地球温暖化は、地面より上だけの問題ではありません。1970年以降に排出された温室効果ガスによる熱の実に90%が海中へと吸収され、海水温は上昇。海中へと降り注ぐ二酸化炭素はサンゴや貝の生成に不可欠な炭酸カルシウムの組成を阻害して海の酸化を加速させるなど、その生態系に深刻なダメージを与え続けています。
海の健康を守るために、世界中の海岸線の海水温をチェックすることはとても大切。しかし、既存のセンサーではうねりがダイナミックな波打ち際の海水の状況をセンシングするのが困難で、また、ブイなどにセンサーを取り付けるこれまでの観測方法だと数も限られて融通が効かない、といったデメリットがありました。
そこでそれらを解決し、海の「今」をもっと知るために海洋学者たちが立ち上げたのが「スマートフィン・プロジェクト」。彼らは一体、どんな取り組みを始めたのでしょうか?まずは以下の紹介ビデオをご覧ください。
そう、彼らは世界中の波打ち際にいるサーファーたちに着目。彼らのサーフボードのフィンに海水温センサーを内蔵することで、世界中の海岸線の海水の状況を確認できるようにしよう、という取り組みを始めたのです。
彼らによると、サーフボード下の水流を整えるために取り付けられたフィンは海岸線の海水をセンシングするには適しているそう。現在の「スマートフィン」は海水温と場所、そしてサーフボードの移動が検知可能で、将来的には酸度(pH値)を図るセンサーや、光学センサーも搭載する計画だそうです。
日頃海と接していない多くの人には一見関係のない話に見えますが、「テクノロジーにより可能になったこと(小型の海水温センサー)を、人々がすでに行っている行動(サーフィン)につなぎ合わせることで、これまでの困難(海岸線における海水温センシング)を克服する」という発想法は、多くの人々の身の周りの課題解決にも役立ちそうです。
いやぁ、アイデアって本当にいいものですね。それでは皆さん、また来週!
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