東京も気候変動を実感する猛暑です
8月も目前ですが、暑いですね…。そしてここ2〜3年はいよいよ、夏になる度に平均気温上昇の影響を日本のあちこち、世界のあちこちで実感するニュースが増えている気がします。
しかし、アラフィフの私が10代の頃から危機を叫ばれ続けつつ、根本的な対策が取られないまま消滅に向かっている海洋国家があります。
今回はその国家、ツバルについて、あらためて世界の注目を集めるべく行われた取り組みをご紹介したいと思います。
ちなみにこの取り組み、「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズ2023の中でも特に革新的で、社会的インパクトの強いアイデアに与えられる「チタニウム」カテゴリーのグランプリを受賞するなど、地球の今、そして2023年の世界を象徴するアイデアとなります。
それでは早速、以下の紹介ムービーをご覧ください。
「The First Digital Nation / 世界初の”デジタル”国家」
youtu.be【雑和訳】サイモン・コフェ大臣「責任ある立場にいる皆様、名誉あるゲストの皆様、温暖化進む太平洋の国ツバルからご挨拶させていただきます」/
文字要素:あと数十年で、海面上昇はツバルを消滅させることになります / COP27の席で、ツバルのサイモン・コフェ大臣は自国のサバイバル計画を発表しました /
大臣「世界で初めてのデジタル上の国家になることしか、我々には打つ手がないのです」/ ナレーション:COP27で、アクセンチュアは太平洋の国ツバルとパートナーとなり、ツバルをメタバース上にリロケーションすることを発表しました /
大臣は、ツバルの一番最初にデジタル化される部分ーつまり、一番最初に温暖化により完全に消滅してしまう地点からスピーチを発表しました / このスピーチを見た人々は、この取り組みへのサポートを表明することができるランディングページへといざなわれました /
ツバルはもはや、できるだけ多くの自国の情報をカタログ化し、地図を残し、記録し、保存するところにまで来ているのです / 歴史的文書 / 文化的慣習の記録 / 家族のアルバム / 伝統的な歌などは、メタバースに移されるものの一部に過ぎません / これらの移管は、時間はかかりますが避けては通れないプロセスの最初の第一歩となります /
アクセンチュアANZ ヘルス&パブリックサービス部門シニア・マネージングディレクターJohn Vidas氏「デジタライゼーションという言葉があらゆる場所で語られていますが、このプロジェクトは、それを最も純粋な形で追求したものだと言えます」/ 「通常、陸地や人々、文化により定義される国という概念を、デジタル上の存在へとトランスフォームさせるのです」/
アクセンチュアANZ メタバース・コンティニウム マネージングディレクターDawid Naude氏「この取り組みの狙いは、国というスケールの大きなものをメタバースに移動させることにあります」/ 「これは技術的な能力も不可欠な、とても野心的な試みで…」/ 「その実現には、クリエイティブ・シンキングや感情に訴えるストーリーテリングも不可欠なものとなります」/ 「私たちはツバルとパートナーになり、9つある島のうちのひとつのデジタルツインを作り出しました。これはツバルを保存するための第1歩となります。その文化やアイデンティティをメタバース上に残すための…」/ 「私たちの大きな目標としては、ツバルのすべての人々が実際に故郷のように感じることができる、デジタル上の国家を創り出すことです」/
アクセンチュアソング サステナビリティスタジオ グロース&ストラテジー マネージャー Lucy Sundburg氏「私たちは、ツバルの人たちが気候変動による人々への影響を伝える活動をサポートしています。それはつまり、影響力を持つ人たちに、ツバルへのサポートを促すことでもあります。ツバルのデジタル化は、気候変動への適応事例でもあります。…最悪のケースに備えるための。しかし、まだツバルがデジタル上でしか存在しない国になるのを食い止めるための希望は残されています。ただし、それは我々グローバル・コミュニティの努力にかかっています」/
サイモン・コフェ大臣「共存共栄に向けた全世界規模での良心の発露やコミットメントがなければ、(海面上昇による)陸地の消滅は進み、他の多くの国々も我々に続き、デジタル上の存在へとなっていくことでしょう」/ 「(*マオリ語で)どうもありがとうございます。ツバルに神のご加護を」文字要素:リアルなツバルを救ってください / TUVALU.TVにアクセスを / ツバルのメッセージは900万人を超える人々にリーチしました / 118の国の人々(今なお集計中)がTUVALU.TVでツバルの嘆願書に参加してくれました / アクセンチュア ー変化を創り出そう
デジタルアーカイブは解決ではない
いかがでしたでしょうか?
この世の中の「なくなってしまいそうなもの」について、デジタルアーカイブをとっておくという行為自体は決して斬新なものではなく、むしろデジタルができることの代表的な特長のひとつだと思います。(最近では去年のカンヌ受賞作であるBackup Ukraine/バックアップ・ウクライナが記憶に新しいです。ご興味ある方は以下のリンクからご覧ください。)
ただし、大事なのはデジタルアーカイブは本質的なソリューションではない、ということです。データをとっておくことは、迫り来る危機に対して文化や伝統を守るための備えにはなりますが、データをいくらたくさんとっても心安らぐ実家の建物や住民の命、そして生態系は一度失われてしまったら、二度と戻ってきません。
気候変動を食い止めるために私たちが個人レベルでできることといったら、できるだけ環境負荷の少ない交通機関を選ぶ・使い捨てのものをなるべく減らす…といったあまりに小さなアクションでいつも情けない気持ちにもなるのですが、結局は一人一人の小さな努力の総和が地球の危機を救うのだ、と信じて最後まで絶望せず、暮らし続けることが大切なのだと思います。
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!