世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

アメリカ大統領選挙 80年代の名作CMがダークに復活

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Photo by Jonathan Simcoe on Unsplash

私は1974年生まれですが、特に東西の冷戦終盤だった低学年の頃、外国といえばアメリカとソビエト連邦であり、アメリカが憧れの世界でした。日本では馴染みのない濃青色のカーテンの前で、いつも余裕たっぷりに話すホワイトハウスレーガン大統領に、お金持ちの親戚のおじさんのような親しみを抱いていたものです。

そしてそんなレーガン大統領が再選を果たすべく、1984年の大統領選挙用にオンエアしたのがこの名作CM。

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アメリカの朝(Morning in America)」というタイトルのこのCM。

アメリカに、また朝がやってきました。今日、我が国の歴史上、これまでにない数の男女が職場に通っています。金利は歴史的高さだった1980年からほぼ半減。今日、およそ2,000の家族が新しい家を持つことでしょう。これは、過去4年の中でも最高の数字です。そして今日の午後、6,500組のカップルが結婚をすることでしょう。インフレ率は4年前に比べて半分以下。彼らは、自信を持って未来へと向かうことができるはずです。アメリカに、また朝がやってきました。そして、レーガン大統領のリーダーシップの下、我々の国はより気高く、強く、より良くなります。なぜ、たった4年前にいた場所*に我々は戻りたい、と思わなければならないのでしょうか?」という巧妙、かつ明快に組み立てられたナレーションと共にレーガン大統領が1期目で成し遂げた(と主張する)アメリカ社会の発展を極めて前向きに描き、主張したもので、国を愛する多くのアメリカ人有権者共和党レーガン大統領側に惹きつけた名作CMといわれております。(*ちなみにナレーションの最後に出てくる「4年前にいた場所」とは、民主党のカーター大統領政権下でのアメリカの社会的停滞を指しています)

今見ても(政治的な意向はともかく)心がほんわりとするCMですが、時は移り2020年。トランプ大統領による第1期の施政とそれに合わせた共和党の変容をよしとしない共和党員たちが「リンカーン・プロジェクト」という組織を結成し、この名作CMをパロディした、強烈に皮肉なムービーを公開しています。

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アメリカに、悲しみがやってきました。今日までに、6万人以上*のアメリカ国民がトランプ大統領が無視した致命的なウイルスの犠牲になりました(*このムービーがアップされた2020年5月初旬の数字)。経済は低迷し、2,600万人以上のアメリカ人が失業しています。今は、ここ数十年で最悪の経済状況です。トランプはウォール・ストリートは救済しますが、街のメイン・ストリートは救済しません。今日の午後、何百万人ものアメリカ人が失業者登録をすることでしょう。貯蓄が尽きた多くの人々は、自分の望みを諦めています。そして何百万もの人々が、自分の愛する人たちが新型コロナウイルスで命を落とすことを恐れています。アメリカに、悲しみがやってきました。トランプ大統領のリーダーシップの下、我々の国はより弱く、病んで、貧しくなっています。そして、アメリカ人は自問しています。”もしあともう4年、こんなふうに暮らすことになるとしたら、アメリカという国は存在し続けられるのでしょうか?”」

こちら…重い内容ですよね。。。「Mourning in America」というタイトルで、「Morning(朝)」という言葉と「Mourning(悲しみ)」という言葉の類似性に着目したパロディをベースにした選挙運動ムービーなのですが、11月3日に迫った投票日を前に、リンカーン・プロジェクトはこのムービーのローカル版を続々と投入しているみたいです。以下の3州はトランプとバイデンの支持者の数が拮抗している激戦州。冒頭の地名のナレーションと、使われている映像を除けば内容も同じようなものですし、気分が陰鬱になるのであまり視聴はお勧めしませんが、ご興味ある方はご覧ください。

ペンシルバニア版】

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オハイオ版】

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アイオワ版】

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アメリカの世界的覇権の下、少年時代を過ごした自分が生きている間に、まさかこのような状況になるとは思いもよりませんでしたが、まずは11月3日の選挙後、アメリカがどこに向かおうとしているのかを今は見守ろうと思います。

いやぁ、アイデアって…うーむ。今回はいつもの決まり文句はやめておこうと思います。

それではみなさん、また来週!