今回は数多ある禁煙キャンペーンの中でも出色の、タイ発ソーシャルキャンペーンをご紹介。喫煙者の「わかっちゃいるけどやめられない」矛盾をついた見事なキャンペーンです。大抵の社会的課題はなんらかの不公正があることが分かりつつ放置されていることが多いので、このように「矛盾をつく」視点は皆さまがソーシャルキャンペーンのアイデアを考える際にも参考になると思います。
しかしこのビデオ、引っ掛けられた後の大人たちのリアクションがたまりません。気まずさを示すリアクションって万国共通なんですね。
ThaiHealth - "Smoking Kid" - Ogilvy & Mather ...
<ビデオ和訳>
”喫煙する子どもたち”
大人はタバコが健康に害を及ぼすことを知っているが、その事実を都合よく忘れてしまう。
ではもし子供が吸おうとしたら、彼らはどう受け止めるだろうか?
男の子「火貸して」 男の子「貸して、貸してよ」
女の子「貸してくれない?」
大人A「本気で?」 大人B「貸さないよ」 大人C「タバコはダメよ、やめなさい」
大人D「タバコには殺虫剤が入っているのよ」 大人E「吸うと老けちゃうわよ」
すべての大人は子どもにタバコの悪影響を説いた。
大人F「吸うと早死にするぞ。長生きして遊びたいだろ?」
大人G「吸っちゃダメって分かるだろ?がんとか肺気腫とか、脳卒中とかになるぞ」
でも大人たちは、自分たちのことを忘れてはいないだろうか?
女の子「じゃあなんで吸ってるの?」
手紙:僕たちのことを心配するより、自分のことを心配したら?
この手紙を受け取った大人たちはすべて、自分の行いを顧みてタバコを捨てた。手紙を捨てる大人はいなかった。禁煙したい人の、スマホからの問い合わせは40%増加した。
“タイヘルス(タイ健康促進財団)”
この禁煙キャンペーン、メッセージを押し付けるだけでなく、喫煙者自らに禁煙のメッセージを言わせておいてからとどめを刺す、という構造もかなりよくできてるな、と思います。 まさに技あり一本のアイデアだと思いました。