投票日。週末に行われることが多い日本だと大体、近くの学校か公民館の投票所に行き、さらっと投票して帰る、という手軽なイメージが一般的だと思いますが、アメリカの場合はここにも貧富の格差が立ちはだかります。
2012年の大統領選挙の際は、低所得者層やマイノリティが住む地域に十分な数の投票所が確保されず、実に1.000万人もの人々が一票を投じるために長蛇の列に並ばなければならなかったそうです。何時間も待たされた挙句、結局投票できなかった人も多数。投票所へアクセスする権利の不平等が問題になっていました。なのに2016年の大統領選挙では、マイノリティの声を封じ込める政治的意向があるのかないのか、さらなる投票所の減少が見込まれていて…。
そんな状況を見かねて立ち上がったのが、低所得者層やマイノリティが住むエリアを中心に、全米で低価格のテレコムサービスを提供しているBoost Mobile。はたして彼らが2016年の大統領選挙の際、この問題を解消するために行った取り組みとは…? ぜひ、以下のビデオをご覧ください。
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そうです、彼らは自分たちの店舗を大統領選挙当日、投票所として活用する取り組みを推し進めたのです。(日本でいうと、お近くのdocomoやau、Softbankのお店を投票所にする感覚だと思います。)前にこれを実行した人の講演を聞いたことがあるのですが、もちろん無断で投票所を作るなどということはできず、投票所としての基準を満たし、かつ各自治体からの許可を得るためには大変な努力が必要だったそうです。最終的には全米870もの自治体と交渉した結果、 合わせて5,000もの自ブランドの店舗を投票所に変えることに成功。そのエリアの投票率は平均で実に23%もの上昇を見せたそうです。
テレコム会社だけに、彼らの「声」を活かすために最善を尽くす、というロジックは理にかなっているし、投票という(これまで不便を強いられていた)アクションを店舗で快適に体験してもらう”プロモーション・キャンペーン”だと捉えれば、新規のファンを作り、顧客として取り込んでいくきっかけとしてもかなり有効に作用しているのでは、と思いました。
はたして選挙結果が彼らの意に沿うものだったかどうかはわかりませんが、言葉だけではなく、アクションでしっかりと社会的公平さを実現していこう、というBoost Mobileの姿勢には学ぶところがたくさんあるな、と考えさせてくれる事例でした。
いやぁ、アイデアって本当にいいものですね。それではみなさん、また来週!