世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

都市の洪水時に現れる”落とし穴”への転落を防いだ物理の力【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのJonathan Fordが撮影した写真

🏷️ 日本でも使えそう。アナログなソリューションに注目

ゲリラ豪雨、という言葉が2000年代に入ってから普及した言葉であることをご存知でしょうか?この言葉が流行語大賞のトップ10に入ったのが2008年。つまり、その前にはこの言葉はあまり使われておらず、つまりゲリラ豪雨的な気象現象もあまり起きていなかったのかな…と思われます。

地球温暖化に伴う気候変動により、日本でも地域を問わず、洪水に見舞われている回数が増えているように感じます。

ということで今回は「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズ2023の受賞作から、インドのムンバイで行われた、都市部の洪水に伴う人命への危険を大いに減らした超アナログ(←いい意味で)なアイデアをご紹介します。

こちら、カンヌライオンズ2023のブランドエクスペリエンス&アクティベーション部門でショートリストを獲得したキャンペーンとなります。それでは以下の解説ムービーをご覧ください。

🪧「The Responsible Manhole / 反応するマンホール

vimeo.com

【雑和訳】文字要素:見えない敵。それは、12時間にひとりのペースで命を奪う  - The Times of India紙 / それは洪水時、蓋の外れたマンホール /

ナレーション:ムンバイの人々は、洪水の時も職場に行かないといけません / さらに悪いことに、ムンバイの下水システムは作られてから150年経っているのです / 地元の人々は良かれと思い、マンホールの蓋を無理やり外すことがあります / また、ロックされたマンホールの蓋がガスバーナーを使い、盗まれることもあります /

TVの司会者 "過去5年間に、300人以上のムンバイ市民が蓋の外れたマンホールに落ち、命を落としているのです" /

ナレーション:被害者の多くはバイカーや歩行者 / そこでインドの業界第3位の二輪車メーカー、TVSとムンバイ市公社はバイカーや歩行者を助けるために力を合わせました / 紹介します、”反応するマンホール” /

モーターなどを必要としない、低コストのデバイスを開発 / 活用したのはシンプルな浮力の原理 / 文字要素:1セット20ドル / ナレーション:このデバイスはマンホールの蓋が外れた場合、最大5フィートまで上昇するように設定されていて / 通行者はLEDライトと警告音で危険に気づくことができるのです /

ハザードマッピングの手法を使い、洪水の発生しやすいエリアを特定、このデバイスは町中に設置されました / 市の担当者にリアルタイムでアラートを発する、特別なアプリも開発 / マンホールの蓋が外れている通知が来るとすぐに、担当チームを現場に派遣することができます /

このデバイスが設置された2022年以来、数えきれない人命が救われました /

TVSモーターカンパニー ゼネラルマネジャー パラブ・ロイ氏「このプロジェクトのフェーズ2はすでにバンガロールで始められていて、さらに国内各地、5つの街からこのプロジェクトへの興味の声が寄せられています」/

ナレーション:IIT(Indian Institute of Technology) Jodhpurもフェーズ2のスケーラビリティを向上させるべく、開発協力を実施 / IIT Jodhpurテクノロジー&イノベーションセンター ヴィグネシュ・モハン氏「このデバイスは老朽化した公共施設の課題に向きあったもので、命を救うために未来のエンジニアを活用する、という活動にはうってつけの事例だと思います」/

ナレーション:デバイスのスペックはオープンソースとして、全世界あらゆる都市に向けて公開されています /

この反応するマンホールの設置は、”見えない敵”に対し、多くの命を救っているのです

🏷️ アナログとデジタルのリーズナブルな融合

いかがでしたでしょうか?

重くなると下がる。軽くなると上がる。熱すると溶ける。温度を下げると凍る…などの現象はこの地球に生きているすべての人にとって共通の現象です。

これらを活用した仕組みや取り組みは俗に「アナログなアイデア」だと見なされることが多いのですが、その最大の長所はユニバーサルであることです。そしてこの世界共通の「浮力」を活用した今回のアイデアはまさにアナログそのものであり、日本を含む世界のあらゆる地域て活用・応用できるアイデアだと思います。

このアイデアがさらにいいな、と思ったのは、そんなアナログのアイデアにデジタルアプリを組み合わせることで、問題が発生した時にすぐに修復に向かえる、という機能を付け加えたところです。

アナログとデジタルの地味だけれど、リーズナブルな融合。とても実用的で、幅広い社会で実装できそうなところが本当にいいなぁ、と思いました。

二輪車メーカーのTVSさんは良い鉱脈を見つけたと思います。これをベースにこれからも継続的に「道路の安全」を向上させる取り組みを続けていくと良いブランドが築き上げられていきそうだな、と思いました。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

