世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

ダウン症の人々の社会進出をポジティブに促す、楽しいメッセージムービー

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Photo by Nathan Anderson on Unsplash

本日3月21日は「世界ダウン症の日」です。ダウン症候群の啓発と、ダウン症と共に生きる人々への理解促進を目的に2012年、国際デーのひとつとして国連に認められたこの日には、これまでも様々な取り組みが行われてきました。(過去の関連記事をご参照ください。)

wsc.hatenablog.com

そして2021年。今年の世界ダウン症の日に向けて作られた、ダウン症の人々の社会進出を応援するムービーがかなり心地よい出来栄えなので、ここに紹介いたします。イギリスを代表するアーティスト、Stingさんの歌による素晴らしいメッセージが込められています。ぜひ、ご覧ください。

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<The Hiring Chain(雇用の連鎖)>歌詞:

♪パン屋がシモーヌを雇って、みんなが知った

彼女が仕事ができることを

弁護士がパン屋に行って彼女の働きぶりを見た

弁護士がジョンを雇ったのは

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

歯医者が弁護士の事務所に行ってジョンの働きぶりを見た

歯医者がソフィアを雇ったのは

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

農家が歯医者に行ってソフィアの働きぶりを見た

農家がケイトを雇ったのは

歯医者がソフィアを雇って

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

床屋が農場に行ってケイトの働きぶりを見た

床屋がポールを雇ったのは

農家がケイトを雇って

歯医者がソフィアを雇って

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋が床屋に行って…

ポールの働きぶりを見た

パン屋は知る由もなかったが

ポールの雇用は彼のおかげだった それは…

床屋がポールを雇ったのは

農家がケイトを雇って

歯医者がソフィアを雇って

弁護士がジョンを雇って

パン屋がシモーヌを雇ったから

パン屋がシモーヌを雇ったから

 パン屋がシモーヌを雇ったから〜♪

締めのメッセージ:雇用の連鎖を始めよう。

(HIRINGCHAIN.ORGに行って、世界を変えよう。)

訳してても楽しくなるキャッチーな歌と、気持ちの良い映像の組み合わせで、ともすればお涙頂戴だったり、感傷的になりがちなこの手のメッセージを、日々の暮らしの中に訪れる”ちょっとした喜び”として前向きに表現することに成功したこの映像。ダウン症の人々の明るい表情がとにかく印象的で、彼らと共に力を合わせて価値を生み出せる世の中って、今よりももっと豊かで、やさしい気分に満ちあふれているんだろうな、と思いました。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

<おまけ:ダウン症に関する過去の記事 その2>

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【ポッドキャスト・アーカイブvol.11】あっぱれ!募金箱へのひと工夫で、募金額を爆上げさせたソーシャルキャンペーン (2015年1月8日のブログより)

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本ブログの、2015年の1月8日掲載分の記事を要約してポッドキャストにしました。週に一度、たった2分のアイデア復習。

上記ご聴取いただき、ご興味沸きましたらぜひ元記事もお読みください。

 

元記事へのリンク:

wsc.hatenablog.com

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね! 

【ポッドキャスト・アーカイブvol.10】コラボをすればここまでできる!ファンぐるみで献血を盛り上げたキャンペーン(2014年11月27日のブログより)

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本ブログの、2014年の11月27日掲載分の記事を要約してポッドキャストにしました。週に一度、たった2分のアイデア復習。

上記ご聴取いただき、ご興味わきましたらぜひ元記事もお読みください。

 

元記事へのリンク:

コラボをすればここまでできる!ファンぐるみで献血を盛り上げたキャンペーン

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いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね!!

 

ジャーナリズムの意義を教えてくれる、東海テレビ特集〜サステナブル・ブランド国際会議2021 横浜/APAC見聞録

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Photo by Sam McGhee on Unsplash

ジャーナリズムは、権力のある組織の腐敗を防ぐためのチェッカーであり、バランサーです。特にそれぞれの人々の暮らしと密着している地方メディアがしっかりと活動を続けることは、ともすれば東京発のバラエティ的ニュースに覆われて見過ごされがちな身近な不正や問題をえぐり出し、手がつけられない状況になる前に防いでくれる「平和な暮らしの防波堤」として、とても重要です。

そこで今回はサステナブル・ブランド国際会議2021 横浜/APACでも広告電通賞 SDGs特別賞の受賞作として紹介されていた、東海テレビによる素晴らしいコマーシャルムービーをご紹介します。

「見えない障害と生きる。」というものです。本当の障害者とは、個性にレッテルを貼って区別してしまう心を持つ我々の方ではないか。そんなことを考えさせてくれる良作です。

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実は東海テレビ、この作品だけでなく、過去にも自社コマーシャルを活用して、様々な問題に対して光を当てています。是非、以下の過去作品もご覧いただき、「ハッ!」とする切り口から、ジャーナリズムのあるべき形を世に提示し続けている彼らに拍手をしてください。

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いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!

