アメリカで毎年2月上旬に行われるスーパーボウルが今週末(2月7日)に迫ってきました。これはアメリカンフットボールの全米No.1チームを決める同国屈指のスポーツイベントであると同時に、音楽ファンにとってはド派手なハーフタイムショーが見所です。(余談ですがプリンスが大雨の中、パープルレインを歌った伝説のハーフタイムショーの様子をつけておきます。殿下ファンの務めとして・・w)
閑話休題。フットボールと音楽に加え、スーパーボウルのもう一つの楽しみとして見逃せないのがライブ中継の合間に流れるテレビ CM。アメリカ中の国民が家族そろって見る、数少ないビッグ・コンテンツとして30秒のCMを1本流すのに6億円がかかる、ともいわれているスーパーボウルですが(2020年時点。参照元のDIGIDAYの記事はこちら)、その分作り手側や広告主の気合いも相当なもので、アップルコンピュータの「1984」など、これまで数々の名作CMがスーパーボウルのテレビ中継から生み出されました。
そして、今回紹介するアメリカのビールブランド「バドワイザー」は1983年以来、スーパーボウルに毎年印象的なCMを流すスポンサーとして国中の人々に認知されてきました。ところが彼らは今年、実に37年ぶりにスーパーボウルでCMを”流さない”ことを発表したのです。でも、なぜ…!?
その答えは、代わりに彼らがおもむろにオンライン上で流しはじめた、このムービーにありました 。
ナレーション翻訳:”アメリカ的に生きる”とは?それは、なんでもできるということ。私たちは屋上を、山の頂上に変えることができる。境界線を、交流の場にすることもできる。孤独を親密さに変えることも、会議を楽しい時間に変えることもできる。観客がいないスタジアムは?スタジアム中に、歴史が書き加えられる瞬間を鳴り響かせよう。私たちは長ーい待ち時間だって、こんな踊りや、こんな踊り、そして…よくわからないけど、こんなものに変えることができる。さぁ、一緒に我々の強さを、希望へと変えていきましょう。
その後の字幕翻訳:我々はこの37年で初めて、スーパーボウルでCMを流しません。代わりに我々はその広告費を、新型コロナウイルス用ワクチンへの理解を広めるために活用しています。広告協会と、新型コロナウイルスに立ち向かう団体たちと力を合わせることで。来年のスーパーボウルでお会いしましょう。
…いかがでしたでしょうか?SNSにあらゆる情報が溢れかえる2020年代。人々の視線はもはやCMの飾り立てられた世界を越えて、その背景にある企業の真摯さを見つめています。そして人々は、企業にうわべだけのメッセージを伝えるのではなく、社会のために実際にアクションを起こしてほしいと望んでいます。今回のバドワイザーのアクションは、そんな人々のニーズにピッタリとマッチした、素晴らしい心配りだと思いました。最後の「来年またスーパーボウルで会いましょう」というコメントも、人々が持つ”良い部分”への信頼に根ざした、素敵な一言でいいですよね。
でも本当に、来年こそは何の悩みもなしにスーパーボウルのCMを楽しめるような世界が戻ってきているといいな、と思います。いや、みんなで力を合わせて、そうしてまいりましょう!
いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!
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