世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

アンデスの子供と母親たちを栄養失調から救う「デザインの力」

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Photo by Blaine McKinney on Unsplash

 

リラックスムードの週末に、ほっこりとするアイデア

2021年10月22日現在、東京では新型コロナウイルスの新規感染者数も大きな減少をみせ、街をゆく人々の姿もそこはかとなくリラックスしているように見えます(そもそも1年以上、リモート勤務を続けてきた自分が街ゆく人々を見ていること自体が事態の沈静化を物語っています)。

次の波がいつ来るのか、来ないのか?やれることはやりつつ、結局全ては天に委ねるしかないのですが、社会の小休止ムードに合わせて、今回は世界のクリエイティビティの祭典、カンヌライオンズの今年の受賞作からほっこりするアイデアをお届けしたいと思います(ヘルス&ウェルネス部門/ダイレクト部門金賞受賞)。

先週に引き続き「デザインの力」が際立つアイデアなのですが、前回とは対照的に今回は”超”アナログな取り組みです。アンデスの色彩と音楽、オーガニックな風景にのせてまるで秋の高い青空の下、峠のてっぺんで深呼吸するような気持ちでご覧ください。

Mother Blanket / 母親たちのための毛布

www.youtube.com

【雑和訳】[南米では、3人に2人の子供が栄養失調に苦しんでいる(2020年 WHOの報告より)]「エクアドルアンデス地方では、30万人以上の子供たちが慢性的な栄養失調と戦っています。孤立した集落に住む彼らにとって、定期的な検診を受けることは難しく、ときには文化的な違いや、現代の薬への不信がその困難に輪をかけることもあります」

「このような健康上の問題は多くの場合、親も気付かぬままに進行し、不治の病や、ときには死に至ることさえあります」小児科医のマリアさん”ここでは、子供が発育不良を起こしています。母親たちは子供がふっくらしていればしているほど健康だと思い込みがちですが、そうではないのです。子供の肉体的成長に関する正しい基準は、体重ではなく、身長なのです”

[Mother Blanket ]「母親たちのための毛布」「母親と子供たちを繋ぐ文化的象徴である現地の毛布"sikinchi"に着目した私たちは、この毛布を小児科の検診に活用できるものに変えました」「女性の毛布編み士と力を合わせて、我々はWHOによるガイダンスに基づく子供の2歳までの適切な身長変化を、視覚と現地の言葉で理解できる毛布のデザインを開発」

「これらの毛布は各地のコミュニティセンターで母親たちに提供されました」「そこでは同時に、子供たちの肉体的な健康をモニターするためのトレーニングが行われました」「それにより、母親たちはどんなに離れた場所に住んでいても、自分で我が子の健康を継続的にチェックすることができるようになり、成長に異常を感じた時はメディカルセンターで受診をさせるべきかどうか、自分自身で判断できるようになったのです」

[これにより、1万5千件以上の慢性的栄養失調が判明][トレーニングを受けた母親たちの70%が我が子の3歳児検診を受診]国連のイヴァンさん”国連では、栄養失調の解消を大事な使命だと考えています。そして我々の文化をこのように活用することは、とても素晴らしいアイデアだと思います”

「今日では、アンデスの母親たちは何世紀も続いた伝統(sikinchiのこと)とともに、とても自然な形で子供たちの成長を正しく把握することができるようになりました」[Mother Blanket ][Vivir & CCPDA ]

デザインと機能性が、土着のカルチャーと見事に融合

いかがでしたでしょうか?1枚1枚の毛布のデザインについては以下のリンク(↓)からご覧いただけますが、現地の作物や動物など、住民に馴染みのあるアイコンと、子供を計測するためのメモリが自分も思わず欲しくなるようなクオリティで、見事にデザインされています。

www.oneclub.org

大切なことはデジタル、アナログではなく「役立つ」こと

社会課題の解決、というとすぐにスマホなどのデジタルデバイスを使ったソリューションを考えようとしてしまいがちですが、デジタルはやはり手段にすぎませんし、今回の毛布のような「リアルな物品」には、持っていることで満たされる土着文化への誇りや愛着など、スマホアプリでは呼び起こしにくい人間の深い感情を惹起できる強みがあります。

今の時代のソリューション考案者として一番強いのは、コピーライティングやデザイン、コーディングなどの一つの”芯”をしっかりと持ちつつ、全盛期のリアル版柔ちゃんの柔道のように、どんな体制、状況からでも常に「役立つ」、技あり一本なアイデアが出せるよう、デジタルからアナログまで、全てを状況に応じて使い分けられる知識と能力を持つことなのかな、と思います。

学びをあきらめたら試合終了

常に新しいものが生まれ続け、変わり続ける今の時代は「学びをあきらめたら試合終了」の時代でもあります。かなり厳しい時代ではありますが、本当にささやかながら、このブログがそんなみなさんの”学び”のお役に立てればと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!