さて、今回は先月のクリスマス前後にアップしようと思いつつ、内容があまりに切なくて取りやめていたオーストラリア発のソーシャルキャンペーンをお届けいたします。多くの人々が家族との幸せなひと時を迎えるクリスマスシーズンに合わせて、グッとくるインスタレーション(空間展示)で事故が多いヴィクトリア通りを利用する人たちに交通安全を訴えかけました。一番対策が必要な時期に合わせて、一番人々にしみる方法でメッセージを伝えた点で、時間と感情の設定が見事なキャンペーンといえるでしょう。
もちろん日本にも、時節に応じてさまざまなイベントや、それにまつわる共通認識があります。それらをうまく活用してキャンペーンを行うのも、メッセージを効果的に伝えるためには効果的かもしれませんね。
<渡せなかったプレゼント>
Ungiven Gifts - Case Study - YouTube
<ビデオ和訳>
母親「事故はクリスマスの直前に起きました。プレゼントはもう買っていたのですが、彼女が空けることはありませんでした。なのでこれはサラには渡さず、母親の私がいつもここに…あの娘の形見として…」
NA:クリスマスシーズンのヴィクトリア通りは交通事故が起こりやすく、特に危険だ。2013年も11月末までに、すでに212人が命を落としていた。
タイトル:<渡せなかったプレゼント>
NA:ホリデーシーズンまっただ中の慌ただしい時期に、我々はクリスマスの歓びが色あせてしまうほど、忘れられないインスタレーションを行った。
キャスターA“これらはヴィクトリア通りの課題を浮き彫りにしています”
キャスターB ”これらの209個のプレゼントからなるインスタレーションは、この通りで今年、交通事故の犠牲となった方々を象徴的に示しています”
キャスターC“この通りでの痛ましい事故を題材にした展示が州立図書館前に展示されています。クリスマスプレゼントの展示なのですが、今年この通りで交通事故により亡くなった方たちへのものなのです“
キャスターD“これらはこれから、最も事故の危険が高い時期のひとつを迎えるヴィクトリア通りにむけて強くメッセージを届けています”
私たちは事故の犠牲者たちに渡されることのなかったクリスマスプレゼントを展示。それぞれのプレゼントの背景には、胸を打つストーリーがあった。決して渡されることのないプレゼントと、決して叶うことのない、クリスマスのストーリーだ。
人々はインスタレーションにそれぞれの犠牲者への思いを綴り、シェアした。「渡せなかったプレゼント」というハッシュタグのもと、互いに安全運転を呼びかけ合った。
このメッセージはインスタレーションを超え、クリスマスシーズンの人々に安全運転を思い起こさせた。
母親「一瞬の油断が他人の人生を破壊してしまうのです。犠牲者だけでなく、残された人たちの人生でさえも」
タイトル:<2013年の年末までに、ヴィクトリア通りでの交通事故による犠牲者数は過去90年間で最小の数字を記録した>
以上、皆様いかがでしたでしょうか?こうして2分のビデオにまとめられるとついついさらっと見てしまいますが、212人中、209人もの亡くなった方の家族にひとりひとり聞き込みをして、時には微妙なやりとり等もあったかもしれませんが、このアイデアを実現させた人たちの苦労はかなりのものだったのではないかと思われます。すごいなぁ。。
それでは皆さま、クリスマスシーズンだけでなく、今週も安全運転でいきましょうね。