世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

10代の映像作家がビリー・アイリッシュと組んで作った「いじめ撲滅ムービー」

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Photo by Dee @ Copper and Wild on Unsplash

私欲のためにマウントを取ろうとする人が、チェック機能を欠く組織にいる限り、老若男女問わずいじめは構造的に無くなりません。そして、24時間繋がり続けることができるSNSの登場が、スマホとともに成長してきた若い世代におけるいじめ問題を複雑にしています。

SNSはいじめる側からすれば、周りに知られることなく24時間”いつでも気軽に”相手をいじめ続けることができる道具です。そして、それはどんどん被害者の生活を破壊し、ついには死に追い込んでしまうこともあります。

そんな若い世代のいじめの今をリアルに描写したこのムービーは、15歳の映像作家と、17歳(いずれも当時)の人気シンガー、ビリー・アイリッシュによるコラボということもあり、大きな話題を呼びました。言葉がわからなくても理解できる、見事な内容です。ぜひご覧ください。 

www.youtube.com

 「あなたの言葉、誰かを傷つけていませんか?」で終わるこのムービー、実は実際にこのようないじめを苦に自殺してしまったドリーさんという少女をモチーフにしており、ドリーさんのご両親が立ち上げた「ドリーの夢」という、サイバー空間でのいじめをなくすための団体により作られたムービーだそうです。

「このムービーを見ることでいじめられている人には”声を上げることで、いじめは止められる”ことをわかってほしいし、気づかぬうちに家庭の中にまで入り込み、子供を追い込んでしまうこうしたいじめの存在を、親たちにも気づいてほしい。」とドリーさんの母親、ケイトさんは訴えています。自分たちが気づかずに最愛の娘を亡くしてしまった親御さんの無念が、胸に迫ります。

*「ドリーの夢」の公式サイトはこちらになります。

dollysdream.org.au

このムービーは「SNSによる言葉の暴力」を、小さな石に変えて可視化することで、いじめる側といじめられる側の心理を見る人たちに、リアルにイメージさせることに成功しています。それに加えて、10代の若き才能を活用することでメディアに対するニュースバリューもしっかり上げ、単にいい作品だけに終わらせない「世の中に広めるための努力」もしっかり行なっているところが抜かりないな、と思いました。

いじめにとっての養分は、社会や周りの無関心です。それをなくすための努力、気づいたら見過ごさず指摘するなど、子ども、若者相手に限らずちょっとしたところから私も続けられればと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!