暑すぎて長すぎた夏、お疲れ様でした!【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのPossessed Photographyが撮影した写真

🏷️ 9月もほぼ夏の2023年でした

2023年の夏は本当に暑い日々が続きました。暑さもようやく和らいできた、と思ったらもう10月。今年は秋の気配を楽しむ9月がすっかりなくなってしまったかのようです。来年以降もこの傾向は続いていくのでしょうか…。

ということで今回は「皆さま酷暑、お疲れ様でした!」の思いを込めて、「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズ2022の受賞作から、来年以降の夏に日本でも参考になりそうなシンプルだけど、効果的な屋外広告の”チル”なアイデアをご紹介します。

こちら、カンヌライオンズ2022のインダストリー・クラフト部門で銀賞を獲得するなど、高い評価を受けたキャンペーンとなります。それでは以下の解説ムービーをご覧ください。

🪧「Chill Boards / チルな看板youtu.be

【雑和訳】ジェーン・ギルバードさん「激しい熱気にどう対処するかは、世界中の都市にとって大きな問題です。ジェーン・ギルバートです。マイアミのデイド郡で熱波担当役員をしています。私たちの地域ではほんの数十年前に比べても、華氏90度(約摂氏32度)を超える日が大幅に増加しています。黒い屋根は華氏170度(約摂氏77度)に達し、その下に住むすべての人の暮らしに影響を与えています」/

文字要素:(ビールの)クアーズ・ライトは人々をチルする(=冷やし、くつろがせる)ために作られている / もし、私たちの広告がコミュニティをチルすることができたらどうなのだろう?/ ちょうど、私たちのビールがしているように /

タイトル:クアーズ提供 ”チルな看板” /

文字要素:誰も見れない / だけど、感じることができる看板 /

ジェーン・ギルバードさん「屋根を、特別な白いペンキで塗装することで、日光を85%を反射することができ、表面の温度を50度ほど下げることができるのです」/ チルな看板の文字要素:”チルな看板は日光の85%を反射” /

文字要素:黒い屋根 華氏149度 → 白い屋根 華氏99度 / チルな看板の文字要素:”この屋根を50度近くチルしている” /

住民の声1「いつも冷房をつけてなくてはいけなくて、それが連日となると(光熱費が)とても高くなってしまうのです」/ チルな看板の文字要素:”チルな看板は冷房にかかる光熱費を減らすことを助ける” /

住民の声2「屋根に掲載された広告なんて、見たことがなかったわ。それがコミュニティを助けくれるなんてね」/

チルな看板の文字要素:”チルするために、作られた” /

チルな看板の文字要素:”アメリカで一番クールな看板” /

チルな看板の文字要素:”あなたの屋根をリフレッシュ” /

チルな看板の文字要素:”まるであなたの家のクアーズライトのように” /

チルな看板の文字要素:”広告をアップし、気温をダウン” /  

チルな看板の文字要素:”文字通りチルする看板” /

チルな看板の文字要素:”12のチルな看板で、96世帯分のアパートをもっとチルに” /

ジェーン・ギルバードさん「私たちは州レベルの政策として、温度の低い、白い屋根を奨励するように働きかけています」/ 文字要素:黒い屋根 華氏149度 ←→ 白い屋根 華氏99度  /  

ジェーン・ギルバードさん「これらのチルな看板は、世界中の人々に気づきを与えてくれました。素晴らしいことだと思います。アメリカ中のより多くの住居にこれが広がるといいな、と思います」 /

文字要素:クアーズ・ライトは5,000ガロンの白いペイントを寄付している。ー詳しくはchillboards.comへ /

タイトル:クアーズ・ライト、チルするために作られた 

🏷️ アイデアの原点を思い起こさせてくれるアナログさ

いかがでしたでしょうか?

自社の商品の売り文句である「人々をチルするために作られた(Made to Chill)」)を拠り所に、その商品看板で人々をチルした、というロジックも明快、仕組みも明快、そしてその結果も明快ということで、見てるこちらもチルされるような気持ちの良い取り組みでしたね。

欲を言えば、一つ一つの看板のメッセージにもう少し深みがあったり、もう一捻りの仕掛けが加わっていたら、もっと多くの人々の記憶に残る名キャンペーンになったのでは、と思います。

何はともあれ、この世の中にアイデアが必要なのは「人々の暮らしをより良くする」ためです。複雑になるばかりのこの世の中で、時には今回のようなシンプルなアイデアを見直しておくことは、その原点を思いだすためにも良いことかな、と思います。ちょっと心もチルされますし…。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

ソーシャルメディアの悪影響から子を守るために作られた、 Doveのメッセージフィルム(後編)【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのMalte Helmholdが撮影した写真

