世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

Cannes Lions

【名作探訪 その3】女性の地位向上のため、アダルト雑誌をXXした取り組み

UnsplashのBrooke Larkが撮影した写真 訴えた?それとも…?答えは解説ビデオをご覧ください 名作探訪も第3弾となりました。今回は2019年の国際女性デーにポーランドにてマスターカードなど、複数の企業が力を合わせて行った、女性の地位を向上させるための…

【名作探訪 その2】交通事故の衝撃を人体で”視覚化”したキャンペーン

UnsplashのMae Dulayが撮影した写真 本ブログお休み中(2016~19)の名作をもうひとつ 前回の記事では、後のBlack Lives Matterムーヴメントの爆発につながる、2018年に行われたナイキのキャンペーンをご紹介しました。今回は、2016年にオーストラリアの交通…

【名作探訪 その1】ブランドがトランプに楯突いた!マーケティングの一線を越えたナイキの名キャンペーン

UnsplashのJosh Reddが撮影した写真 ブログお休み中(2016~19)の間の名作をひとつ 2014年に個人的な趣味で始めたこのブログですが、海外駐在中の2016年から4年間はほぼ開店休業状態を続けておりました。この休業期間中ももちろん、世界からはいくつもの傑作…

女性のDV被害を防ぐために、ドラマを活用したチョコレートブランドのキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのNadine Shaabanaが撮影した写真 女性史月間の3月をスルーしてしまいました バタバタしているうちに4月になってしまいました。今回のトピックを考えていたときに、ふと3月が女性史月間だったことを思い出し、「しまった!」と思いつつ今回はこのテ…

黒人のビジネスオーナーをサポートし続けるGoogle【カンヌ2021・22より】

UnsplashのVonecia Carswellが撮影した写真 継続自体に価値がある 私がこれまで紹介し続けているキャンペーンの中には、アイデア自体は素晴らしく、続ければ社会に変化を与えうるものなのに単発の活動で終わってしまい、結局は賞を獲得し、評価されることだ…

先週に引き続き「母のチカラ」で課題解決したキャンペーン【カンヌ2015より】

UnsplashのWaldemarが撮影した写真 今回も母のチカラを感じる名キャンペーンをご紹介 先週ご紹介した、Daveによるキャンペーンはいかがでしたでしょうか?子供の世界から見た、母親の影響力をうまく活用したアイデアだったのですが、これを調べているうちに…

「母のチカラ」でティーンの課題解決に挑んだキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのAdam Wingerが撮影した写真 子供にとっての一番のインフルエンサーは”親” 私はふたりのティーンエージャーの親ですが、正直、彼らがスマホやタブレットで日頃何をみているのか皆目見当がつきません(もちろんペアレンタルコントロールは噛ませては…

探り出したインサイトを、胸打つコンテンツに昇華する【カンヌ2022より】

UnsplashのAtlas Greenが撮影した写真 肩すかしだった今年のスーパーボウルの代わりに、心に響く逸品を 前回お伝えしたスーパーボウル広告に引き続き、今回もスーパーボウル広告を…と考えていたのですが、今年はちょっとした言葉遊びや、セレブリティの起用…

マジョリティの視線から抜け落ちた属性に光を当てる【カンヌ2022より】

UnsplashのNsey Benajahが撮影した写真 顧みられてこなかった非白人の「皮膚の健康」 例えばあなたがアジア系の日本人で、日本で湿疹に悩んでいるとします。Googleで「湿疹」と打ち込み画像検索をした場合、ほとんどの場合はあなたにとって参考になる画像が…

教育を肩代わりすることで、インドの女の子たちに希望を与えた生理用品のキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのLoren Josephが撮影した写真 女の子たちの活躍を妨げる「恥」の意識 生理の話題をタブー視するインドでは毎年、2,300万人もの女の子が初潮の時期に、適切な教育を受けてないために学校をドロップアウトしてしまうようです。 生理はそもそも女性の…

