世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

社会に組み込まれた女性蔑視に気づき、立ち上がったフィリピン発のソーシャルキャンペーン

f:id:socialcamp:20220417184040j:plain

Photo by Yannes Kiefer on Unsplash

 

4月8日に発表になったアドフェスト受賞作からご紹介

毎週更新を目標に運営しているこのブログですが、先週は第3回目のコロナワクチン接種の副反応により頭が働かず、更新しそびれてしまいました。く、悔しい…。

一度ルーチンが切れ、しかも仕事も忙しいとブログの更新も怠りがちになる(経験者談)ものなのですが、今回は運よく、4月8日に発表になったアジア太平洋地域の広告キャンペーンを対象にしたアワード、アドフェスト(Adfest)の受賞作から興味深いネタをたくさん仕入れることができ、モチベーションを無事に保つことができそうです。

ということで今回はその受賞作の中から、フィリピンの人々が戦後、アメリカ軍が残していったジープと貨物自動車を組み合わせることで生み出した乗合タクシージープニー(Jeepney)」にまつわる伝統的な”女性蔑視”に気づき、正そうとした取り組みをご紹介します。

多様な文化が共存するアジアならではの、各地の伝統や風習に根ざしたソリューションを評価するAdfestのLotus Roots部門を受賞したアイデアです。

「Right the Ride/ 乗り物を正そう」

www.youtube.com

【雑和訳】ナレーション:フィリピンのジープニーは、単なる交通機関というだけでなく、ユニークな文化的象徴で、まごうことなきフィリピンの道路の王様です。しかし、その煌びやかな色彩に、これまで何十年も語られてこなかった問題が潜んでいます。

女性蔑視と性差別。ジープニーの外装は性による差別的描写に溢れています。その内装はさらにひどいものです。女性にとって侮蔑的なサイネージが滑稽かつユーモアなものして飾られているのです。(*画面では、「お姉さん、ただでやらせてくれ」「独り身で酔えば、妊婦で起きる」などの内装のメッセージが例示される)

ジープニーは、侮辱で溢れているのです。女性蔑視は現在社会に存在すべきではありません。特に(ジープニーのように)、文化的に愛されているシンボルにおいては。

今こそ、それを正すべき時です。(*画面では、ジープニーの扇情的な外装のイラストや内装のメッセージが、女性をリスペクトしたものに次々と塗り替えられていく)

このキャンペーンは、社会に待ち望まれていた論争を引き起こしました。ニュースの一面を飾り、フィリピン最大の交通公共機関から交通組合、女性団体に至るさまざまな団体から継続的なサポートを得ました。

(*フィリピンの人権団体コミッショナー「我々はジープニーを変革し、安全な場所のための法案を後押しします」)(*国連系人権団体のアドバイザー「まさにジープニーのような場所で、人権が尊重されることは社会にとって意義のあることです」)(*公共交通協同組合会長「どのジェンダーに属するかに関わらず、人々が安全であることを保証したいと思います」)

この挑戦は始まったばかりですが、ジープニーと人々の心を、正しい方向に導き続けることでしょう。

これっておかしくない?に気づき、立ち上がることの大切さ

いかがでしたでしょうか?この事例を見て「これは海外での話だから、自分たちには関係ないよ」で済ませてしまうのか、自分の社会に同じような問題がないか、思いを巡らせてみるかで結果は大きく異なってくると思います。

どの社会にも、それぞれの文脈で当たり前とされているものがあります。しかし「それぞれが同じような人になるよう教育し、彼らに同じことを効率的にやらせる」ことが効果的で、社会的に善になり得た時代はすでに終わっています。

多様性が社会や企業の推進力となる中で、前の時代に設定された「同質性を強いるもの」がまだまだ、世界中のあらゆる場所で、あらゆる形で残っています。

日々の繰り返しの中で感じた「これっておかしくない?」とか「これ、自分が当事者だったら最悪だと思う」ということにきちんと向き合い、声を上げて正していくことの大切さをこの素晴らしい取り組みは教えてくれます。

(そして私はフィリピンにまだ行ったことがないのですが、3回目のワクチン接種も済んだことですし、チャンスがあれば是非このジープニーに乗ってみたいな、と思いました。)

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!