🏷️ 前回ご紹介したムービーの背景と結果をご紹介

この記事をお読みになる方はぜひ、本記事の前編となる「Cost of Beauty / 美の代償」という3分ほどのショートムービーを紹介している記事をご覧ください。こちら、パーソナルケア商品ブランドのDoveがソーシャルメディアで発信される「歪んだ美」に関する情報から子供たちを守るために発表した作品なのですが、後編となるこの記事ではそのショートムービーが発表された背景と、その成果を説明している解説ムービーについて紹介しようと思います。

こちら、繰り返しになりますが今年の「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズのヘルス&ウェルネス部門やソーシャル&インフルエンサー部門で金賞を獲得するなど、高い評価を受けたキャンペーンとなります。それでは以下からその解説ムービーをご覧ください。

🪧「Cost of Beauty / ”美の代償” 解説ムービー

vimeo.com【雑和訳】コネチカット州 民主党上院議員 リチャード・ブルメンサル「Facebookは公に、Instagramが10代にとって大いに有害であることについては否定する一方、非公式には専門家たちと何年にも渡り、警告を発していました」/

文字要素:若い世代全体のメンタルヘルスが、ソーシャルメディアによって破壊されています /

遺族の父親「もし、これらの命を奪うようなとんでもないコンテンツの数々が安全だとしたら、私の娘、モリーはまだ生きていたはずです」/

文字要素:美容に関する有害なコンテンツが、5人中3人の割合で、子供たちのメンタルヘルスを傷つけています / 5人中、3人の割合で / 有害なコンテンツの中に、女の子たちの声が入る「鬱と不安症と診断されて…」「これら(の声)は終わりのない苦しみ。止められるなら、私はなんでもやります」/

文字要素:Doveは、立ち上がることを恐れたことはありません / なので私たちは、ソーシャルメディアが止めようとした、ソーシャルメディアの害についてのフィルムを制作しました /

メアリーさん「こんにちは。メアリーです。私は13歳の時、公式に神経性無食欲症で、うつ病だと診断されました」/ 文字要素:私たちは、メアリーのストーリーを伝えましたが、そのために撮影する必要はありませんでした / メアリーはすでに撮影していたのです /

(*前編で紹介したムービーの一部分が映し出される) / 文字要素:彼女の人生の14年間を、115秒に編集 / 女性の声「私たちがたった今見たビデオクリップは、メアリーという楽しく、元気で楽天的な少女を追ったものですが、彼女はその後、自分を体重を気にするようになっていきます」/

ネット上の反響の声1「自分が子供を持ったとして、世界で最も愛しいその子がこのように自分自身を捉えてしまうことなんて想像もできないことです」/ 反響の声2「このビデオは語られるべきものだと思います。(ある意味)私もこの少女でした」/

*メディア上の反応が文字で映し出される / "私はこのように重要で、心に染みる、革命的なコミュニケーションを見たことがありません" / Huffpost "Doveのこのムービーはあなたを涙に誘うだろう。いずれにせよ、必見です" / NEW BEAUTY "体のイメージについての重要なメッセージによって、この広告はバズっている" / "Doveの摂食障害についてのフィルムは、業界にとってテック・プラットフォームに圧力を加える荒涼たる警告です" / "Doveの新しい広告”美の代償”は間違いなく私の心を射抜いた。私は涙を止められない" /

”私はメアリーだった” ”メアリーの話は、私の話でもある” ”メアリーはあまりにも多い、私たち(と同じ被害者)のひとりだ” /

文字要素:Doveのサポートにより、”子供のオンライン上の安全を守るための法案”の嘆願書への署名は、その目標を達成 / ソーシャルメディアがその配信を制限しようと試みる中、それは起こった… /

2,800万以上のオーガニック・ビューを記録 / アーンド・インプレッションは28億以上 / すでにDoveによるフィルム史上、最もシェアされたコンテンツに / これらは全て、10日間で記録された /

美についての考え方を変えましょう(Doveのロゴ入る) 

 

🏷️ ソーシャルメディアについて、考える契機に

いかがでしたでしょうか?

ソーシャルメディアを世界中の人々が使い始めてわずか15年ほど。しかし昔に比べて私たちもその使い方について、試行錯誤を繰り返しながら”依存しすぎない”適度な距離を模索し始めているのかな?と感じます。

(私も落ち込んでいる時には、他人のキラキラにやられるのでなるべくSNSは見ないようにしています。)

ちなみに今回のテーマにちなんで以下に、私が過去に見てハッとさせられた「ソーシャルメディアについて考えさせられるコンテンツ」を紹介しておきます。気になったらぜひ、ご参考いただければと思います。

www.netflix.com

www.netflix.com

 

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

ソーシャルメディアの悪影響から子を守るために作られた、 Doveのメッセージフィルム(前編)【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのDuoNguyenが撮影した写真

