世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

全米注目!スーパーボウル2022でのソーシャルキャンペーン その③ EV編

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Photo by Al Soot on Unsplash

今週も、スーパーボウルで流れた電気自動車(EV)CM特集

ロシアのウクライナ侵攻により世界がまるで変わってしまった感のあるここ2週間ですが、今回も先週に引き続き、2月14日に行われたNFLスーパーボウル中継で全米にオンエアされたCMの中から興味深かったものをご紹介します。

しかし街が破壊されていく様子を連日各種メディアで目の当たりにしながら、ユーモアのある広告表現について記事を書く、という気分にもなかなかなれないのですが、こういう悲しい時にこそ、テレビを見ながら家族や友達と笑い合えるような、他愛もないけどかけがえのない暮らしを守ることの大切さを思い知らされます。

さて、前回はPolestarGMという、新旧2社のEV自動車についてのCMをご紹介しましたが、今回はこれらに対抗してスーパーボウルにて自社のEVをアピールした、BMWとKiaのCMをご紹介します。まずはBMWから。シュワちゃーん!!

BMW「Zeus & Hera (ゼウスとヘラ)」

[雑和訳] *画面上に文字が入る"オリンポス山" ゼウス「我が神々よ。暗黒の空は告げた」ヘラ「ゼウスと私が隠居すべきと」ポセイドン「しかし、何処へご隠居を?」*ゼウスが雷を立てて場面転換、画面上に文字が入る”パームスプリングス、カリフォルニア" 近所の人「ゼウス、おい、ゼウス!これをチャージして…」SE:ジジジジ!(ゼウスの手から雷) 近所の人「わー!…ありがと」ヘラ「(電子レンジに手こずるゼウスを手伝いながら)あなた、そんな難しいことじゃないわ。出かけてくるから、Peggieを散歩に連れて行くの忘れないでね!」ゴルフ場の人「おーい、ゼウス。(電力を)ちょっと足して」SE:ジジジジ!(ゼウスの手から雷) ゼウス「もううんざりだ、こんな場所!」ヘラ「ちょっと考えなきゃね。」ヘラ「(照明などの調子が悪いのを受けて)あなた、直せそう?」ゼウス「フンッ!」SE:ジジジジ!(手からの雷で街をショートさせてしまう)ゼウス「Peggie、散歩に行こうか?」ヘラ「(BMWの大きな車と共に現れて)あなたなら、これで私を連れてってくれると思って」ゼウス「完全に電力の?」ヘラ「その通り!」ナレーション:BMWのiX、電力の究極の形がここに。*ゼウス、ヘラと歌いながら信号を雷で青に変える ナレーション:BMW、究極の電力ドライブマシーン。

KIA 「Robo Dog (犬のロボット)」

youtu.be

[雑和訳] *キャッチコピー”フル充電でイキイキと” ”完全電力のKia EV6” ナレーション: KIA、インスパイアする動き

主人公の役割のコントラストが面白い

いかがでしたでしょうか?BMWは電力の象徴として主人公にゼウスを持ってきて、それをシュワちゃんに演じてもらうことで小難しくなりがちなEVというテーマを楽しく描き切りました。一方Kiaは、可愛いペット型電動ロボットを主人公に、彼がKiaのEVによる充電で助けられる、というストーリーをハートウォーミングに描いています。

真面目にEVメーカーとしてのスタンスを表明したPolestarと、懐かしめのスターを活用してエンタメの中でEVを訴求したGMBMW、そして、昔からCMでは鉄板といわれている「動物モノ」を21世紀風にアレンジしてEVをハートウォーミング描いたKia。あなたは、どのアプローチが一番好きでしょうか?

くれぐれも見せかけだけのグリーンウォッシュには騙されないよう注意しなければいけませんが、どちらにせよこういう形でこの分野の競争が(マーケティングも含んで)進み、我々がより環境負荷の少ない暮らしに近づけるのであれば素晴らしいと思います。

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それではみなさん、また来週!