廃プラ問題に対するブラジル・ネスレの印象的なコマーシャル〜サステナブル・ブランド国際会議2021 横浜/APAC見聞録

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Photo by Meghan Rodgers on Unsplash

先週に引き続き、サステナブル・ブランド国際会議 横浜/APACで紹介されていたアイデアをご紹介します。こちら、初日の「Brand and Social Equity: Viable & Feasible?(ブランドと社会的平等について:その実行と実現の可能性)」というセッションで紹介されていたものなのですが、廃棄プラスチックに対応するブランドとして、とても印象に残る映像表現をしていたのでお届けします。

 

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<和訳>

画面左側 ”テオドロ君にとっての20年”

画面右側 ”プラスチックストローにとっての20年”

「ストローが変わらないのなら、我々がストローを変える。」

「NESCAUは今、100%紙のストローを使っています。」

「1本ずつ、世の中を変えていこう。ー NESCAU」

いかがでしたでしょうか?こちらは、過去のブログでも取り上げました「廃プラで大きな鯨の死骸を作った」マーリー・ハイミーさんが登場したセッションで”ビッグブランドによる印象的な取り組み”の一例として紹介されていたのですが、生分解性に著しく劣る(=つまり、何年経っても自然の力で分解されない)プラスチックの問題点を、育ち盛りの若者にとっての20年と対比させることで鮮やかに提示しました。

サステナビリティ系の取り組みとなると、いまだに「我々マルマル社は、この星の明日のために、コレコレを行っています。」とストレートに語る系の表現が多いと思うのですが、環境問題に関心の高いZ世代に向けて、これからますます多くのブランドがこのエリアでの優位性を訴えなければいけないことを考えると、結局最後に勝負を分けるのは印象的な表現や、それを支えるクリエーティブなアイデアだったりするんだろうなと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

アートの力でガーナのスラム街を助ける日本人〜サステナブル・ブランド国際会議2021 横浜/APAC見聞録

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Photo by Hermes Rivera on Unsplash *Taken in Nicaragua

2月24日~25日と2日間に渡って行われたサステナブル・ブランド国際会議 横浜/APACにオンライン参加してまいりました。

「リジェネレーション(再生)」をテーマに、50を超えるセッションでトヨタ富士通花王など、サステナブル分野における先進的な取り組みで知られる様々な企業やブランドの「中の人」たちが自分たちの取り組みをシェアする貴重な機会だったのですが、その中でも特に心を動かされたのが初日、冒頭のWelcome Addressに登壇した日本人アーティスト、長坂真護(ながさか まご)さんによる取り組みの紹介でした。詳しくは彼のウェブサイトでご覧になるのが一番良いと思うので、本文の末尾にリンクを貼っておきますが、まずは彼の取り組みをまとめたムービー(ほぼ日本語)をご覧いただければと思います。

皆さんはおそらくスマホ、またはPCでこのブログを読まれているわけですが、そのデバイスの多くが廃棄後、どこに行き着くかを考えたことはあるでしょうか?そんなことを思いながらご覧になると、より心に響くことでしょう。それでは、ご覧ください。

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アートは、頭で考えると目を逸らして誤魔化したくなる、自分たちにとって都合の悪い事実を心からこじ開ける力を持っています。

真護さんはここ、ガーナのスラムで得たインスピレーションと、拾った電子製品を組み合わせたアート作品を先進国で売り、その利益をスラムに還元することで世の中を変えていこうとしています。これを「サステイナブルキャピタリズム」と称する彼の最終的な目標は、2030年までに100億円を稼ぎ、そのお金で現地に最先端のリサイクル工場を作ることだそうです。そしてその瞬間、つまり、野ざらしの電子ゴミがスラムからなくなり、彼がアート作品を作れなくなる瞬間こそがこの取り組み全体が”アート”として完成する時なのだ、とも。

さらにWelcome Addressでは野心的なプロジェクトとして、万が一自分が途中で死んでもこの取り組みが続くように、スラムの電子ゴミを組み合わせて作ったキャラクターをIP化して、アンパンマンのように展開していくプロジェクトも紹介されていました。

この試みがうまくいくがどうかはまだわかりませんが、我々の未来が繁栄へと向かうのか、破滅へと向かうのかが明らかになる2030年に向けて、もう成功・失敗を問わず、我々は全ての可能性を試し、「やらなければいけない」段階に来ています。この試みが成功することを切に願いますし、もちろん私も、何らかの形で貢献できればと思います。

サステナブル・ブランド国際会議は広告業界の内側にいるだけでは感じられない、幅広い視野と情報、そしてインスピレーションをグローバルに受け取ることができる、想像以上に有意義なイベントでした。来年もぜひ参加したいと思いますし、また、今回学んだことをこのブログでももう少し紹介していこうかな、と思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

参考資料:長坂さんの公式ウェブサイト

www.magogallery.online

【ポッドキャスト・アーカイブvol.9】スポーツ中継で森林破壊を実感!ブラジル発の環境保護キャンペーン(2014年11月17日のブログより)

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本ブログの、2014年の11月17日掲載分の記事を要約してポッドキャストにしました。週に一度、たった2分のアイデア復習。

上記ご聴取いただき、ご興味沸きましたらぜひ元記事もお読みください。

元記事へのリンク:

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いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね!