命を大事に。

いつでも、誰とでも組み合えるように備えておきましょう。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!