皆さんは、アルゼンチンで1994年に起きたテロ事件の事をご存知でしょうか?ユダヤ人のコミュニティセンターであるAMIAをイラン系(とみられる)テロリストたちが爆破。7階建ての同建物は完全に倒壊し、85名の死者を出したという大惨事です。人災でこのような命が失われる事は悲しくて仕方ないですが、ネットでざっと調べた限りでは、(国家間のいざこざなどもからみ)まだ犯人は捕まっていないようです。解決されないままに薄れゆく事件の記憶の風化に対して、被害の当事者たちはどのような手段で社会に訴えたのでしょうか?災害の多い日本でも、記憶の風化を食い止め、伝承していく事は、次の災害での被害を減らすためにも必要不可欠な課題です。
日本人のメンタリティ的に、そのまま取り入れるには過激すぎるアイデアかもしれませんが、演出の工夫次第で、何らかの参考になるかもしれません。ぜひご覧ください。
<AMIAブース>
<ビデオ和訳>
"1994年7月18日。テロリストたちがアルゼンチンのユダヤ人コミュニティセンター、AMIAを破壊した"
"どうしたら19年後の今の人々に、正義を訴える事ができるのだろう?"
"我々は生存者の証言を集め、この事件を調査したエキスパートと話し合った"
ジョルジ・ベレンブラム(生存者)
「最初、何が起きたのか分からなかった」
マルティン・カノ(生存者)
「一生忘れられないんだ。絶対に無理だよ」
アベラルド・カプデヴィラ(緊急治療室長)
「犠牲者ははねとばされ、猛烈な熱波にさらされた」
"我々は、爆破の至近距離にいた人が体験した、テロの瞬間を再現するブースをデザインした。…人々が、犠牲者の気持を追体験できるように"
<誇りと匂い噴出器>
<熱波&音響ジェネレーター>
<振動する床>
<原寸大プロジェクション>
<10サラウンド・サウンド(7.1)>
"1994年のAMIAにあったオフィスを忠実に再現ブースの中のスクリーンに投影された"
「あの日、同僚の代わりでキッチンにいたんだ。9時半に下に降りて10分後・・」
SE:爆発音
「最初に思い浮かべたのは家族の事です」
「助けてくれ〜!」
"我々は、生存者が体験した事を人々に感じてもらった。…事件を風化させないために"
"5000人以上の人が新しい生存者としてブースを体験"
体験者A「きついね」
体験者B「他人事だと思っていたけど、今は被害者の気持ちが分かるよ。ブースに入らなければ自分がどう感じるかなんて、分からなかったろうね」
体験者C「体験しないと、分からないと思うわ。理屈で分かるようなことじゃないの。一度感じたら、一生忘れられなくなると思う」
"メディアもまるでテロ直後の時のように、これを大きく報道。国全体が、もう一度テロに襲撃されたようなムードになった"
"2013年7月18日。テロリストによるAMIAへの襲撃、再現。すべては忘却にあらがうために"
<AMIA – ユダヤ人コミュニティセンター>
大昔に取り上げたAnt Rally(下記リンク参照の事)でもそうですが、アイデアさえよければ、たったひとつのブースを置くだけでも国内はもちろん、世界的な話題にもなりうるという好例です。
こんなのアリ?熱帯雨林を守るためにアリたちが立ち上がる! - 世界のソーシャルキャンペーン
実は前回、時間が調整できずに1回アップを飛ばしてしまいましたが(スミマセン)、アイデアの力を信じて今週一週間も張り切ってまいりましょう。