世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

フィンランド発・夏の世界的スポーツイベントを見事に活用した温暖化警告キャンペーン

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Photo by Mika Korhonen on Unsplash

今回も6月のカンヌ国際クリエーティブ祭で高い評価を受けたアイデアをご紹介します(スポーツ部門 グランプリ受賞!)。フィンランドの北部ラップランド地方にある小さな都市Sallaはかつて、最低気温マイナス45.3度を記録したこともある、地球上でも有数の極寒の地でした。しかし今は地球温暖化の影響を受け、2032年には平均気温が15度に上昇すると予測されています。そうなると雪だけでなく、現地の伝統文化や観光の収入源も溶けてしまう…。そう危惧したSallaは、地球温暖化を食い止めるべく町ぐるみで、現地の観光局House of Laplandとコラボレーション。とんでもないアイデアを実行してしまうのです。

なんとそれは・・・

2032年夏季オリンピックの開催地候補として名乗りを上げることでした。詳しくは以下の事例紹介ムービーをご覧ください。

www.youtube.com

【雑和訳】人間の活動は2021年の1月時点ですでに、1,495億トンの氷河を溶かしてきた。Salla-北極圏の街。最低気温-マイナス45.3度。しかし気温は上昇を続け、2032年には平均気温が15度に達すると見込まれている。オリンピックには最適の気温だ…夏季のほうのオリンピックに。「Salla 2032 -夏季五輪開催候補地」我々は世界でも有数のこの極寒都市を、2032年夏季オリンピック開催地として立候補した。実際の出馬に必要な資料も全て用意。サラ市市長による公式メッセージビデオ「フィンランドで最も寒い都市Sallaへようこそ。我々はここでみなさまをお迎えしたいと思っています。」公式ポスター/グッズ/ウェブサイト/マスコット。フィンランドのSallaから、スイスのローザンヌへ。公式プレゼン資料。公式記者会見。サラ市長「これは単なる試みではなく、我々のメッセージだ。もしSallaを救うことができたら、それは地球を救うことになる。みなさまにも是非、この動きに賛同していただきたい。」<*世界中のニュースやSNSのポストで取り上げられている様子>Sallaの人々「Sallaを救い、世界を救おう!」-世界118カ国、1,237の番組で取り上げられる。-ソーシャルメディアでの温暖化に関する会話量は879%向上 -3週間で最もツイートされた街に「Sallaを救い、世界を救おう!」House of Lapland Salla

いかがでしたでしょうか?世界中の人々に夏の祭典として刷り込まれているオリンピックはいわば世界的「夏の季語」です。そこに真逆のイメージを持つ極寒の地をぶつけることでニュースバリューを極大化させ、自分たちのメッセージを世界中に伝えた手法は見事だと思います。また、将来的には観光客の誘引にもつながる”街の知名度向上”につながっているところも見逃せないと思います。

イデアの構造的には海洋のプラスチックゴミ問題を話題化するために、海洋に漂うプラごみを「国にしよう!」と国連に訴えかけたTrash Isles(カンヌライオンズ2018 PR部門グランプリ)と同じジャンルに区分けできると思いますが、どちらにせよ両方ともカンヌでグランプリに輝くだけの取り組みだな、と思いました。

*Trash Isleについては、以下の過去記事で紹介しておりますのでご参考にどうぞ。

wsc.hatenablog.com

また、Salla2032の公式サイトへのリンクも張っておきます。個人的にはマスコットがベタでかなりツボってますw。

www.savesalla.com

いやぁ、アイデアって本当にいいもんですね。それでは皆さん、また来週!