世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

電話で報道への政治介入を攻撃!マケドニアのテレビ局が放ったソーシャルキャンペーン

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自分たちにとって都合の悪いことを書かれたり、伝えられたりするのを不快に思うのは人の性。しかしそれと同じノリで、一国の政府や政治家たちが都合の悪い報道に対してあからさまに圧力をかけたらどうなるでしょう?

今回はそんな慣行がはびこるマケドニアの国営放送局TELMAが、報道への政治介入の実態と、それに対する姿勢を国民に見事に知らしめた、ちょっぴり過激なソーシャルキャンペーンをご紹介します。

<赤い電話 Red Phone> 

www.youtube.com

<ビデオ和訳>

タイトル:<マケドニア。20年以上、報道の自由が失われた国>

国境なき記者団による報道の自由度ランキングでは、34位から123位へと大幅にランクダウン>

報道の自由→自由への圧力>

与野党双方の政治家たちは、ニュースの編集に直接的に介入してくる>

<記者を名誉毀損や侮辱罪で訴え、拘留を行うことも>

<議会からの強制退去を命じることもあった>

記者「なぜ記者たちを追い出しているのですか?理由を教えてください!」

タイトル:<最近の盗聴事件では、政治家たちが複数の国営放送の放送内容に対し、直接的に介入してきたことが明らかになった>

<結果、マケドニアのほとんどの人々は、TVを信用しなくなっていた>

<そこで国営放送のひとつであるTELMAは、その独立性を宣言。「我々は今後、政治家たちの指示には従わない」という姿勢を明らかにすることにした>

<限られた予算で我々が編み出したのが…>

<“赤い電話”>

レポーター「マケドニアは政治の混乱を収束するため、EUの代表団を調停者として受け入れることを決めました。これはEUのヨハネス・ハーン委員が認めたもので、彼はマケドニア政府の次の動きを待っている、と述べています。同議員は…」

ガチャン!(鳴り続ける受話器を切る)

レポーター「私たちは政府だろうが、野党だろうが、政治的な圧力に屈しません」

タイトル:<これを本当の電話だと信じた各政党は、TELMAに対して「政治的圧力の証拠」を見せるよう要求>

<一方、人々はこのアイデアに熱狂した>

<24時間も経たぬ間に、この電話は様々なコンテンツとなり拡散>

<赤い電話自体が、ニュースとなった>

<この小さなアクションは、ネットやソーシャルメディアで拡散>

<直ちにバイラルコンテンツとなり、24時間で、10,000を超えるシェア数を獲得した>

アレフ「安心して、これ黒電話の方だから」

<ついには他のチャンネルの、他のアンカーまで赤電話を番組内に赤い電話を取り入れた>

<赤い電話はメディアの独立性と、痛切に言論の自由を求める市民運動の象徴となったのである>

<AGBニールセンのメディアリサーチによると、 TELMAの番組に対する評価は、2倍以上の伸びを示した>

報道の自由→自由への圧力>

報道に対する圧力は意外と目に見えにくいものなので、それを「赤電話」というアイコンで可視化・可聴化したのは素晴らしいな、と思います。ここまで直接的に権力にNoを突きつけるのは、日本だとなかなか真意が分かってもらえないとは思いますが、とにもかくにも、受話器を叩きつけるキャスターたちの力強さに、報道機関の意地と誇りを感じるキャンペーンでございました。

I featured this idea because it succeeded very well in visualizing “the pressure on freedom.” More than hundreds of thousands of words, this icon tells you a lot about the irritating pressure from politicians and their government. Well done.