「署名活動」というと、たとえそれが社会的意義のあるものであっても(中には怪しげなものもあったりして)、個人情報をさらす事への抵抗感からなかなか参加しにくいものです。そこで今回は、表現上のアイデアでそのハードルを一気に飛び越えてしまったアメリカ発のソーシャルキャンペーンをご紹介します。ペンをとり、署名するという一連の何気ない動作にプラスαの意味を加えることで、署名に際しての猜疑心を、知的興奮と達成感に昇華してしまいました。実施が2010年ごろと少し前の取り組みですが、僕がソーシャルキャンペーンに興味を持つきっかけとなった印象深い事例です。
<ビデオ和訳>
「ビルマ(ミヤンマーの事)で2010年、20年ぶりに選挙が行われた」
「しかしたとえ選挙が行われても、2100名をこえる僧侶、芸術家、ジャーナリスト、活動家などの政治犯が刑務所に閉じ込められた状態では意味がない」
「ヒューマン・ライツ・ウォッチは『2010年の2100人』キャンペーンの一環として、これら無実の政治犯たちの釈放を求めるイベントを実施した」
「ニューヨーク、グランドセントラル駅」
看板の表示:“展示物に触れてください”
「ペンを手に取る事で、鉄格子を外すことになる」
「人々はそのペンを手に、署名活動に参加した」
「結果、86カ国の人々から、何千もの署名が集まった」
「この取り組みは世界中のメディアの注目を集めた」
「嘆願書は国連の事務総長や、ビルマとの友好関係を維持する各国首脳に送られた」
「以来これまでに民主化のリーダー、アウンサンスーチー女史を含む150名以上の政治犯が釈放されている」
ペンを鉄格子に見立てることで、署名というちょっと負担のかかる行為を「手に取る事で、中の人を解放する」というストーリーに仕立ててしまったのは見事というほかありません。
また同じく「ペンの力」をテーマに比較的最近作られた、アムネスティ・インターナショナルの映像作品も付けておきましょう。途中でチャップリンの「独裁者」の一説がサンプリングで使われていたりと、オシャレな作りになっています。
Amnesty International - Pens on Vimeo
<ビデオ和訳>
「50年以上に渡り、いくつもの署名により、いくつもの釈放を叶えてきた」
「あなたの署名は、あなたが思うよりパワーがある」
以上、今回は皆さまが今後行う署名集めの参考になればと思い、ご紹介させていただきました。この記事が皆さまの活動のお役に立てば幸いです。