🏷️ 万国の親や教師が悩む、ネット動画と子供の適度な距離

先日、イタリアで教師をしている人と知り合う機会があったのですが、イタリアでも子供たちのネット動画視聴が問題になっていて、隙を見せるとすぐに見始めるし、見ている内容もチェックできないので心配だ、ということを話していました。

イタリアに限らず、日本を含むほぼ全世界の国で今、似たような状況になっていると思います。怪しげなコンテンツに騙されないよう、子供たちが自身のリテラシーを高める努力も必要ですが、日夜、あの手この手で洗脳を仕掛けてくるソーシャルメディア上のインフルエンサーたちに対抗するには、やはり世の中の仕組みをわかっている大人たちのガイダンスは絶対に必要です。

今回はそんなことを痛感させる、とある女の子の実話を描いたショートムービーをご紹介します。

こちらは日本でもお馴染み、パーソナル・ケア商品のブランドDoveが展開している「Dove Self-Esteem(自己肯定感を高める) Project」の一環として今回されたムービーで、今年の「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズのヘルス&ウェルネス部門やソーシャル&インフルエンサー部門で金賞を獲得するなど、高い評価を受けたアイデアとなります。それでは以下から本編をご覧ください。

🪧「Cost of Beauty: A Dove Film / ダヴ提供 ”美の代償”

youtu.be【雑和訳】文字要素:閲覧に際してのご注意 - このムービーでは、見る方によっては気分を悪くされる、体の外見に関する実話を扱っています /

メアリーちゃん「よし。座って!お本を読んであげるわね」/ タイトル:メアリーの物語 / ♪(名曲”美し過ぎて”をBGMに以下のストーリーが展開される) / 母親「こっち向いて、メアリー」/  メアリー「こんにちは!メアリーとナディのおもしろショーだよ!」/ 家族の歌声♪ ハッピーバースデー、メアリーちゃん /

(やがてティーンエイジャーになり、スマホを手に入れ、スリムになるための日課をノートに書き入れるなど、ソーシャルメディアに影響を受け始めるメアリー) / インフルエンサー「この夏、スリムなくびれを目指すなら、ぴったりの商品がこちらですよ!」/ メアリーのノートのメモ:"10代のための減量法" / "目標体重" / ”今日、お昼を食べすぎた” / "食欲を抑えること!" / インフルエンサー「自分で体をメジャーで測ってみましょう」/  メアリーのノートのメモ "自分を見つめよう、汚らしく、醜い自分を" /

診断書の書面:栄養障害-部分入院 / 病院の看板:摂食障害科 /

文字要素;有害な美容関連コンテンツの代償は、私たちが考えるよりも大きい /

母親「♪(美し過ぎてのメロディで)あなたは私にとって、とても美しい…わかるでしょ?」 / 文字要素:メアリー - 摂食障害から回復中 / 母親「♪あなたは私の望みのすべて、必要なもののすべて…」/

ネコ - 鬱から回復中 / アレクシス - 自傷行為から回復中 / ジュリア - 不安症と摂食障害から回復中 / サラ - 摂食障害から回復中 / キャミ - 摂食障害から回復中 / チオマ - 摂食障害から回復中 / ミア - 身体醜形障害と摂食障害から回復中 /

文字要素:ソーシャルメディアは半数の子供のメンタルヘルスを損ねている / 子供のメンタルヘルスを守るため、私たちと力を合わせましょう。Dove.comで嘆願書に署名をお願いします / 美についての考え方を変えましょう /

ご自身、またはどなたかのメンタルヘルスに不安を感じたら、85258にSHOUTとテキストしてください。24時間体制、秘密厳守で無料サポートいたします。摂食障害に関するサポートまたは治療方法については0808 801 0677のBeat、またはbeateatingdisorders.org.ukにコンタクトしてください

🏷️ このムービーの背景については、後編にて

いかがでしたでしょうか?

改めて訳しながら見てみると、インフルエンサーたちのビジネスのために結果的に洗脳され、体と心を壊していく子供たちの気持ちが切なく、お腹がいたくなってしまいました。

特に子を持つ親にとっては「もし自分の子が同じような目にあったとしたら…」と、心が動かされる3分間だったと思います。

ちなみにこちらのムービー、今回ご覧いただいた本編と合わせて、その背景や反響などを紹介する解説ムービーがございますので、次回の後編ではそちらについて説明させていただこうと思います。

 

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

マウスがうまく使えない人たちのために開発された”マウス”パッド【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのClem Onojeghuoが撮影した写真

🏷️ 今回はかなり良さげな発明品についてご紹介

トラックパッド付きのMacBookを使い始めてもう10数年、会社以外ではマウスを使う機会もだいぶ減りましたが、トラックパッドを使った長時間の作業となると手首などが痛くなることもあり、そんな時は手首への負担が少ないマウスのありがたみを痛感します。

しかし、そんなマウスの便利さを享受できるのも、腕から先の機能が問題なく発揮できているからこそ。世の中にはさまざまな理由でマウスを使えない人たちも多く、そんな人たちの(本人たちが気づいてないことすらある)隠れた不満やニーズは、これまであまり顧みられることはありませんでした。

そこで今回は、そんなニーズに応えるべく、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボからのスピンオフ企業、Augmental社が開発した”マウス”パッドについてご紹介しようと思います。さてこのマウス、パソコンのマウスなのでしょうか、動物のマウスなのでしょうか?答えは…そう、その通り!

