世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

男子との格差が消えない女子プロスポーツを支援するアイデアあれこれ

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Photo by Sicong Li on Unsplash

いきなり個人的な話で恐縮ですが今回は、スポーツにおける男女格差をテーマにした映画として「観たいなぁ」と思いつつ見逃してしまっている映画の紹介から始めさせていただきます。こちらの予告編をご覧ください。

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「Battle of the Sexes (邦題:バトル・オブ・ザ・セクシーズ」という実話をベースにした物語なのですが、eiga.comの紹介ページに記載のあらすじを抜粋すると以下になります。

"1970年代に全世界がその行方を見守った世紀のテニスマッチ「Battle of the Sexes(性差を超えた戦い)」を映画化。73年、女子テニスの世界チャンピオンであるビリー・ジーン・キングは、女子の優勝賞金が男子の8分の1であるなど男女格差の激しいテニス界の現状に異議を唱え、仲間とともにテニス協会を脱退して「女子テニス協会」を立ち上げる。そんな彼女に、元男子世界チャンピオンのボビー・リッグスが男性優位主義の代表として挑戦状を叩きつける。ギャンブル癖のせいで妻から別れを告げられたボビーは、この試合に人生の一発逆転をかけていた。一度は挑戦を拒否したビリー・ジーンだったが、ある理由から試合に臨むことを決意する。"

そもそもこの実話の出来事自体が、両極端なセレブリティを対決させることで課題の可視化を測る、PRバリューにあふれた素晴らしいアイデアだなぁ、と思いますがそこからおよそ50年を経た現在、女性のプロアスリートを取り巻く環境はどう変化しているのでしょうか?

それではこちら、映画のモデルとなったビリー・ジーン・キングさんご本人のナレーションにより2019年に制作された、全米オープンテニスのプロモーションムービーをご覧ください。

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世間の男女格差を解消するきっかけとして、スポーツの力を讃える内容なのですが、こちらのムービーによると「メディアなどで紹介されるスポーツに関する話題の中で、女子スポーツが占める割合はたったの4%」なのだそうです。続いてこのムービーでは「その結果、本来であれば人々の間で語られ、次の世代の女性たちをインスパイアすべきストーリーが取り上げられずにいる」→「なので皆さん、自分が素晴らしいと感じた女子スポーツアスリートを、#womanworthwatching(#女子だって充分スゴイ)のタグをつけてSNSでシェアしてください。みんなで女子がどう見られるか、だけではなく、女子がどう扱われるべきかを示しましょう」→「そしてそれを、女性アスリートのために戦い続けてきた全米オープンテニスから始めましょう」という流れで同大会へのアピールが行われていくのですが、スポーツイベントの告知コンテンツとしてプレーの迫力や醍醐味ではなく「女子スポーツの地位向上による男女格差の解消」というイベントのパーパス(目的)を前面に打ち出しているのが時代だな、と驚かされました。

調べてみると全米オープンテニスは、1973年に世界で初めて、男女間の優勝賞金の格差を廃止したグランドスラムのタイトルだそうで、そういう事実があるからこそ、このようなアプローチが取れるのだな、と感心しました。

 

また今回はもうひとつ、スポーツにおける男女格差の解消に関して興味深いバーガーキングの試みを紹介隊と思います。その前に、この試みの背景となったアイデアを紹介させて下さい。

数年前、彼らは世界的なサッカーのテレビゲーム「FIFA20」では、イングランド4部リーグの最下位チームでさえもチームとして登録されることに気づきました。そこで実際に4部リーグ最下位の弱小&貧乏球団「Stevenage FC」をスポンサードしてユニフォームにバーガーキングのロゴを大きくデザイン。ゲーム上でStevenage FCを使ってメッシやロナウドなどといった世界的スターと契約し、プレーした画像をTwitterにシェアしたらバーガーなどをプレゼント、という天才的なキャンペーンを行い大成功させました。(やや脇道にそれますがすごいアイデアなので紹介ビデオをご覧ください)

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そしてその成功を受けた今年、バーガーキングは今度は「Stevenage FC」の女子チームを、Burger KingならぬBurger ”Queen”のロゴでサポートすることに決めたそうです。こちらがそのプロモーションムービーです。

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最後のオチのキャッチフレーズはこうなります。「Stevenage FCでやっていくのは大変だ。」→「でも、Stevenage FCの女子チームでやっていくことが、男子よりも大変であってはいけない。」→「バーガーキングクイーンは、男子と同じ条件で、Stevenage FCの女子チームをスポンサーします。」

そして、単にユニフォーム上のロゴをセルフパロディするだけでなく、このチームの本拠地にあるバーガーキングの店舗も、実際に「Burger Queen」という名前に変えてしまったそうです。ロゴを変えるだけでは「賢いね」で終わってしまうアイデアかもしれませんが、クレイジーもここまでやると意気に感じて、「頑張れバーガーキング!」と心から応援したい気持ちになってくるから人間の気持ちとは面白いものです。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!