世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

全米注目!スーパーボウル2022でのソーシャルキャンペーン その①

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Photo by Thomas Serer on Unsplash

30秒の広告1本流すのにかかる費用は約7億5,000万円

現地の日付で2月13日、NFLスーパーボウルが開催されました。全米の家族がTVの前でカウチポテトをしながらアメフトの中継に固唾を飲む「国民的行事」ですが、試合や豪華なハーフタイムショーに加えて、全米の家族が楽しみにしているのが試合の合間に流れるテレビCM。

アメリカのテレビ業界でも毎年、最も高騰する広告枠として注目の枠で、今年は30秒のCM1本流すのに650万ドル(日本円でおよそ7億5,000万円)から、という値段がついたそうです。

そしてスーパーボウルは毎年、普段は広告に出ないハリウッドスターが登場するなど、気合の入った広告表現に各社がしのぎを削る場でもあります。

このブログでは今週から何回か、この広告枠で展開された「ソーシャルグッドなメッセージ」を含んだテレビCMを特集しようと思います。まずは最初、サステナビリティ関連の取り組みに力を入れているSalesforceのCMをご紹介いたします。ハリウッドスターの一人、マシュー・マコノヒーさんが登場しております。それではご覧ください。

Salesforce 「The New Frontier (新たなフロンティア)」

www.youtube.com

[雑和訳] ナレーション「宇宙。それは人類の偉業を示す場所。そして新たなフロンティア…」「…て、ホントに?」「逃げ出してる場合じゃないでしょ。もっとしっかりと取り組む時だよ。もっと木を植えたり…いいね!もっと信頼しあったり。もっといろんな人に、(公平に)チャンスを与えたりね。他の奴らは火星のメタバースなんかに夢中になっているけど、僕らはここに留まって、傷んだ場所を治していこう。そう、今こそ先駆者になる時。だって、新しいフロンティアって、専門的な知識がないと行けないような場所じゃないんだ。今いるこの場所こそがフロンティアなんだから*画面にロゴが入る”Salesforce #TeamEarth”

大金持ちが宇宙やメタバースに挑む姿を逆手に

いかがでしたでしょうか?去年はジェフ・ベソスさんやリチャード・ブランソンさんが宇宙に行ったり、ザッカーバーグさんがメタバースへの移行を宣言するなど、さまざまな「大金持ち」たちが新しい世界(新たなるフロンティア)へのチャレンジを行った年でした。その賛否をここで語るつもりはありませんが、その流れをうまく捉えて、自社の”絵空事ではない”サステナビリティ促進活動をアピールしたCMだと思います。

*「でもSalesforceは地球の環境を守るために実際は何をしているの?」と思った人はこのCMの最後に出てくる#Team Earthのサイトをご覧くださいませ。↓リンクを張っておきます。

www.salesforce.com

Google 「Lizzo in Real Tone (あるがままの色のLizzo)

続いてのCMはGoogleから。これまでのスマホの画像技術は、肌の色が濃い目の人をないがしろにしてきたのでは…という気づきにしっかりと対応した自社技術をアピールしています。「炎上したから」や「周りに言われたから」やるのではなく、組織にあらかじめ多様性を持たせることでこれまで無視されてきたマイノリティの不満に自ら気づき、プロアクティブに対応できる企業やブランドであることの大切さを痛感させられるCMです。

www.youtube.com

[雑和訳] 文字要素:”歴史的に、カメラの技術は濃い目の肌のトーンを正しく写してこなかった” ナレーション「濃い目の肌のトーンを持つ人は、いつもライティングに苦労をしてきました」証言者A「学校のアルバムとかでは子供の頃からいつも、自分はひどい写りの写真しか残ってないんです」証言者B「いつも暗すぎたり、影っぽく写ったり」文字要素:”でもそれはもう、過去の話” (アーティストLizzoの楽曲が挿入される)文字要素:”登場。Google Pixel 6に搭載のReal Tone" (多様性あふれる人々の、ありのままの美しい姿が挿入される)文字要素:”すべての人は、あるがままの姿で受け止められるにふさわしいから” *画面にロゴが入る”Google Pixel 6 #SeenOnPixel”

社会を完成したものと見るか、未完成なものと見るか

このブログでは8年前から海外の優れたソーシャルグッド事例を紹介していますが、この8年間はずっと「なぜ日本だと今回紹介したようなプロアクティブなメッセージや活動が民間から出にくいのだろう…」と自問する時間になっています。

そこで最近、自分の頭の中にぼんやりと浮かび上がってきているのが、日本の我々の社会に対する考え方と、海外の人たちの社会に対する考え方の違いです。

私も含め、日本のほとんどの人は、この社会が既に完成されているもので、これに手を加えていくことに「崩していく」という感覚があるのかな、と思います。

一方、海外の多くの人々にとっては社会は常に「未完成」で、みんなの意見を出し合うことで「前進させていく」という感覚があるのではなかろうか…なんてことを感じております。

そんな社会に対する根本的な考え方の違いが、(日本の我々から見ると時にはメチャクチャな軌跡を描きながらも)新しい価値を世界にもたらす世界的企業やブランドの推進力になっているのかもしれません。

まだ自分の頭の中で整理できてないので、3〜4年後にまたこの文章を読むのが楽しみです。

来週もスーパーボウルを続けます。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!