ちなみにこちらは今年の「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズのイノベーション部門でグランプリを獲得するなど、非常に高い評価を受けたアイデアとなります。アーリーステージ・テクノロジー(初期段階の技術)というカテゴリーでの受賞ゆえ、人々の手に届くようになるまでにはまだ曲折があるかもしれませんが、以下Augmental社のWebサイトから、ウェイティングリストに購入希望を登録することはできるようです。

www.augmental.tech

それでは”マウス”パッドの紹介ムービーを以下、ご覧ください。(カンヌのケースフィルム(2分)よりもうんと理解が深まる、3分40秒バージョンです!)

🪧「MouthPad / ”マウス”パッド

vimeo.com

【雑和訳】文字要素:毎年、世界では毎年25万から50万の人々が、脊髄損傷に苦しんでいる-世界保健機関 /

アーティストでミス車椅子カリフォルニアのクリスティーナさん「私は四肢麻痺とともに暮らしています」/ プロゲーマーのロッキーさん「私は2006年に首を損傷しました。なので、麻痺状態になってから17年が経ったことになります」/  Sports MgmtのMA・YPACメンバーのニコさん「ピックアップトラックの後ろからジャンプした時、不運なことに首が後ろに曲がってしまったのです、そして今に至っています」 /

ロッキーさん「長年ペンを口に咥えたり、クアッドスティック*(*口で操作するゲームコントローラー)を顔面に打ち付けてきた影響で、前歯はすでになくなってしまいました」/ クリスティーナさん「最初に脊髄を損傷した時、声による操作やタイピングを学んで論文や宿題をやろうと努力したんですが、とてもやりにくくて…、それが学校をドロップアウトした原因のひとつでした」/

United Spinal社 テクノロジー&イノベーション部門VPのブルックさん「脊髄を損傷した人々が彼らのパソコンや、スマートフォンを使うための商品ってどこにあると思いますか?ほとんどないのが現状です」/

タイトル:紹介します。MouthPad(”マウス”パッド)/ 文字要素:サンフランシスコ、カリフォルニア /

Augmental共同創業者のトーマスさん「私は人間の能力を補うことに情熱を注いでいます。私は、すべての制限を克服するためにテクノロジーを活用することに興味を持っています」/ Augmental共同創業者のコーテンさん「Augmental社では常に、舌が人間の体の中でもとても柔軟に動き、活用できる部位だと考えてきました。私たちはそれをいわば、”11番目の指”と位置づけたのです」/ ブルックさん「舌はとてもユニークな特性を持っています。素早く動き、(人々は)すぐに(その動きを)学習することもできるのです。とても正確に動き、その器用さは、(体の他の部分だと)指にしか見られないものです」/

ニコさん「ありがとう!」/ トーマスさん「”マウス”パッドは、口の中に装着されるインターフェイスで、手を使わずにコンピューターの操作を可能にするものです。なので実際、まるで指でトラックパッドに触れたり、カーソル操作したり、クリックするのと同じような感覚で、あなたは自分の舌を使い、コンピューターを操作することができるのです」/

クリスティーナさん「わぁ、これは本当に素晴らしい。一体感があるし、とても使いやすいです。思いのままに動かせますね」/ ロッキーさん「電話をクリックして、誰かに電話をかけられるなんて…本当にゲームチェンジャーです」/ ニコさん「私は本当にただ…なんというか、もう一度、人間らしくありたいだけなんです」/

コーテンさん「私たちは人間をアシストするだけでなく、自分たちのテクノロジーで、私たちの進化する方法を本当に変えていけると信じています。だから、これは”あぁ、自分は人間性を失ってしまった”と嘆くような話ではなく、むしろそれを補い、強化するものだと考えています」/  

ニコさん「まるで自分の右腕を取り戻したような気分です」/ メカニカルデザイン主任のジュリアンさん「私たちには、人々の暮らしを変える可能性があると思います。私たちは、誰もが使えるインターフェイスを作っているのです」/

