世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

これぞアイデア!低コストなひとひねりでフードロスを減らすキャンペーン【カンヌ2023より】

UnsplashのAlexander Schimmeckが撮影した写真

大スケールのグランプリの前に、まずは小さな良品を紹介

今回は前回に引き続き、世界的クリエイティビティの祭典・カンヌライオンズ2023からスケールの大きなグランプリ受賞作をご紹介しようと思っていたのですが、その前にこのブログの狙いである「常識にひとひねりを加えることで世の中を動かしたアイデア」を地でいく小さな、しかし見事な取り組みを発見したのでご紹介いたします。

南アフリカのスーパーマーケットチェーンmakroによる、フルーツや野菜のフードロスを減らすためのアイデアです。

それでは早速、カンヌライオンズ2023のアウトドア部門で金賞を獲得するなど、高く評価されたこの取り組みの紹介ムービーをご覧ください。

「Life Extending Sticker / 賞味期限を延ばすステッカー」

youtu.be【雑和訳】40%のフルーツや野菜は / 無駄に廃棄されています / それらの賞味期限は / 見栄えだけで短く判断されています / (*画面上で”傷んだ”果物にX印がつく)/ …刷り込まれた「熟しすぎは良くない」という思い込みによって /

スーパーマーケットのmakroは、それを変えることにしました / シンプルでアナログ、そしてローテク / サイズはたったの2.7平方cm / そんな、フルーツのステッカーを活用することで / …賞味期限を伸ばすことにしたのです /

makro提供"Life Extending Sticker(賞味期限を延ばすステッカー)" /

私たちはここ数十年、私たちになじみ深いものをメディアにすることにしました / エッジの曲線値 2.07ミリ / サイズ 2.7センチ / ロゴのサイズ 2.6X0.7ミリ / ”レシピ” -書体:ヘルベチカ ラウンド ボールド・大きさ 5.5 / "揚げ物”→”アイスクリーム”→”天ぷら”→”カップケーキ” /

(このステッカーにより)私たちは、知っているはずなのに忘れがちな事実… / バナナ、パパイヤ、マンゴ、アボガド、トマト / といったフルーツや野菜が、(熟し方により)多様な調理法があるということを思い出したのです / 未熟なものから、熟しすぎたものまで /

2023年に予想される結果 / 平均で6日間、これらの食材の賞味期限が伸びます / 家とストアを合わせて、週あたり70トンの食物廃棄が減少 / このステッカーをつけたフルーツと野菜の消費は増え、/ 人々はそれぞれの熟し方に適した調理法を知ることになります /

makro提供"Life Extending Sticker(賞味期限を延ばすステッカー)"

どこでもできる「アナログの強さ」

いかがでしたでしょうか?

このアイデアの素敵なところは、その着目点もさることながら、シール自体にもホログラムなどといった特別な技術が何も活用されて「いない」ことです。

果物や野菜を売る売り場と、ステッカーの色味のグラデーションをそれぞれの食材に合わせて調整するデザイナー、そして印刷会社がいればどこの国でもできてしまう取り組みです。

最新テクノロジーをふんだんに練り込んだアイデアも素晴らしいですが、実際の世の中を動かすのはこのような地に足のついたアイデアであることも多いのかな、と思います。

2~3年後には近所のスーパーのフルーツにも、こんなステッカーがついていると素敵ですね。

 

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!