世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

アイデアが選挙にできること

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Photo by Clay Banks on Unsplash

選挙の季節がやってきました

この記事の執筆日は2021年10月9日。岸田内閣が発足し、月末の31日には衆議院の解散、総選挙が行われる見込みです。このタイミングを待っていたわけではないのですが、クリエイティビティの世界的祭典カンヌライオンズの今年の受賞作(メディア部門グランプリなど多数)で、選挙にまつわる素晴らしいアイデアがあったので今回はそれをご紹介したいと思います。

今年の頭には親トランプ派が議事堂を占拠したりと、アメリカの民主主義の危うさを感じる機会も増えていますが、このように民主主義を守る動きがしっかりとあるのもまた、アメリカの底力なのかな、と思います(暮らしていてとても疲れそうな社会ではありますが…)。

以下の紹介ムービーを例によって、私の雑な和訳とともにご覧ください。

Boards of Change(変革の板)

www.youtube.com

【雑和訳】ジョージ・フロイドが警官に殺される前の音声「殺される!死んじゃうよ!息ができない…」 [2020年の大統領選挙まで5ヶ月] [*シカゴ・ニューヨークでのblack lives matter運動の様子が映し出される] ニュース映像"ダメージは広範囲で、多くの店舗の窓が粉砕されました。各店舗は今、板で補強を行なっています"

[シカゴ市が-] [大統領選挙において-] [提供したもの-] ["変革の板"]

[*変革の板により作られた投票登録・投票ブースが次々と映し出される] 街の人「皮肉なのは、この登録所の板がもともと、自分たちの声が無視されている、という怒りにより壊された店舗の窓を塞ぐための板だった、というなんだ。それが今、そういった人たちのための投票ブースになっているんだから、びっくりだよね」

[民主主義が攻撃にさらされているころ-] メディアの人「黒人の有権者に対する権利が絶え間なく攻撃されているんです」 [シカゴは黒人の有権者が大切であることを明確に示す必要があった] シカゴ市長「今こそ、black lives matterのエネルギーを建設的で、後世に残る民主的な試みへと変換させるときなのです」 ミシェル・オバマ「この国では5人にひとりの有権者が、選挙の登録すらしていないのです」

[このブースは、選挙への登録をこれまでになく簡単なものにした] [そして社会的マイノリティに属する人々を投票へと駆り立てた]  インフルエンサーと思しき人たちのコメントが入る「私は、私たちにも一票を投じる権利がある、ということを示す一例になろうと思います」「ここで投票しなきゃ!」「今こそ動くとき」「社会システム全体の変革が必要とされていて、我々にはそのための場所が用意されているのです」

[街のメディアを使い、投票所への道案内も実施] [この試みは、国全体へのインスピレーションとなった] [*各種メディアで取り上げられている様子が映し出される]

[シカゴでの選挙登録者数は史上最高を記録した][投票者数も然り] [黒人コミュニティの歴史的瞬間の一つとして] [変革の板による投票ブースはデュ・セイブルアフリカ系アメリカ人歴史博物館に展示されている]

選挙権は私たちが守るもの

いかがでしたでしょうか?アメリカに住む人々、特にマイノリティの人々の選挙への熱い思いが伝わるアイデアだと思います。

戦後の日本で育った感覚だとどうしても「選挙権はあって当然のもの、だけど別に投票しても、しなくても何も変わらない気がする…」という意識があると思います。しかし民主主義は先人たちが試行錯誤の末に、世界中でたくさんの血を流して開発した、国民、政治家、役人、メディアが”きちんと働く限り”相当良くできたシステムです。逆にいうと、現在の投票にまつわる様々な問題は各ステークホルダーがきちんと働いていないから起きているものだ、ともいえます。

それぞれのパートに大なり小なり課題はありますが、だからといって民主主義自体を破壊してしまうのではなく、今回ご紹介したようなアイデアの力をうまく使い、それぞれの持ち場を少しずつ改善していければ素晴らしいな、と思います。

そして我々国民のパートの課題は、政治家たちに「ちゃんと見てるぞ」ということを示すための「投票率の向上」です。私も今度の選挙、「きちんと自分たちの仕事をしているメディア」による情報をしっかり読んで、しっかりと投票してこようと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!