ロッキーさんのガールフレンド、ジャクリーンさん「ロッキー、気に入った?」/ ロッキー「ペンを咥えなくていいのは、いい感じだね」/ クリスティーナさん「私はセックスが大好きなの。なので、こうした場に立ち会えて、(Augmental社の)お手伝いができることは素晴らしいし、自分たちが力を合わせて働いていられることに本当に興奮しています。AugmentalのみんながどのようにMouthPadを使うつもりなのか…私のヴァイブレーターと繋いでね」/ クリスティーナのパートナー、ティサさん「この新しいデバイスは、すべてを良くしてくれるの!」/

ニコさん「動き回っている間や、何か他のことをしている時もコミュニケーションが取れるおかげで、人生を取り戻したような気分です」/ ロッキー「自分のニックネームがインターネット上では”口を使った殺し屋”というものになっちゃってw」/ クリスティーナさん「最後はきっと、みんなが使うようになると思うわ」/ ニコ「春がまさにやってくる気分ですね。これが永遠の春になるといいな、と思います」/

商品ロゴ:MouthPad(”マウス”パッド)- 世界をその舌先に

🏷️ 技術進化のスピードに、アイデアはついていけるか

いかがでしたでしょうか?改めて、素晴らしい技術ですよね!

より詳しくは、以下のギズモードによる関連記事をお読みいただければと思います。

www.gizmodo.jp

こういう素晴らしい発明品は、一度できたものを見てしまうと誰でも考えつきそうで、なぜ今までなかったのか?と感じるものが多いような気がします。そしてそういった発明の背後には、いつも技術とアイデアの素晴らしいマッチングがあります。

VRですらすでに死語に思えるようなこの時代。技術が凄まじいスピードで進化する中、今日不可能なことも、明日、明後日にはできるようになっていても不思議ではありません。

例えば、子供の頃にひらめいて、当時はどうあがいても実現できなかったアイデアはありませんか?時にはそんなアイデアを記憶の倉庫から引っ張り出して、現在の技術を活用したらどうなるのか、考えてみるのも面白いかもしれません。

 

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

パーキンソン病患者たち共通の「悩み」を楽しみに変えたセラピー【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのVladimir Munが撮影した写真

🏷️ やりたくないことを、いかにやりたくするか

やりたくないことを、いかにやりたくするか。これは私の人生後半戦の一大テーマです。

時間が無限にあるように思えた若い頃は、やりたくないことをやる余裕もありましたが、人生も半分過ぎるともう、そんな余裕はありません。

残された時間を、いかに自分がやりたいことで埋め尽くすか。人生をより意義深くするためにはふたつの努力 - やりたいことを周りから頼まれる確率を増やす努力と、やりたくないことの中にやりたい理由を見つけて、やりたいことにすり替える努力 - が必要なように思えます。

今回は、これらふたつの努力の中から後者に近い形のもの、つまり、パーキンソン病の患者がやりたくないこと(=症状緩和のためのエクササイズ)を、インスタやフェイスブックといったSNSプラットフォームを活用することで見事「やりたいこと」にすり替えたアルゼンチン発のアイデアをご紹介します。

ちなみにこちらは今年の「世界的クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズのファーマ部門でグランプリを獲得するなど、非常に高い評価を受けたアイデアとなります。それでは以下の紹介ムービーをご覧ください。

🪧「Scrolling Therapy / スクロール式セラピー:

youtu.be【雑和訳】女性「3年前は、私が笑っているときはみな気づいてくれました。今では私がハッピーなのか、悲しんでいるのか、誰も分かってくれません」/

文字要素:パーキンソン病において最も残酷な症状のひとつが、患者たちから感情表現を奪ってしまうことです / それは、仮面化と呼ばれています / この症状の改善をするためには、1日45分のエクササイズが必要です / しかし、それを行う患者は3%しかいません /

パーキンソン病患者のカルロス・テナイロンさん(46歳)「毎日続けることが本当に難しいんです。なんかいつも、子供みたいなことをさせられている気持ちになってしまって…。悲しくなってしまいます」/

ロゴマーク:ユーロファーマ - ラテンアメリカを代表する製薬会社 - がお届けする / タイトル:スクロール式セラピー / 文字要素: ソーシャルメディアに使う時間を、パーキンソン病の症状を緩和させるエクササイズに /

ユーロファーマ研究所 グループ・メディカル・マネジャー チアゴ・モナコ博士「パーキンソン病は神経変性の障害です。なので、より早い時期にエクササイズを始めれば、その分より筋力を維持しやすくなると言えるでしょう」/

ナレーション : オープンソースのAIプラットフォームを使い、スマホ内臓のカメラで使用者の表情を認識。それぞれの表情を、(SNSを)ブラウズする時のコマンドに変換するアプリを開発しました / 私たちは、エクササイズの中でも最も重要な表情をアプリで識別。笑顔を”like”のコマンドに、驚いた表情を”スクロール・ダウン”のコマンドに、おどけた表情を”スクロール・アップ”のコマンドに、悲しい表情を”動画再生”のコマンドに変換したのです /

