世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

アートの力でガーナのスラム街を助ける日本人〜サステナブル・ブランド国際会議2021 横浜/APAC見聞録

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Photo by Hermes Rivera on Unsplash *Taken in Nicaragua

2月24日~25日と2日間に渡って行われたサステナブル・ブランド国際会議 横浜/APACにオンライン参加してまいりました。

「リジェネレーション(再生)」をテーマに、50を超えるセッションでトヨタ富士通花王など、サステナブル分野における先進的な取り組みで知られる様々な企業やブランドの「中の人」たちが自分たちの取り組みをシェアする貴重な機会だったのですが、その中でも特に心を動かされたのが初日、冒頭のWelcome Addressに登壇した日本人アーティスト、長坂真護(ながさか まご)さんによる取り組みの紹介でした。詳しくは彼のウェブサイトでご覧になるのが一番良いと思うので、本文の末尾にリンクを貼っておきますが、まずは彼の取り組みをまとめたムービー(ほぼ日本語)をご覧いただければと思います。

皆さんはおそらくスマホ、またはPCでこのブログを読まれているわけですが、そのデバイスの多くが廃棄後、どこに行き着くかを考えたことはあるでしょうか?そんなことを思いながらご覧になると、より心に響くことでしょう。それでは、ご覧ください。

www.youtube.com

アートは、頭で考えると目を逸らして誤魔化したくなる、自分たちにとって都合の悪い事実を心からこじ開ける力を持っています。

真護さんはここ、ガーナのスラムで得たインスピレーションと、拾った電子製品を組み合わせたアート作品を先進国で売り、その利益をスラムに還元することで世の中を変えていこうとしています。これを「サステイナブルキャピタリズム」と称する彼の最終的な目標は、2030年までに100億円を稼ぎ、そのお金で現地に最先端のリサイクル工場を作ることだそうです。そしてその瞬間、つまり、野ざらしの電子ゴミがスラムからなくなり、彼がアート作品を作れなくなる瞬間こそがこの取り組み全体が”アート”として完成する時なのだ、とも。

さらにWelcome Addressでは野心的なプロジェクトとして、万が一自分が途中で死んでもこの取り組みが続くように、スラムの電子ゴミを組み合わせて作ったキャラクターをIP化して、アンパンマンのように展開していくプロジェクトも紹介されていました。

この試みがうまくいくがどうかはまだわかりませんが、我々の未来が繁栄へと向かうのか、破滅へと向かうのかが明らかになる2030年に向けて、もう成功・失敗を問わず、我々は全ての可能性を試し、「やらなければいけない」段階に来ています。この試みが成功することを切に願いますし、もちろん私も、何らかの形で貢献できればと思います。

サステナブル・ブランド国際会議は広告業界の内側にいるだけでは感じられない、幅広い視野と情報、そしてインスピレーションをグローバルに受け取ることができる、想像以上に有意義なイベントでした。来年もぜひ参加したいと思いますし、また、今回学んだことをこのブログでももう少し紹介していこうかな、と思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!

 

参考資料:長坂さんの公式ウェブサイト

www.magogallery.online