世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

男性優位のインド議会で、女性政治家の誕生を力強く促進したアイデア

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Photo by Ron Hansen on Unsplash

日本のジェンダーギャップの現実を表す議会の男女比率

過去の記事でも触れたことがありますが、女性の社会進出の遅れは世界と比べて、日本社会が最も遅れている部分のひとつ(156カ国中120位)です。

それを端的に表しているのが、議会の男女比率の偏り。以下の記事によると、昨年秋の衆議院選の結果、ただでさえ低い男女比率がさらに悪化し、全議員のうち、女性の占める割合はたったの9.7%だそうです。

news.yahoo.co.jp

政治における男女比率の歪みは日本のジェンダー・ギャップ指数を引き下げている大きな要因(156カ国中147位)となっていて、もちろん指数が判断基準のすべてではないものの、現実の社会と明らかに異なった男女比率で議論を進めなければいけない、という歪みが日本の政治家たちの仕事の妨げになっていることは間違いないでしょう。

…ということで、今回は日本と同様、男女比率の不均衡に悩むインドの政治に対して行われた興味深いアイデアをご紹介します。

先日行われたアジア太平洋・アセアニア地域におけるクリエーティビティの祭典Spikes Asiaにて、ジェンダー問題を扱ったアイデアを評価する部門、Glass: The Award for Change部門でグランプリを獲得したアイデアです。

「”私をノミネートして”セルフィー 」

youtu.be

[雑和訳] ナレーション ”インドは世界最大の民主主義国家だ。ただ、国会議員全体で女性が占める割合は10%にも届かず、民意の50%は顧みられることも、聞き届けられることもない。しかしなぜ、女性は議員になれないのだろうか?

女性たちにとって、低いレベルから国会議員の候補になるには、各々の政党のリーダーからノミネート(指名)される必要がある。そしてそのリーダーたちの90%以上が男性なのだ。そして彼らと話す際、私たちが決まって言われるのが「じゃあどこに(ノミネートすべき)女性がいるのだ?」ということ…”

実行団体SHAKTIのTaraさん「今こそ、彼女たちがどこにいるかを知らしめるときです!」

ナレーション ”インド唯一の政治における女性の役割拡大を求める団体SHAKTIは、インドの新聞The Times of Indiaと共に'私をノミネートしてセルフィー'をおこなった。

我々はこの取り組みを、最も男女の不均衡が激しい大きな州Biharで開始。140の草の根の団体が、45,000人の住民にこの取り組みを知らせた。それぞれの女性は履歴書の代わりにセルフィーを作成。自身の公共活動における実績や成果に加え、ノミネートする側へのアピールを添えて送付した。

我々はそれらのセルフィーを政党のリーダーたちへ送付。彼らが70年間無視してきた存在を突きつけたのだ。

この試みはムーヴメントとなり、スマホから新聞、そしてテレビへと拡散していった」 

ニュースキャスター「Biharの政治状況は混沌としていますが、今回はさらに女性の存在が注目を集めています」

ナレーション ”結果、ノミネートされた115人中、22人が女性となった。これはBiharの歴史では前代未聞のことである。そして72人の女性が公共の政策委員会のメンバーとなった。

私たちは、これまで(インドに)存在しなかった、リーダーとなりうる女性人材のパイプラインを作ったのだ。そして我々のムーヴメントはこれからも続いていく…” 

Taraさん「周りの予想を覆して、SHAKTIのボランティアたちはスマホとセルフィー用のカメラだけを持ち、州を跨いでこの取り組みを拡大させています」 

ナレーション ”私たちのセルフィーは、(国会の)半分が私たちになるまで止まりません。半分は、私たちのもの”

カギは自発的参加を促す動機付けと、ハードル下げ

いかがでしたでしょうか?男性優位の仕組みが、大多数の人々には気づかないレベルにまで組み込まれてしまっているこの社会でジェンダー問題を解決するには、どうしても当事者たちの自発的な働きかけが欠かせません。

とはいえみんな自分の暮らしで忙しいし、声を上げることで起こりうる、さまざまな面倒を考えると多くの女性たちが立ち上がるのをためらってしまうのはある程度、仕方がないことなのかな…と思います。

しかし、そんな時に出番となるのがアイデアです。どのように人々の考えを変え、動機づけるのか?そしてやる気になった人たちが行動する際に直面するハードルをどのように下げるのか?

今回のアイデアでは、セルフィーを使って軽い気持ちで参加できる「プチ立候補」という新しい選択肢を女性に与えたことで、彼女たちの政治参画のハードルを思い切り下げたところが素晴らしいな、と思いました。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!