世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

タイの肥料メーカーが農村に起こした「プチ革命」

Photo by Eduardo Prim on Unsplash

 

シンプルだけど役に立つ”広告”をひとつ

昨今はシリアスな課題が多めだったので、今回はひとつ、シンプルだけれどタイの農村でみんなに喜ばれたアイデアをご紹介します。これからの太陽が眩しい季節、日本でも応用できるアイデアかもしれません。…ということで今日は前置きもシンプルに。

こちらも先週〜先々週のアイデアと同じく、多様な文化が共存するアジアならではの、各地の伝統や風習に根ざしたソリューションを評価するAdfest2022のLotus Roots部門を受賞したアイデアです。

「Shelter Signboard: 太陽から身を守る看板」

vimeo.com

【雑和訳】タイトル:タイは米の輸出量が世界で最も多い国の一つで、国中に400万人を超える稲作農家がいます。キャスター「タイは3つのことで知られています。夏と、本当に暑い夏。そして本当にクソ暑い夏です」女性の声「昨日の最高気温は44.6度までいってしまいました」タイトル:農家は、週に80時間も熱射に晒されて働かなければなりません。毎年、水田では熱射病で最高38人もの方がなくなっています。(いくつかのメディアの、このアイデアに対する賞賛が表示される)”TRAモンクット肥料会社提供:太陽から身を守る看板 ー 農家の命を守る、シンプルな解決策”。…シンプルすぎる?(農家「私たちも欲しい」など必要性を感じさせる声が幾つか入る)そんなにシンプルではありません。反射性のあるプリントが太陽光線を跳ね返すことで、農家の体に届く熱を3度から4度、減少させるのです。(学者が同じ内容を繰り返す。)我々はこの看板を国中の農家に配布しました…彼らを守るだけでなく、彼らへの応援メッセージを添えて。”懸命に働いてくれてありがとう!”、”あなたたちのおかげで、私たちが飢えずに済んでいます”、”お米を食べる一口一口が、私たちの誇りです”。農家「TRA モンクットは農家たちへの武器を与えてくれました。壊れにくく、私たちの全身を太陽から守ってくれるのです」キャスター「熱波に対抗する、素晴らしい方法だと思います」(メディア費用ゼロで、1000万バーツ以上の効果を発揮。2万枚以上の看板が配布された)我々の看板がきっかけとなり、各地の農家の人々が、オリジナルバージョンの看板を創作しました。そして、このアイデアはこの年の代表的な「命を救うハック」となったのです。農家「この看板は我々を太陽と雨から守ってくれます」そして政府までもが、我々のイノベーションをサポートしました。キャスター「Loei地方の知事が訪問し、農家が彼の背中に看板をつけました」”TRAモンクット肥料会社提供:太陽から身を守る看板 ” ー農家の背中を支えるのは、私たち。

枯れた技術の水平思考

いかがでしたでしょうか?

普段からイノベーティブなアイデアマーケティングキャンペーンを見慣れていると、今回のアイデアはシンプルすぎて懐かしい…ぐらいの感覚に陥りますが、逆にいうと世界は広く、逆に我々の方が頭でっかちになりすぎているのかもしれない、というリスクについても自覚しておく必要があるのかな、と思います。

どんなに技術が進んでも、暑すぎれば人は死に、ご飯を食べなければ人は死にます。今の世界、デジタル世界に振り切ることが必要な場面は増える一方ですが、そんな時にも今回のアイデアのような「超アナログな引き出し」を持っておくと、逆にイノベーションの呼び水になるのかな、と考えます。

以下はそんな思考の流れから思い出した、任天堂横井軍平さんによる「枯れた技術の水平思考」という考え方です。(昔、会社の研修でとある素敵な方から教わりました。ありがとうございます!)この記事のおまけとしてリンクを張り、今回の記事をお開きにしたいと思います。

dic.pixiv.net

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!