世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

2021年はアウトドアがもっと楽しめますように!という願いを込めて

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Photo by Gavin Allanwood on Unsplash

2020年はもう耳にタコができて聴きたくもない事象により、思うように外に出れなかった人がほとんどではなかったかと思います。来年は皆様が外に出て、思い思いの活動ができますように!という願いを込めまして、今年最後の記事はソーシャルグッドな「アウトドア広告(屋外広告)」の事例2つをご紹介します。

最初はこちら。耳にタコができて聴きたくもない事象により、一時休業を余儀なくされたバーを支援するために、アルゼンチンのハイネケンが行った素晴らしいアイデアです。www.youtube.com

ハイネケンは、彼らにとって大事なお客様であるバーの営業をサポートするため、アウトドア広告をビルボードなどに出す代わりに、一時休業中の「バーのシャッター」を広告媒体として活用。その「広告出稿料」を運転資金に困っているバーの経営者に支払うことで、彼らの経営をサポートしたそうです。

ちなみに”シャッター広告”のメッセージを意訳すると「今日はハイネケンの広告を見てください。休業明けは、このバーでハイネケンを楽しんでね!」という感じでしょうか。

いくらビルボードに広告を出しても、ビールが飲まれる場所であるバーが閉まっていては意味がありません。彼らのビジネスを助けると同時に、広告効果も(こうして話題になることで)きちんとキープするという、本当に賢いアイデアだなぁ、と感心しました。もう諸葛孔明レベル。

そしてもうひとつ。だいぶ古いのですが、この前見返して改めてすごいアイデアだなぁ、と思ったのでシェアさせていただきます

今から10年ほど前。アフリカの国ジンバブエではムガベ氏による長期政権下、汚職が蔓延し、大統領がお金で権力を維持しようと紙幣を刷りまくった結果、ハイパーインフレが起きていました。権力のチェック機能であるマスメディアも弾圧を受け、現地の新聞「ジンバブエアン」もその購買価格に対して不当に高い税金を課せられるなど、存続の危機に立たされていました。

そこで、世界にジンバブエの窮状を知らせ、サポートを得るためにこの新聞社が行ったキャンペーンがこちらです。(ビデオが4分半と長いので、お忙しい方は2分50秒ぐらいからご覧いただければと思います。)

www.youtube.com

そうです。なんと彼らは、ハイパーインフレで紙屑同然になったジンバブエの現地紙幣を広告メディアとして活用。ビルボードいっぱいに紙幣を張り、その上に「ムガベのおかげで、お金を壁紙のように使えるようになりました」とキャッチコピーを載せて掲出したり、「紙に印刷するより、紙幣に印刷した方が安上がり」というキャッチコピーとともに、お札を繋いで作ったポスターを近隣国の街中に貼るなど、様々な施策を実施しました。結果、ムガベ政権の崩壊は2017年のクーデターを待たなければならなかったものの、少なくとも新聞の売り上げは回復した*そうです(*2009年時点の情報です)

普通の国では価値があり、奪い合うことさえあるお金をあえて「粗末に扱う」ことで生じるギャップで海外の人々の耳目を惹き、ジンバブエが抱える大問題を認知させる、というのはこれまた天才的なアイデアだと思いました。(紙屑のような価値の紙幣を使うなら、低予算で制作できますしね!)

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、良いお年を!

また来年〜。