世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

ヴィヴァルディの「四季」を現在の気候に置きかえてみた

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Photo by Samuel Sianipar on Unsplash

今年の夏「も」日本列島は異常気象に悩まされました。長引く雨は西日本に大きな損害を与え、国外でもドイツやトルコで洪水が起こるなど、温暖化する気候が我々の暮らしを脅かしていることがいよいよ明らかになってきました。

この状況を緩和するため、現在SDGsをはじめとする様々な取り組みが世界的になされてきておりますが、何せ問題が大きく、一人一人の心掛けから政府や企業の思惑が複雑に絡み合っているため、日々の暮らしの中では「できるなら考えずにいたい」と、具体的アクションを訴える声に耳を塞いでしまうことも多いのではないでしょうか?

今回はそんな人間の心理に対し、気候変動のおぞましさを「有名な音楽」で可視化ならぬ”可聴化”することで表現、世界に大きなインパクトを与えた取り組みをご紹介します。

使われた曲はヴァイヴァルディの「四季」。1700年台初頭に作られたこの傑作の構成楽曲である「春」「夏」「秋」「冬」を、それぞれ現在の気候に合わせて編曲したらこうなる…ということで、21世紀版のなんとも気持ちの悪い四季をまとめ上げてしまいました。カンヌライオンズ2020/21のクリエーティブ・データ部門の金賞受賞作品です。それでは解説ビデオをご覧ください。

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【雑和訳】”1723年、ヴィヴァルディは「四季」を作曲した” / ”以来、彼が描いた世界はドラスティックに変化した” / 「過去の10年は最も暖かい10年だったことが認められました」「世界的規模の破滅が見えてきたのです」/ [気候変動は、今他地球上の生命にとって最大の脅威となった][しかし、脅威のあまりの大きさからか、人々はこの問題に対して耳をふさぐ傾向がある][NDR エルフィローモニック・オーケストラがお届けする][ヴィヴァルディの”四季”改め”季節のために” -作曲:気候データ][NDR エルフィローモニック・オーケストラは、この問題に対して音楽の力で人々の耳をこじ開けようと試みた][ソフトウェア開発者と作曲家のチームを編成。(ヴィヴァルディの)”四季”の(楽譜)を現在の気候に合わせて再構成したのだ][特別に開発されたアルゴリズムで過去300年間にわたる気候変動データを使い、ヴィヴァルディの傑作を編曲][現代版の”冬”は51小節短くなり、”夏”の構成要素が”春”の構成を侵食した][鳥のさえずりをイメージしたヴァイオリンの音は、鳥類の減少に合わせて15%抑えられた][”夏”に時折挿入される雷鳴を表現したヴァイオリンのパートは、全ての季節を侵食][結果は眉をひそめるものに][(現代版の四季は)ちょうど今の自然界のように、バランスを欠いたものとなった][数ヶ月にわたる作業の後、この”四季”はハンブルグのエルフィローモニック・オーケストラにより世界に向けてプレミア上演され、その模様はfacebookライブ配信された][この試みはすぐに反響を呼んだ。そして、何百万人の人々に聴かれることとなった](色んな反応や結果が入る)[我々は気候変動を可聴化した。そして人々はついに、それに耳を傾けるようになったのだ][このスコアは、世界中のオーケストラが自由に演奏することを許可しています][この曲は今、国連開発プログラムのパートナーコンテンツとなっています][forseasonsbydata.comで実際に聴いてみてください]

いかがでしたでしょうか?誰もが知る、季節に関する心地よいオーディオコンテンツを、データの力で編曲することで気候の変動を「耳でわかる」不快な体験として提供したアイデアなのですが、聞いた瞬間に「一本取られた!」と膝を打つ、とてもクリアで強いアイデアですよね。

解説ビデオの途中で出てくるグラフィカルな説明のアニメーションも(このアイデアの本質と関係ないのですが汗)綺麗で何度も見たくなりました。

そして最後、演奏後のオーケストラの背景に出てくるキャッチフレーズ”We've heard all about climate change. Now, it's time to listen.”、これ、意訳すると「気候変動がどういうものかを今、皆様は”耳にしました”。(ひどいもんですよね?)さぁ、これからは気候変動の課題にもっと”耳を傾ける”時ですよ!」という意味になると思います。

うまいフレーズだと思いましたし、おまけに”hear”と”listen”のニュアンスの違いも学べる、英語の勉強的にもおいしい一言だと思いました。

せっかくなので、この気持ちの悪〜い、現在版の四季の全曲を収めたムービーを以下に置いておきます。「なんか、気持ち悪い」、そして「なんか怖い」というのが、今の気候変動に対する気持ちとかなりシンクロします。よくできてるなぁ…。

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いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。

それではみなさん、また来週!