世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

「あなたは玉座のために血を流せるか?」米国赤十字が仕掛けた見事な献血促進キャンペーン

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Photo by Angel Luciano on Unsplash

冬が近づいています。鴨鍋など、暖かくて風味豊かなものがことさら美味しく感じられる季節ですが、同時にこの季節は、古今東西問わず”ひと肌脱ぎにくい”のでしょうか。献血ドナーが不足する季節でもあります。

特に2019年の冬、アメリカではインフルエンザの患者数の上昇や、気候の極端な冷え込みなどもあり、深刻なドナー不足に悩まされていました。そこでひと知恵働かせたのが米国赤十字と、その春にラストシーズンのオンエアを控えていたHBOの世界的大人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」。

彼らは、このドラマの中で「鉄の玉座」をめぐり多くの登場人物が血を流していることに着目。「玉座のために、(あなたも)血を流そう-#Bleed for the throne」を合言葉に、献血した人にドラマにちなんだ限定Tシャツを配ったり、当選者にはそのワールドプレミアに招待するなどのインセンティブを用意し、全米横断のコラボレーション・キャラバンを敢行したのです。

詳しくは以下の紹介ビデオをご覧ください。

vimeo.com

あたかもドラマを再現したかのようなセットを用意したイベントなど、アメリカならではのスケールを感じますよね。

結果、この試みにより「献血」は数多くのメディアに取り上げられることとなり、全米の献血数は12%上昇。季節による減少分を補う以上の、立派な成果を上げたそうです。

中でも特筆すべきは、これまで献血をしてこなかった同ドラマのファンを惹きつけた、という点、このイベントで献血した人の実に21%が献血の初体験者だったそうです。

ただでさえ、人の行動を変えることは大変に難しいことです。ましてや、自分の体から血を渡す、という行為はその最たるものでしょう。

しかし

1:呼びかける相手を適切な規模のターゲットに絞り

2:彼らが血を分けてもいいと思うぐらいに熱中しているコンテンツと

3:誰もがなるほどと思えるコンテクスト(文脈)でコラボレーションすること

で、このキャンペーンは人々を見事に動かしました。行動心理学の教科書にでも載りそうな、綺麗な事例だと思います。(余談ですが今の日本だったら「鬼滅の刃」で同じようなことができそうだな、とか思いました。)

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね〜。それでは皆様、また来週!