お湯で洗濯…が常識のアメリカ人の行動を変えたキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのJeremy Salleeが撮影した写真 実は「冷たい水」で洗濯する日本は少数派だった? 今を遡ること29年前(!)の8月。韓国の延世大学にて留学を始めた私は、住み始めた学生寮の地下にあるランドリーに洗濯をしに行きました。そこで驚いたのが洗濯機のデフ…

ディスレクシア(発達性読み書き障がい)はビジネススキル【カンヌ2022より】

UnsplashのJason Goodmanが撮影した写真 思い込みの”枠”を作り直す、リフレーミングのチカラ 人類の歴史上、楽しいばかりで人生を生き抜いた人はほとんどいないと思います。長い人生を振り返った時、概ね楽しかったな…と思うためには、時にはつまらないな、…

テック分野に潜むジェンダーギャップをやっつけろ【カンヌ2022より】

UnsplashのThisisEngineering RAEngが撮影した写真 STEM分野に起きているジェンダー格差に迫ったキャンペーン 皆さん、STEM教育という言葉をご存知でしょうか?Science(科学)とTechnology(技術)、Engineering(エンジニアリング)とMathmatics(数学)の4…

自国のスモールビジネスを救うべく、国民的スターが立ち上がったキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのDICSONが撮影した写真 2023年もどうぞよろしくお願いいたします このブログも途中、長いお休みを挟みつつ9年目を迎えました。ここ数年で世界は大きく対決モードにスイッチしてしまった感がありますが、今こそ武器ではなく、アイデアの力が我らを明…

黒人の子供たちを砂糖の過剰摂取から守ったアメリカのキャンペーン【カンヌ2022より】

UnsplashのMyriam Zillesが撮影した写真 カギはユニークなオリジナル・キャラクターの活用 日本はキャラクター大国だといわれることがあります。確かにご当地ゆるキャラからさまざまなブランドのマスコットまで、その種類は豊富であり、おそらくひとつのキャ…

人工音声の味気ない生成過程を、病に悩む人たちへの良い機会に変えたアイデア【カンヌ2022より】

UnsplashのWill Francisが撮影した写真 大手企業たちによる、素晴らしいパートナーシップ 皆さん、SDGsの最後の一つ(SDGs17)に「パートナーシップで目的を達成しよう」というものがあるのをご存知でしたか? 今の社会課題は、一握りの大金持ちからの施しや…

貧困問題打開のため、立ち上がったインドのストリートキッドたち【カンヌ2022より】

UnsplashのTapishが撮影した写真 *写真の子どもたちは本記事の内容とは無関係です ブランドを”ハック”し、課題解決に巻き込む新手法 さて、今年もあっという間に12月になり、赤い羽根が目印の歳末助け合い運動が始まりました。公式サイトを調べてみると、こ…

動物実験に対する"No"を絶妙のバランスで描いたストップモーションアニメ【カンヌ2022より】

UnsplashのСтепан Галагаевが撮影した写真 思いは相手に伝わって初めて成立する 自分がコミュニケーションの世界に就業していちばん良かったと思うことは、自分の思いを一方的に伝えるだけではほとんどの場合まったく意味がない、ということを学んだことです…

たった5年の間に進化した、パラリンピアンに対する視線【カンヌ2022より】

UnsplashのAudi Nissenが撮影した写真 特別視から隣の人へ 英国のチャンネル4は、パラリンピックの度に体に障がいを持つアスリートの姿を印象的に切り取ったコマーシャル映像で、自局のパラリンピック放送をプロモーションしています。2016年のリオオリンピ…

IKEAに見る、消費財に対する世間の意識変化【カンヌ2022より】

UnsplashのRuoyu Liが撮影した写真 アラフィフ・カンヌウォッチャーから見た時代の変化 私は1998年に”世界的クリエイティビティの祭典”カンヌライオンズに惹かれて広告業界に入り、以来ずっとその受賞作をウォッチしてきました。2000年前後はセクシズム全開…

