世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

「難民たちが奪われているもの」を可視化する

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Photo by Alexander Dummer on Unsplash

新型コロナウイルスの圧倒的な報道量に隠れて日本でもニュースになることが少なくなった難民問題ですが、今回は2018年にイギリスのアムネスティ・インターナショナルが行ったキャンペーンをご紹介します。

かつてイギリスでは「難民として受け入れられる家族は本人の妻と、18歳未満の子供に限る」という規則があり、一緒に難民としてイギリスに入国しようとしても、年齢により子供だけが入国を拒否され、家族バラバラでの暮らしを余儀なくされる、というケースが問題視されていました。

アムネスティ・インターナショナルは、この規則により難民たちの暮らしから「奪われているもの」を可視化することで行政を動かすことに成功しました。それでは、以下の事例紹介ビデオをご覧ください。

vimeo.com

そうです。彼らが可視化したのは「普通の家族の、普通の団欒」。家族への想いが高まる母の日の直前、セントラルロンドンの中心部におかれたガラス張りのショーケースの中で、18のイギリス人家族が普通に団欒する様子がデモンストレーションされ、通り過ぎる人々の足を止めました。そのショーケースに貼り付けられたタイトルは「The Undeniable Wonder of Family Life(意訳:否定されるべきではない、家族との暮らしの歓び)」。この印象的なタイトルの下に書かれた説明の文章で、ロンドンの人々は難民とその家族が晒されている状況を理解し、その改善のためのアクションへと促されました。

読書したり、ゲームしたり、ピザを食べたり…といった他愛もない、だけど愛おしいこの「家族の団欒」はSNSでもライブ中継され、およそ10万人がその様子を目撃。特設サイトを通じておよそ1万4千人が議会の議員たちへメールした結果、「Refugee Family Reunion Bill (難民家族再会法)」が圧倒的多数で可決され、イギリスにおける難民たちの状況は改善されたのです。

ちなみにこの記事の出典元として使わせていただいた、このアイデアを考え、実施した広告代理店VCCP LONDONの事例紹介サイトを以下にリンクさせていただきます。

www.vccp.com

いやぁ、アイデアって本当にいいものですね。それでは皆さん、また来週!