みなさんこんにちは。カンヌから無事、Wifi環境の整った日本に戻ってまいりましたので大船に乗った気持ちでこのブログを再開したいと思います。ライオンズヘルス特集の第2回目となる今回は、前回お伝えした生理用品always(日本でいうウィスパー)の「デリケートな呼び名」とグランプリを最後まで争ったSAMSUNGのスマホ用アプリについてご紹介いたします。
<バックアップメモリー>
<ビデオ和訳>
父「どうしていいのか、本当に途方に暮れています。正直、準備ができている人なんてどこにもいないでしょう。いったい誰に助けを求めればよいのか・・・」
<記憶している限り、何も失ったことにはならない – L.M.Montgomery>
娘「父がアルツハイマー型認知症だと診断されたのは、1年ほど前のことでした。まだ初期の段階なんですが・・父が私のことを認識できなくなる日が来るなんて想像もできません。」
研究者「リサーチによると、定期的な記憶への刺激が、認知症の進行を遅めることが証明されています。」
SAMSUNGプレゼンツ <バックアップ・メモリー>
娘「まず、自分のプロフィールを作って、それを父のものにリンクします。そして、父と写った私の写真をアップロードしていくのです。昔、私と遊んでくれた頃の写真や、母親と撮った写真。…彼が最初に買った車や、最高に楽しかった思い出など…」
<そして、親しい人が患者に近づくと…>
スマホ画面:“あなたの娘が来ました”
<アプリが情報を、リアルタイムで患者のスマホへプッシュ配信>
スマホ画面:“私が3歳の誕生日の時の写真”
スマホ画面:“遊ぶふたり”
スマホ画面:“私とお母さん”
スマホ画面:“パパの最初の車”
研究者「これは患者を継続的に過去の記憶にさらすことで記憶力の維持・向上を実現させる、非医療的なセラピーです。」
<SAMSUNG ー よりよい暮らしを目指して、人を助う>
皆さま、いかがでしたでしょうか?これは審査用ビデオを見た後の食事会でも「すごいアイデアだ」「うちの祖父も初期のアルツハイマーなので、ぜひ持たせてあげたいと思った」と、審査員の間で絶賛の声が上がったアイデアです。確かに持っているだけでいい、というデバイスはスマホの扱いに慣れない高齢者にとって便利だし、ずっと一緒にいてあげられない家族にとっても救いになるし、そしてSAMSUNGにとっても、高齢者にスマホを売るという新たな市場の創造につながります。まさに一石三鳥の、グランプリを争うのにふさわしいアイデアだと思いました。
…と言いつつ私は当初、このアイデアにピンときていなかったのですが、他の審査員たちとガンガン意見をぶつけ合う中で徐々にその凄さを発見していくことができました。単に勝ち負けを競うだけでなく、目的意識(=世界に見せて恥のない、素晴らしいセレクションをする)を共有した上での欧米式ディベートの素晴らしさを学んだひとときでもありました。
おっと、話が少し横道にそれてしまいましたがこのシリーズ、来年以降は日本からももっともっと、ライオンズヘルスで評価されるようなアイデアが出てくることを願い、どんどん続けてまいります。次回以降もぜひ、ご期待くださいませ。