民主主義を守るためにレバノンの新聞社が実施した、鮮やかなアイデア【カンヌ2022より】

UnsplashのRoman Kraftが撮影した写真 デジタル時代だからこそ出てきた新聞の”価値” 全てがデジタル化していく中、新聞にはリアルな紙を使っている、というユニークさを持っています。 私も野菜を保存するときや、濡れた靴を乾かしたい時など、読み終えた新…

プラスチック容器を使い捨てさせないための、インド発のユニークな取り組み【カンヌ2022より】

UnsplashのJonathan Chngが撮影した写真 寝ても覚めてもプラスチック 先週は3年ぶりのF1日本グランプリ観戦のために記事の更新をお休みさせていただきました。晴天の土曜日から、雨に濡れた日曜日の決勝レースまで。観戦自体は素晴らしい体験だったのですが…

果物の廃棄部分を見事にアップサイクルしたDoleの取組み【カンヌ2022より】

UnsplashのPineapple Supply Co.が撮影した写真 リサイクルから、アップサイクルへ 思えば6月末に開かれた世界的クリエイティビィの祭典・カンヌライオンズ2022から既に3ヶ月が経ちました。あらゆる受賞作がインフレ的に評価される祭りの喧騒から離れ、落ち…

eスポーツで更生を!史上初の刑務所eサイクルチーム【カンヌ2022より】

UnsplashのEmiliano Barが撮影した写真 インクルーシブの波は、塀を越える 古今東西、罪を犯した人はそれを償い、更生する必要があります。しかし、映画「ショーシャンクの空に」でも触れられていた通り、刑務所にいることで外部との人間関係が失われてしま…

女性たちの「泳ぎたい!」を応援したドバイでのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのLi Yangが撮影した写真 最大公約数を取る時代から、誰も取り残さない時代へ このブログでも何度か書いていますが、時代の考え方は、ここ10年で大きく変わりました。 ひと昔前までは「大多数の人にとってより良い品を、より安く」という、大量生産…

世界的キャットフードブランドによる、珊瑚礁再生のためのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのFrancesco Ungaroが撮影した写真 先週に続き、海の環境問題への取り組みについて 先週ご紹介した「プラごみ」だけが海洋が抱えている問題ではありません。海は気候変動により世界的に水温が上昇、結果、海中の生態系にも大きな狂いが生じ始めてい…

海辺で飲みたいビールブランドによる、海辺を守るためのキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

UnsplashのAnastasia Palagutinaが撮影した写真 困った時の”ゲーミフィケーション” 各種メディアの取り組みにより、海に投棄されるプラごみが今のペースで増えると、2050年には海に浮かぶプラごみの総重量が海に住む魚の総重量を上回ってしまう、ということ…

女性が避妊薬を服用する権利を広げた、ホンジュラス発のキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Becca Tapert on Unsplash 避妊の手段が制限されている日本でも参考になる発想 この世に完璧な社会など存在せず、どのコミュニティにも進んでいる部分と、遅れている部分が存在します。日本の場合、避妊にまつわる分野が世界的に見て遅れている部分…

気候変動に対する見事な”選択肢”を示した保険会社のキャンペーン【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Matt Palmer on Unsplash 気候変動対策にも攻めと守りが この夏も世界的な異常気象が伝えられています。ここまで毎年、世界のどこかで異常が伝えられていると、特に自然との距離が遠い都会ではそれらの情報に慣れてしまいそうになりますが、気候変…

武力による文化財の破壊に対し、デジタルの力で立ち上がる【カンヌ2022受賞作より】

Photo by Max Kukurudziak on Unsplash 終戦の日を前に、人類の破壊について考える また、8月15日がやってまいりました。 アフター5に賑わう戦前の銀座の映像を見たことがありますが、そのきらびやかな夜景にふと「もし東京に大空襲がなかったら今の銀座はど…