皆さまこんにちは。秋も深まり、色々と物事を考えるのにいい季節になってきましたが、今回はそんなしっとりとした気持ちに衝撃を与える、インド発の熱いソーシャルキャンペーンをお伝えします。インド最大の都市ムンバイで発行されている「ムンバイ・ミラー」という新聞紙が作ったCMなのですが、世界中で進む新聞離れに対して、読み手の人々にこびへつらうのではなく、読まないことで助長されている世の中の不公正を大声で訴えることで、人々に「新聞を読まないことの罪」を突きつけることに成功しています。それではさっそく、ご覧ください。
<私はムンバイ>
<ビデオ和訳>
2010年10月2日 11面:
男性「本を焼きやがった!あいつら、本を焼いて、俺の言葉を燃やしやがった!でもあいつらは、私の声を消し去ることはできない!絶対に。…私はムンバイだ!…私はムンバイだ」
2011年9月29日 12面:
母親「うちに配達された牛乳には、どぶの水が混ぜられていたの!その牛乳を、うちの子たちは飲まされていたの!なんでよ!なんでうちの子がそんなものを飲まなければならないの!?…私はムンバイ」
2010年8月23日 7面:
子供「僕のベッドはこのテーブルより小さいんだ!1週間に2回しか食事は出ない!しかも便所と同じ場所で食べなきゃならないんだ!…僕はムンバイ!」
2011年2月12日 2面:
男性「ここは私の家!私はその一員だ!わかったか!私は自分の家の壁を、政治のポスターなんかに汚されたくないんだ!わかったか!?放せよ。政治のポスターは貼るな!聞こえたか!?…私はムンバイ!…私はムンバイだ!!」
<キャッチコピー:ムンバイは、毎朝私たちに語りかける。…その声を、聴いていますか?>
市民A「私はムンバイ」
市民B「私はムンバイ」
市民C「私はムンバイ」
市民D「私はムンバイ」
市民E「私は、ムンバイ」
<ムンバイ・ミラー紙>
皆さま、いかがでしたでしょうか?このCM、劇中のネタとして1面に載るようなトップニュースではなく、あえて身近なニュースを取り上げることで、ムンバイ・ミラー紙がいかに地域に密着しているかを表現しているところもうまいなぁ、と思います。
実際、新聞が無くなってしまったアメリカのとある街では権力に対するチェックが効かなくなってしまい不正が増加した、という話も聞いたことがありますし、出元のわからないネットのニュースに比べれば正確さも段違い、という点では新聞、とくに地元に密着した地方紙は、なくてはならないものだと思います。
苛烈な暮らしの中で、新聞が民の声を堂々と突きつける公器であることを堂々と宣言したこのフィルム。日本のメディアもきっと志があって運営されているものだと思いますから、時には受け手に向けてこれぐらいの熱さ、激しさで語りかけることがあってもいいのかな、と思わせてくれるアイデアでした。
This is a TV advertisement from Indian newspaper, “Mumbai Mirror ”. This film always moves my heart and makes me realize how important it is to keep journalism effective in one’s society. The idea and its message is quite simple, but the execution is brilliant. And I hope Japanese journalism will also take this kind of aggressiveness, sometimes.