神経学者 M.ユージニア・ゴンザレス・トレド博士「エクササイズはとても重要です。筋力を強化するだけでなく、バイオ・フィードバックを行いながら、筋肉と脳との接続をも強化するのです。あなたが感情を表情で表すと、脳の活動を改善しながら、その感情をより強く感じることができるのです」 /

ナレーション:このスクロール式セラピーのアプリにより、パーキンソン病の患者たちはSNSプラットフォームを、自分の表情で操作できるようになりました。しかも、エクササイズが適切に行われているかをビジュアルでチェックできる機能付きで /

文字要素:”10カ国で” "45,128人の医者と一緒に" "10億以上のインプレッションを創出" / 12週間使い続けることで、症状の改善を達成 / 世界中850万人の患者が無料で使用可能 /

15年前にパーキンソン病に罹患したマルシア・ディアスさん(61歳)「私たちを人間たらしめているのは、感情を見せる能力です。それは、最も素晴らしいギフトだと思います」 / ロゴ: ユーロファーマ

🏷️ 欲望も惰性も老若男女、ヒトの基本はそんなに変わらない

いかがでしたでしょうか?

自分とは違う立場にいる人たちのためのソリューションを考えるとき、私たちはどうしても「こういう人たちは〇〇だから××なはず」と、それらの人たちに自分とは違う枠をはめて考えがちです。

このアイデアの素晴らしい点は、そういう”思い込みの特別枠”を外して「SNSって意味なくても毎日ついつい見てしまうんだよなぁ…(できればもうちょっと有意義に過ごしたかったなぁ…)」という普通の人々が持つインサイトを、パーキンソン病に悩む人々にフラットに応用して課題解決した点にあります。

思えば老若男女、車椅子の人だって、アスリートだって、弁護士だって、遊び人だって、固いものにぶつかれば痛いし、恋に落ちればドキドキします。他人のSNS上のタイムラインを見て優越感に浸ったり、劣等感に悩んだりと、気づいたら無駄な時間を過ごしていて、自分の情けなさに笑ってしまうようなことは、難病に悩む人にだって、いわゆる普通の人々にだってきっとあるはずです。

自分と立場の違う人たちのためにソリューションを考える時、彼・彼女たちをきちんと理解するために情報を集めることは必須ですが、そこでの学びに囚われすぎても発想がぎこちないものになりがちです。

どんなヒトでも、結局は同じ人間。行き詰まったら自分の日常の延長線上に彼・彼女たちをフラットに置いて発想することで、今回紹介したアイデアのように、より人間らしく、ユニークなアイデアも出てくるのかな、と思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

自殺者についての私たちの”思い込み”を鋭く突いた英国発キャンペーン【カンヌ2023受賞作より】

UnsplashのLukas Rychvalskyが撮影した写真

🏷️ 今年のカンヌライオンズを揺るがしたビッグ・インサイト

皆さんは、日々の暮らしの中で自分がどれぐらいの思い込みに囚われているかを数えてみたことはあるでしょうか?

答えは「ほぼ無限」です。蛇口のハンドルのてっぺんが青なら冷たい水、赤ならお湯が出る、というような単純なものはより快適に生きていくために必要な思い込みですが、中には「〇〇な人は××なはずだ」というように、生まれつきの身体的・精神的特徴につけ込んで人の優劣を決めつけるなど、私たちの社会の進化を妨げる思い込みもたくさんあります。

そのような思い込みの厄介な点は、そのような思い込みが社会的に当たり前すぎてほとんどの人がそのおかしさに気づけない、というところです。

今回は、そんな「思い込み」の中でも特にこれまでタブーとしてあまり顧みられてこなかった、自殺者についての思い込みを鋭くついた取り組みをご紹介します。

ちなみにこちらは今年の「クリエイティビティの祭典」カンヌライオンズのフィルム部門でグランプリを獲得、他にもブランド・エクスペリエンス&アクティベーション部門、ヘルス&ウェルネス部門、アウトドア部門で金賞を獲得するなど、非常に高い評価を受けたアイデアとなります。それでは以下の紹介ムービーをご覧ください。

🪧「The Last Photo / 最後の写真

youtu.be【雑和訳】文字要素: 人々は、自殺しそうな人たちがどういう人たちかを理解していると思っています / (Googleの検索窓に、”自殺願望”という言葉が入力されると、その言葉に関連した画像が検索結果として表示される)/ でも実際は、/ 自殺を考える人が、必ずしも自殺しそうに見えるわけではありません /

