世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

ある兵士の叫び ー 100年前のFacebook

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あれから69回目の夏。今回は明日に迫った終戦記念日にちなみ、戦争の「記憶の風化」を防ぐべく行われたソーシャルキャンペーンをご紹介します。題材は今から100年前の第一次世界大戦。「もしも当時の人々がFacebookを使っていたら」というアイデアで、戦争の悲惨さを現代の私たちに実感させることに成功した、フランス大戦争博物館による素晴らしい取り組みです。記憶の風化を防ぐためには、事実を知識として覚えてもらうだけでなく、このアイデアのようにその時代の当事者がどう想い、どう生きたのかをできるだけリアルに「感じて」もらうことがカギなのかもしれません。


Facebook 1914 ~ Musée de la Grande Guerre - YouTube

<ビデオ和訳>

フランスのFacebook会員は2,400万人。それぞれが、日々の平和な暮らしをポストしている。では、今から1世紀前にFacebookが存在したら・・・。

フランス大戦争博物館プレゼンツ「フェイスブック1914」

我々は博物館の情報の代わりに、個人のプロファイルを載せた。

レオン・ヴィヴィアン、29歳・男性。教師。1914年8月に兵役を免除。彼の親友は突如招集され、10月に戦死。レオンもついに徴兵され、妊娠中の妻、マドラと引き裂かれてしまう。5ヵ月にわたる訓練では、兵舎での暮らしや屋外演習の日々を描写。1915年の4月に前線に送り込まれる。

  “明日、前線に送られることが決まったよ。”

そして人々は、レオンの気持ちを共有することになる。

  “僕はここに住んでいた人のことを思わずにいられない。子どもたちがここで生まれ、

  泣き声や笑い声が家屋に満ちていたはずだ。この家の人が一日の終わりにこの階段に上ることも、

  もうないのだ。”

つかの間の歓びも、恐怖のどん底を這いずり回るような、悪夢の日々も。人々はレオンと日々をシェアし続けた。

  “地平線。泥の中に死体。固い泥。寒くて震えが止まらず、いつ死んでもおかしくない。”

102回のポスト。10人の友達。ひとつの運命。人々は夢中になった。レオンははたして、家族の元に戻れるのだろうか・・・。ある男の1年の記録が、博物館の豊富なコレクションを使い、まるで大河ドラマのように描かれた。10ヵ月にわたるポストが準備され、次いで2ヵ月にわたるライブポストが実施された。

この取り組みは、記者会見へのたった400通の招待状だけ、つまり250ユーロの支出のみで、300万ユーロのメディア露出効果を記録。開始からわずか2週間で、5万人のフォロワーを獲得した。何千ものコメント、何百もの質問に博物館が対応。最終的に人々は、第一次世界大戦に従事し、泥の中でレオンと同じ運命を辿った何百万人もの人たちについてもっと知るために、博物館へと足を運んだ。

博物館への来場者は45%増加。ページの運営は国立教育委員会に引き継がれた。この取り組みは単なる広告キャンペーンの域を超えて、若い世代たちの興味関心を引きつけることに成功したのである。

フランス大戦争博物館

“他の1,000万人の兵士と同じく、レオンが家に戻ることは二度となかった”

<付録>

ちなみに日本では首都大学東京渡邉英徳研究室が中心となり、Google earthを活用した戦災や自然災害の記憶のアーカイブ化が進められています。大戦中の長崎や広島、沖縄から、アチェの大津波東日本大震災などを網羅したプラットフォームとなっています。こちらもぜひ、ご参考ください。

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ナガサキ・アーカイブス」

http://nagasaki.mapping.jp