昨年アメリカで盛り上がりを見せたBlack Lives Matter(BLM)ムーヴメントですが、関連するアメリカの記事を読むと「Systemic Racism(システムによる人種差別)」という単語がたくさん使われていました。馴染みのない単語だったのですが、これはそれぞれの社会の法律や、慣習にすでに”組み込まれた”人種差別のことであり、その中には、特定の人種に特定の役柄を与えてしまう映画やドラマ,コマーシャルなども含まれるそうです。
確かに若い頃観た映画などの影響で、黒人=スラムにいるギャングスター、アジア人=謎の拳法の使い手、白人=若いエグゼクティブ、のようなイメージが自分の中に植え付けられているのは否めません。また話をジェンダーに広げれば、オフィス用の商品CMでOLの制服を着ておじさん上司に囁きかけるタレントなどもこれに当たるかもしれませんし、さらに余談をすれば私が子供の頃(80年代)に感じていた、ハリウッドのホラー映画に出てくる黒人は、最初の方に殺されてしまうことが異常に多いなぁ、という現象も、Systemic Racismの一端だ、といえるかもしれません。
BLMの背景にあるSystemic Racism。コンテンツ制作業界にも確実に存在するその差別形態の解消のために、先日P &GがテレビCMなどのコンテンツをたくさん作る、世界的な広告主の責任として新しいプロジェクト「Widen the Screen(スクリーンを広げよう)」を立ち上げました。以下がその宣言を行ったムービーです。
ナレーションを務めるのは、映画「グリーンブック」でも黒人ピアニスト役を見事に演じたマハーシャラ・アリさん。ぜひご覧ください。
<雑和訳>
(これらの情景を見て)もしあなたが”次に何が起こるんだろう?”と思っているとしたら、なぜそう思うのかを考えてみてください。これらは、今まで黒人に対して行われてきた描写です。そして、それは我々の彼らへの理解を狭めてきました。しかし、(事実には)もっと見るべき側面があります。これが、黒人の暮らしの全体像です。スクリーンを広げよう。我々の視野を広げるために。P&G
2分の間に見る側の心もあちこちに動かされ、(自分自身への反省も込めて)色々考えさせられる、非常によくできたムービーだと思います。そして以下のメイキング・ムービーも、役者さんやスタッフの声を通じて彼らの日常や、コンテンツ業界に存在する差別についての理解が深まる(このキャンペーンの趣旨からいうと”視野が広がる”)内容となっております。
P&Gではこのキャンペーンをきっかけに、今後黒人のクリエイターたちがより公正に(コマーシャル含む)コンテンツ業界で活躍できるよう、そして業界の中の人種を多様化することで、コンテンツからSystemic Racismがなくなっていくよう、様々な取り組みを本格化させていくそうです。(取り組みの詳細は英語になってしまいますが、以下の引用元をご覧いただければと思います。)
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!
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