女性の声「その笑顔は、カメラに向けたものではなくて、"本当に幸せ”、という感じのものでした」/ 男性の声「人生や将来への期待に溢れている、それがアレックスという奴でした」/ 別の男性の声「この写真が撮られた時、彼の人生はまさに順風満帆といった感じで、彼が自死を選んでしまった時、その予兆がどこにあったのか振り返ってみても、私も家族も、友達たちも見つけることができませんでした」/

文字要素:6月20日。1年で持つとも幸福だと言われるこの日*に (*出典:ハフポスト) / CALMとitvは自殺者たちに対する人々の思い込みを変えるべく、立ち上がりました / タイトル:最後の写真 /

スタジオの朝のワイドショー司会者 「本日、命を救うことを願い、新しいチャリティキャンペーンが始まりました」/ ロンドン、サウスバンクの現場レポーター「私は今、サウスバンクの現場にいます。現場は50枚の間違いなく素晴らしく、美しい写真に囲まれています。そして、写真の中のひとりひとりの笑顔はとても幸せそうに見えます」/ 文字要素:しかし、それらの写真の真実は、それらがもたらすイメージとは異なるものでした / 現場レポーター「悲しいことに、ここに展示されている人々は皆、自ら命を絶ったのです」/ 「そしてこれらは、彼ら自身が撮った、最後の写真なのです」/ (展示の入り口にある” 自殺を考える人が、必ずしも自殺しそうに見えるわけではありません。”という文言をカメラが捉える) /

写真を見た人々の声「素晴らしい」「力強い」「誰も自殺しそうになんか見えないのに…」「誰もわからないのね」「正直、ちょっと圧倒されてしまいました…」/

文字要素:そして同じ日に、90秒のムービーも公開されました / それは、彼らの最後のムービーをまとめたものでした / 音楽:私に楽しさをください、私に太陽をください、私に… /

文字要素:(そしてこれらは)英国に自殺に関する過去最大の論争を巻き起こしました / BBCレポーター「この取り組みは、自殺をする人に対する私たちの思い込みをひっくり返しました」/ コメンテーター「自殺という言葉がいまだにタブーで、恥や汚名で隠されてしまっているのです」/ その他の声「彼らにも友人やご両親、パートナーや子供たちがいるのです」/ 「どこにも予兆なんてありませんでした。まったくです」/ 「自殺は、私たちが思い込んでいるイメージとは全く違うものなのです」/

文字要素:7日間で50万人以上が現場を訪問 / 女性の声「私の兄は感情を押し殺すことが多かったので、その笑顔の裏にどんな気持ちを抱えていたのか、何度考えてみてもわからないのです」/ 文字要素:オンラインでの自殺についての会話量は、33%の増加を見せました / 16億インプレッションを記録。メディア予算はゼロ / ラジオDJの声「自殺願望は突然訪れます。私たちは、人々が自殺についてもっと話し合うことが直接的な防止策だと考えています」/ 文字要素:募金額は前年比400%上昇 / 遺族のひとり「展示されていた兄の写真を見て、全てが蘇ってくるような気がしました。皆さんには、話を聞くように試みて欲しいと本当に思います。一人の命を救うということは、本当に奇跡的なことなのですから」 / タイトル:最後の写真 / *CALMとitvのロゴ入る

🏷️ 面倒だけれど、やはり日々の「思い込み」を疑おう

いかがでしたでしょうか?

この紹介ムービー見た瞬間、自分もハッとしました。若いころは人生について色々と思い悩んでいたほうなのですが、年を取るに従い、知らぬ間に自殺を他人事だと思い込み、自分の身の周りでは起こり得ないものだと思い込んでいましたし、また心の中で、そうすることで自分が見たくないものに蓋をしていたのかもしれないな…と反省させられました。

また自分だけではなく、周りの人々もお互いにそうして「思い込み合う」ことで、ちょっと声をかけるだけで実は簡単に助けられたはずの命を救い落としてきたのかもしれない、と思うと、ビデオの中の遺族たちの声がより一層、重く感じられます。

そして紹介ムービーの中にあった通り、こちらのキャンペーンには自死を選んだ人たちが撮影した最後の動画をまとめた90秒のムービー版があります。上のキャンペーン全体を紹介するムービーを理解してから見るとまた、印象も変わって来ると思います。ぜひ、以下からご覧ください。

🪧「The Last Photo: Film ver. / 最後の写真: 動画編

youtu.be

【雑和訳】文字要素:これは、自ら死を選んだ人たちが生前、最後に撮影した動画です / 自殺を考える人が、必ずしも自殺しそうに見えるわけではありません / どうすればあなたが命を救えるか、考えてみてください / *CALMのロゴ入る 

・・・悲しくて、また口惜しくて言葉もありませんね。

しかし悲劇を繰り返さないためにも、こういったキャンペーンから学んだことを活かして、いざという時には話しかけ、一人でも多くの命を救うことが残されたものの責務なのだと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!